2012年、パリを訪れた。
日本人の憧れの街、パリ。
そこで、凄惨なテロ事件が起こった。
しかも、そのテロが起こった場所が、僕には衝撃的だった。
レストランというのも衝撃だったけれど、それ以上に驚いたのが…
サッカースタジアムとライブハウスだ。
サッカーといえば、世界平和の象徴的スポーツ。
恐らく世界で最も行われている球技だと思う。
どれだけ国際関係が悪化しても、サッカーだけは守られると思っていた。
が、相手側には、知らぬ存ぜぬ、だった。
それ以上に、衝撃だったのが、
「反体制」を象徴するライブハウス。
しかも、メタルバンドのライブ演奏中に悲劇が起こった。
映像も既に流出している。
↓(閲覧注意)
銃声もショックだったが、それ以上にショックだったのは、激しいロックバンドのライブ中に、こうしたテロ事件が起こったことだ。
ロックを愛する僕としては、もう、ショックを超えた気持ちになっている。
政府や権力にNO!を叫ぶロック。
そのロックを奏でるライブハウスで凄惨なテロ。
問題の根の深さを感じずにはいられない。
ISILの人たち、あるいはその支持者たちは、完全なる他者なんだ、と。
ロックやサッカーでは通用しない相手なんだ、と。
欧米のあらゆる文化を否定する人たち。
それをありありと感じさせられた。
***
シリアでは、この4年で、25万人が戦死している。
25万もの人のいのちが消されているのだ。
そして、その25万人に関わる人たちが「絶望」し、「憎しみ」を抱いている(はず)。
しかも、この悲劇を生み出したのは、ISILではなく、当の欧米諸国という悲劇。
日本政府は、立場上、欧米の支持者にまわるしかないだろう。
それ以外の選択肢はない。
でも、一つ、僕が実際に聴いた話をここで記しておきたい。
シリアの人々は、日本や日本人を嫌っていた人々ではない。
シリアの友人の言葉を思い出す(1998年頃の話)。
「僕たちシリア人は、日本という国を尊敬しているし、素敵な国だと思っている。シリア人は、日本人に好意をもっている。きっとkeiがシリアに来たら、みんなに歓迎されると思うよ。シリアはいい国なんだ」
そんな話を聞いた。
ISILの行為を肯定することはできない。
けれど、ISILを生んだもの何か、と問えば、そこに欧米の人間たちの影がちらついてしまう。
そんなことを念頭に置いて、この記事を読んでもらいたいと思う。
ISILの人たちも、きっと家族や愛する人を失った人ばかりだろう。
そして、悲しみの果て、絶望の果てに「悪魔」になっていったのだろう。
昔、そんな記事を書いたこともある。
間違いなく言えることは、悪魔を生み出したのは、欧米諸国(特に英米)だということ。
自らが生み出した悪魔に、今、狙われているのだ。
…
繰り返すが、日本政府は、欧米に追従するしかないだろう。
でも、日本人として、あるいは一人の人間としては、もちろんパリの悲劇に心を痛めるべきだろうが、同時に、シリアの人々の悲しみや絶望にも、目を向けていきたいと思う。
(シリア人は、そもそもは穏やかで、優しい人たちばかりだと聴く→オスマン・トルコ帝国まで遡る)
だからこそ、欧米諸国も、(立場上、引けないとは思うけど)自分たちがやってきたことを反省すべきだろう。特にイギリスは自分たちのこれまで海外でやってきたことを厳しく反省すべきだと思う。
(それでも、反省しないのが、彼らだけど…)
***
パリは燃えた。
そして、サッカーもロックも、通用しない時代を迎えた。
悪魔となったテロリストには、僕らの言葉は届かない。
けれど、その悪魔を生み出したのもまた、僕ら先進国の人間たちなんだ。
日本でも、かつて「オウム真理教」の地下鉄サリン事件があった。
オウムを生み出したものも、ISILを生み出したものも、同じでないにしても、似たようなものなのだろう、と思う。
僕らは、一人の人間として、この問題に向き合わなければいけない。
改めて、そう思った。