Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

Psycho of the old japanese women

今日、とある和風喫茶店での出来事。。。

僕の隣りに60歳後半~70歳前半の老夫婦が座っていた。真面目そうな老紳士と品のある老婦人だった。二人はほとんど会話をせず、おしるこを食べていた。ぱっと見たところ、とても仲の良い夫婦に見えた。

老紳士はどしんと腰を下ろして、ぼんやりと周りを眺めていた。僕とも何回か目が合った。が、さして僕にとってはあまり気になるような存在ではなかった。どこにでもいる普通のただのおじいさん。(そして、相手から見ても僕はただの若造。そこに関係もなければ、交流もない。当然だが・・・)

しばらくして、ふと隣りを見ると、その老紳士のおじいさんが少し怒っているような雰囲気であることに気付いた。おじいさんは老いた妻になにやら小声でつぶやいていた。けれど、おばあさんはおじいさんの言っていることがよく聴き取れない。どうやら耳があまりよくないようだ。おばあさんはティッシュペーパーを取り出して口を拭いていたのだが、どうやらおじいさんもそのティッシュペーパーを使いたがっているようだったのだ。

が、おばあさんは、「はい? なんですか?・・・」と答えるだけで、おじいさんの言っていることが聞き取れていなかった。おじいさんはだんだん怒り出した。表情が見る見るうちに曇っていった。震える声で声にならない声を囁いた。「・・・」。またふるえる小さなドスのきいた声でおばあさんに向かって言い放った。しかし、やっぱりその声はおばあさんには届かなかった。

耐えかねたのか、おじいさんは荒々しい声で、「ティッシュペーパーをくれと言っているのだ。オマエは本当に耳が悪いな!まったく・・・」、とはき捨てるように言った。その言い方はとても恐く、やさしさのないキツく冷たい言い方だった。隣りにいるこっちまでもが怒られているような錯覚に陥った。

しかし、おばあちゃんは、「ああ、わかりましたよ。ティッシュペーパーですね。すみませんね。耳が遠くて。ほんとすみませんね。ダメですね・・・」、と、とても低姿勢な態度で呟いた。おじいさんの怒りをまるごと受け入れている感じだった。

しかし、おじいさんの怒りはおさまらなかった。その後もイライラしている感じだった。隣りにいる僕としてはあまりいい気持ちではなかった。けれど、他方のおばあさんはおじいさんの顔を見ることなく、黙々とおしるこを食べていた。

なんともいえないワンシーンだった。

 Behind the sweet's

このシーンを見て、はと気付いた。これが「かつての女性の在り様」だったのだ、と。

いいか悪いかは別として、かつての男たちは女性に対してとてもいばっていた。キツい言い方をしていた。今の高齢者の方々の多くの男性が妻や女性に対してとても辛く当たっていたのだと思う。戦前・戦後は女性の苦難の時代であった。女性を蔑視している男性はとても多かったはず。

(*でも、人類史上、(近代諸国において)今ほど女性が強くなった時代はなかったのでは? 今も貧しい地域ではレイプが当たり前のように行われているし、女性の政治的立場はとても弱い)

ただ、それは男性にのみ非があるのではない、と今回思った。女性の方もやはり男性を思いあがらせていたのかもしれない。

上のおばあさんはすごく下手(したて)に出ていた。紳士の怒りをまるごと受け入れていた(ガマンしていた!? あるいは「いつものこと」!?)。イマドキの女性であれば、「はぁ!? 聴こえないわよ。ティッシュペーパー!? そんなの自分でもっておきなさい!」、と男性に言い放ってしまうだろう。あるいは、ティッシュペーパーを投げつけるかもしれない。「あんた、人に頼む言い方っていうのがあんでしょうが!」・・・

おばあさんを見ていて、少し心が熱くなった。「なんで、そこで反論しないんだ!?」、と。もう諦めているのかもしれない。「この人に言っても無駄だ」、と。でも、公衆の場であんな風に言われたら、やっぱり嫌なはず。もうおじいさんも年なのだから、ガンガンに言って、テーブルでもひっくり返して、出て行ってしまえばいいのに(=これ自体現代の感覚だという自覚はある)。僕はかつての彼女にレストランで水をぶっかけられて、去られたことがある!えへん!)

これまで、ずっと男性は女性に対してとても偉ぶってきた。経済的な強みもあったのかもしれない。けれど、それは単に男性がそうしてきたというだけでなく、実は女性の側との共犯関係によって成り立っていたのかもしれない。女性の側が男性にそうさせていた部分もあったのかもしれない。おばあちゃんを見ていると、本当に「かつての日本の女性」だなぁ~と思う。

やはり力的には男性の方が女性よりも強いわけで。でも、老いれば強いといってもたかが知れてくる。これまで罵声を浴びせてきたり、手をあげてきたり、ふんぞり返って偉そうにしていたり、勝手気ままに浮気しまくってきたり、そういう男性も必ず老いる。老いて弱くなる。そういうときにこそ立場の逆転っていうのも可能なのでは。

*でも、きっと「許せちゃう」のかも。あるいは、「かわいく見えている」のかも。愛って面白いもので、そういう過去があったとしても、そんな男性のことを愛おしく思えちゃうのかも。実際、上の例でも、おばあちゃんはまるで子どもを諭すようにおじいさんに対応していた。ふ~む。難しい。。。

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