Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

ドイツで報じられている日中のこと。

日中の軋轢は、連日の報道で知られていること。

日本で報じられていることは、どこまで真実を示しているのか。よく分からない。

そこで、ドイツの有力雑誌「Der Spiegel」のサイトを見ると、こんな記事があった。

http://www.spiegel.de/politik/ausland/china-zehntausende-protestieren-gegen-japans-inselkauf-a-856401.html

ビックリした。

タイトルは、「デモ参加者たちは日本との戦争を要求する」。

ドイツでは、もう「戦争」という言葉が使われている。日本のメディアはまだ「戦争」とは言っていない。あるいは、中国のデモで「日本との戦争」が求められている、とは報じていない。

日本の報道がどこまで今の中国を伝えているのか。なかなか信用できない。

***

そんな曖昧な中、日本でも、「まずいんじゃないか」という空気が少しずつ作られている。

今回のこの騒動のきっかけは誰が作ったのか。そして、何のために、こんな事態が引き起こされたのか。それをよく考えなければならなくなってきた。

表面的には、石原都知事がアメリカで行った談話に由来している。けれど、なぜ石原さんはアメリカであんな発言をしたのか。誰が、それを煽ったのか。何のために? 

どちらの国にとっても、「領土が取られる」というものすごい「愛国」に訴える話だけに、皆が発言に慎重にならなければならないし、相手の国のあることだけに、十分に配慮しなければならない話だった。が、石原さんの「都が島を買う」という発言に、皆が共感し、賛同した。その流れに異を唱える人はほとんどいなかった。なぜか。それもよく考えなければならないと思う。

***

でも、この今の状況は、ある意味で、日中関係の新たな第一歩だと僕は思う。これまで日本と中国は経済的には密接であったとしても、十分に相互理解してきたとは言い難い。経済的にも、明らかに日中の間に優劣があり、決して対等ではなかった。日本の企業が中国に進出するのは、日本よりもコストが安いという理由でしかない。けれど、今の中国はかつてとは違う。

14年前、ドイツで同い年の女の子と出会った。その子とは結構仲良くなって、一緒に色々とでかける仲になった。その子の家でお話していたときの話が忘れられない。

「keiの日本はお金持ちの国でうらやましい。私たちの国(中国)は貧しい国だから。私たちは対等な関係じゃないわ。私の家は貧乏なの。日本には何でもあるでしょ。だから、小さい頃から日本がうらやましかった」

でも、そのことに無知な僕は、訳分からず、「中国は日本の先生だと僕は思っているよ。歴史を勉強すると、本当にたくさんのことを中国から学んできた。近代化の流れの中で、ちょっと日本の方が先に欧米化したというだけ。でも、根本的には、中国は日本の先生だと思う」、と言ったことを記憶している。魏志倭人伝なんて、まさに中国の文献でしょ。日本の古は、全部中国のおかげ。なんてことをいうと、「ふーん」と受け流されるだけだったけど。

けど、その子とは、普通に対等に同じ東アジアの人間として、いろいろ語り合えた。その子以外にも、多くの中国の友達ができて、色々とお世話になった。その人たちによく言われたことがある。

「keiはちょっと変な日本人だから例外だけど、日本人は中国人を見下しているんだよ。近代化以降、ずっと中国よりも優位にあったからね。でも、keiは、対等な感じがする。ずっとそういう人間でいてね」、と。

まぁ、多分、無知だったからだと思うけど(苦笑)。。。 

でも、僕もいろいろ生きてきて、節々にアジアへの日本人の横柄さを痛感する場面に出会ってきた。特に僕はヨーロッパで、アジア人蔑視をときおり経験しているから、そういう「何気ない差別」にどうしても敏感になってしまう。明らかに見下されている感じのする冷やかな目線もたびたび経験してきた。きっと、中国の人も、ずっと(すべてとは言わないけど)日本人からそういう目線を感じてきたんじゃないかな、と思う。

だから、今回のことは、新たな日中関係のスタートだと思いたい。中国側からの「異議申し立て」と受け止めたい。「俺達の声もしっかりと真面目に受け止めろ!」、と。同じ人間である。同じ人間である以上、対等な関係である。どっちが優位かなんてない。だから、しっかりと中国と向き合うべきだと思う。それをするのが、政治家たちであり、僕ら一人一人だ。

中国の暴動を見て、バカにしたり、罵倒するのではなく、自分たちのこれまでの行為や考えを振り返りたいところだ。(一部をのぞき)誰も、中国と戦争をしたいとは思っていないと思う。戦争は殺し合いだ。それを認めることはできない。それは中国も同じだと信じたい。

***

日本と中国が争ったところで、どちらも利益は得られない。おそらくは<別の国>が利益を得るはずだ。僕的には、中国も、日本も、あるいはデモ隊も、皆、誰かに、どこかの国の人たちに、あるいは僕らの知らない人々に、踊らされているように思えてならない。

この危機を、日中双方の努力で克服したいところだ。僕らはそんなに愚かではないはずだ。

変に煽られることのないように。


PS

こんな記事があった。

日本国内の一部では、尖閣諸島の国有化は東京都の石原都知事が引き金をひいたことであり、被害を受けた現地日系企業は石原都知事または東京都に補償を求めるべきだという意見があるようだが、そのようなことは現実的に可能なのか。

「確かに、今回の一連の騒動は、石原都知事の尖閣諸島取得をめぐる話が引き金となって国有化され、反日デモにつながりましたが、前述のように今回の破壊行為は不法行為として本来破壊行為を行った人物に対して損害賠償を求めることができるだけで、あとは政治レベルで、中国政府、あるいは日本政府が補償することを期待するしかありません。石原都知事の行為は引き金となったに過ぎず、破壊行為との因果関係は希薄で、石原都知事、東京都に対して損害賠償を求めることは難しいと言えるでしょう。」

引用元
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120920-00000301-bengocom-soci


今回の騒動のきっかけは明らかに石原さんだ。石原発言→世論が賛同→国の島購入→中国での反発、となった。とすれば、なぜ石原さんは今、この問題に取り組んだのかを解明しなければならないはず。

石原さんに「島購入」を訴えたのは誰か? 何のために? 誰のために?

石原さん自体は嫌いじゃないけど、この人の息子さんも今、自民党のトップに名乗りを上げている。日本は石原国なのか? 石原家に振り回されているように思えてならない。

まぁ、不思議の一つとして。 

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