少しご無沙汰になってしまいました。
西千葉・轟町にある知られざる老舗の超実力店、
鳳華飯店
であります!
それこそ20年くらい前からその存在を知りながら、
ここのラーメンの凄さに気づいたのが、2016年12月。
こちらの店主さんは、まさに僕の父親世代。
50年以上のキャリアをもつ大ベテランの方なんです。
50年ですよ!!!
今回、幸いにもこの店主さんとゆっくりお話することもできたので、
その話も盛り込みながら、レポしていきたいと思います。
というか、今回は店主さんとの「対話」メインで書きたいと思います。
ずばり、、
ラーメンは、日本料理か、それとも、中華料理か!?
新たな見解を得たんです!!
(僕も、実は…と思うことだったので、熱く語ります!)
もちろん2018年お初ということで、「ラーメン」(570円)を。
ここのラーメンは「昔ながらの昆布煮干鶏豚骨のスープ」。
中でも、煮干しの風味がかなり強くて、
まさに千葉の「元祖煮干ラーメン」になっています。
今回あえて言わせていただければ…
巷には、数えきれないほどの「煮干しラーメン」がありまして、
また千葉にも、たくさんの「煮干しラーメン」がありますけど、
鳳華飯店のラーメンは、どこよりも古くどこよりも伝統的な煮干しラーメンが食べられるんです。
その部分を、今回はクローズアップしたいなぁ、と思います。
ジャジャーン!!!
来ました。今の時代でありえない570円のラーメン。
こちらのラーメンは、とにかくどこまでも伝統的で、真面目な味わい。
スープをまずは飲んでみてもらいたいですね。
白濁していないクリアなスープの表面に浮かぶ油脂がキラキラと輝いています。
スープを飲むと、煮干しの風味が口の中にほとばしります。
「ぐお~~~、なんじゃ、この旨さは!?!?」って。
思い切り、感性を研ぎ澄まして、スープを味わって頂きたいです。
店主さん曰く、「昔は、もっともっと美味しかったんだよ」。
僕、「!?!?!」
どういうことかというと、昔は、まだまだ飲食店も少なく、骨やガラも安くて、たくさん入ってきたんですって。
ところが、時代も変わり、至るところに飲食店ができ、またラーメン屋さんも増えに増え、、、
骨やガラの値段も上がり、また、その取り合い?も起こり、骨やガラも以前より減ったんだそうです。
50年以上、千葉で飲食店を見つめ続けてきた店主さんにしか分からない背景があるんですね。
でも! 今のラーメンだって、十分に美味しい!!
今回は、寸胴も見せてもらったのですが、このスープが実に凄くて…。
こんなにも丁寧に、きちんとスープを取っているのか、と。
「うちでは、絶対にスープを沸騰させないし、味を外に逃がさないようにしている」
その配慮、というか、その工夫もしっかりしておられました。
だから、こんなにもクリアなのに、美味しさ溢れるスープに仕上がっているのか、と。
「もともと長野・軽井沢出身で、小さい頃からお蕎麦を食べてきた。軽井沢ということで、都内のホテルの料理人もいっぱいいた。その縁があって、都内のホテルで中華料理を習い、学んだんです」
それこそ、戦後間もない頃だと思います。この頃に、中華料理を学び、その学びから、このお店のあらゆる料理が生まれたんですね。ここの料理が美味しい理由も頷けます。
とはいえ、ここのラーメンは、「中華料理」の範疇を超えた美味しさがあります。大胆に言えば、「東池袋大勝軒」のあのかつての味にどこか重なる美味しさがある、というか。あるいは、荻窪の春木屋に通じる美味しさがある、というか。
「日本のラーメンって、日本蕎麦から来ているんだよね。日本のお蕎麦がまずあって、あのダシの美味しさがあって、そこに、新たに入ってきた中華料理の技法を取り込んだよね。蕎麦の汁に、骨を入れて、ガラを入れてって。ラーメンは、だから中華料理じゃないよ」
…!?!?!
凄いお言葉だ…。この言葉には、僕は衝撃を受けました。
今、この目の前で食べているラーメンも、たしかに、中国人が作る中国らしいラーメンとは明らかに違いすぎます。醤油の風味、和ダシの美味しさ、煮干しの痛烈さ、そして、お蕎麦の麺に通じるこのするするっとのど越しのよい麺の美味しさ。
もしかしたら、僕らが食べている「ラーメン」って、「中国から入ってきたもの」というよりはむしろ、「日本蕎麦の中華化」と言うべきなんじゃないか、と。そう思えるようになってきました。「中華そば」というのも、厳密に言えば、「中華化日本蕎麦」なんじゃないか、と。もちろん、中国から中国のヌードルスープも横浜に入ってきたことでしょう。でも、そのヌードルスープを「日本化」させたんじゃなくて、中国料理の技法を学んだ日本人が、日本蕎麦を中華化させたのではないか?、と。
これは、僕がずっと思ってきたことと重なるんです。都内の「名店」と呼ばれる老舗のラーメン店の店主さんって、長野・信州出身の方が多く、また、蕎麦職人だった人も多いんですね。戦後に入り、食糧難の時代が続き、その中で、蕎麦粉の代わりに、国から配給された小麦粉で麺を作り、そして、その小麦粉の麺に合うように、蕎麦職人が試行錯誤を繰り返した…。とすれば、日本蕎麦の知恵や知識や経験が基にあって、そこから中国化された日本のヌードルスープが生み出された。それが「ラーメンの正体」なのでは?、と。
この辺は、また突っ込んでどこかで書きたいなぁ、と思います。
ともかく、それくらいここの鳳華飯店のラーメンは、お見事で、中華料理店の枠を超え出た<日本人による日本の最高のラーメン>の本質を感じさせるお見事なラーメンなんです。
このエリアには、老舗の名店が幾つもありますが、「古き良き煮干し風味のラーメン」となると、もうここしかないんじゃないかな、と思います。少し離れると、船橋の「赤坂味一」がありますが、味一よりは、「煮干感」は弱まるかな? でも、ここは「昆布煮干鶏醤油ラーメン」。煮干しに特化した味一と異なり、全体的なバランスを重視しつつも、煮干しの旨みがどーんと感じられる一杯になっているように思います。なんせ、創業40年の味一よりも10年ほど前の「煮干ラーメン」だから、そこが「違い」になっているのかもしれません。
で、あと今回、驚いたのがこちらの麺でした。
分かりますかね!?
細くて、やや平打ち感を感じる縮れ麺、、、
あれ!? 麺を変えた!?!?
聞けば、変えてない、って、、、
いや、これはどう考えても、変えたでしょ!?(お店の人無視…)
「あー、このエリアの製麺所の麺だから、麺も色々変わるんだよ…」
…苦笑
そういうことか。
でも、今日のこの麺は「大当たり」だったな。
それこそ、「日本蕎麦」の麺が「中華化」したような麺でした。
僕はやっぱり、細めの縮れた平打ちのピロピロ麺が好きなんです。
今日の麺は、まさにそういう麺になっていました。
(で、「明日の風は明日吹く、、、」、と。。。。
今回は、ラーメンの記事と共に、
「ラーメン新起源論」も論じちゃいました。
結構、大事な指摘がなされていると思うので、読んで頂けたら嬉しいです。
あと、、、
昨年で、こちらの麺メニューはほぼコンプリートしました!!
でも、麺以外にも、魅力的なメニューがい~~~~っぱい。
何度来ても、ワクワクさせられるのが、こちらの鳳華飯店です。
是非、みなさまも一度行ってみてくださいね!!
いや、一度と言わず、10回は行ってみてくださいね!!