幾千ある家系ラーメンの中でも、最も濃厚で個性的で斬新的なお店と言われているのが、港南台にある「横浜らーめん岳家」だ。
港南台駅からは歩いて20分以上。バスに乗っていくか、タクシーか、それとも歩くかは人によりけりだろう。アクセス的には結構たいへんな方だと思う。
だが、さすが家系進化型ラーメン屋さんとあって、人気は確かなもの。お店はすでに満席。しばらく並んだほど。店内はそれほど広くはなく、10席あるかどうかくらいの広さだ。若い店主2代目(!?)、大久保さんが一人できりもりしていた。
メニューは主に三種。ラーメン(濃厚)、あっさりラーメン、つけ麺だ。「あっさりラーメン」の存在が、ラーメンの尋常ならぬ濃厚さを物語っている。いったいどんなラーメンなのだろう。また、家系のつけ麺というのも実はかなり珍しい。たしかに家系系列のお店でつけ麺を出しているお店があるが、どれも家系のエッセンスからかけ離れたイマドキのつけ麺になってしまっていて、ザ・家系つけ麺というのはあまり見かけたことがない(柏の王道家くらい?!)。僕としては、家系スープでつけ麺が食べてみたいと思っていたので、すごく期待大だ。
ラーメン(600円)は、極めてシンプルでまさに家系!というようなヴィジュアルだった。器もまさに家系だし、四分の一サイズののりが3枚どかんとのっているところも家系だし、ほうれん草も家系だし、やわやわで小さめのチャーシューも家系だし、これぞ家系!という感じだった。が、味わいはかなり独特だ。スープの表面に脂があまり浮いていないので、豚骨ベースだと思う。かなりワイルドな味になっていて、動物臭が結構強い。「武骨な男が作るがっつりワイルドなラーメン」といったところか。醤油ダレを使っているが、ともすると豚骨ラーメンかと思うほど、醤油はひかえめになっている。麺は酒井のものではなさそう。麺へのこだわりは、限定の細麺を用意しているところからしても、強そうだ。酒井の通常の麺とは違うので、ここは家系の進化型と考えてよさそうだ。
つけ麺(800円)は、「おお、これぞ僕が望んでいた家系のつけ麺だ!」、と思うような期待通りのものだった。スープの味は、変にいじってなくて、まさに家系スープの味。まさに直球勝負のつけ麺だ。スープの中にはほうれん草とチャーシューが入っている。麺は通常の量でかなり多め。250~300グラムはあるだろう。味も量もかなり大胆なラーメン屋さんと言えるだろう。麺がキンキンに冷えているので、スープの温度が結構冷えてしまうのは仕方ないことかな。熱々スープだったらもっとよかったなぁ~、と。でも、わざわざ来て食べる価値のあるつけ麺だと思う。
どちらも、味は控えめ、ダシの旨味は最大限。醤油だとか塩だとか香油だとかニンニクだとかで味を強めるのではなく、あくまでも骨のダシをしっかりとることで旨味を表現している! これぞホンモノだ!と主張したい。
このお店の店主はどこかの家系で修行されたのだろうか。ぶっちゃけた話、ここのラーメンは、家系ラーメンではないと思う。看板にもあるように、「横浜らーめん」なんだと思う。文字通り、横浜の味、というか。「家系」(狭義的には吉村家の一派)とは区別した方がいいのかな、と。麺も違うし、鶏油も全然目立たない(というか使ってない?!)。器なんかは家系とかぶるが、本質的に家系とは違うラーメンを目指しているのかな、と思った。僕は、家系のラーメンも好きだが、岳家のラーメン、つけ麺もすごくいいと思った。でも、同類と片付けたくはないな、と。
横浜らーめん岳家(HP)(ぐるなび)
港南区日野9-5-7(鎌倉街道沿い)
045-847-1283
11:00-15:40/17:30-20:00
金曜日OFF