散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

アトリエオープンドアー

2009-08-31 16:24:09 | 美術関係




市の企画のアトリエオープンドアー。星の数ほどある(正確に言うと306箇所)アトリエを2週末4日間で訪問することは誰にも不可能だろう。
”不可能だろう。。。”では無くて不可能だ。それぞれのアトリエのオープンは1週末の2日間のみ公開になる。
私は知人のアトリエハウスのオープンドアーに誘われて参加することになっていた。結構な客入りで一日に70人ほど出入りがあった。アトリエハウスはBöhler-Uddeholm鉄鋼のゲレンデで、とんがり山の防空壕や旧い時計台、倉庫が並ぶ中の一部がアーティストのアトリエになっている。ゲレンデ内にはマテリアル試験場などがあってテスト用の鉄片が並んでいる様はまるで現代アートを眺める如くで迫力だ。しかし普段は鉄鋼が積まれているはずの場所はがらがらに空いて数本が所在無げに残っている程度だった。こういう場所に来ると不況の波ははっきりと目に見える。
のんびり本でも読んだりして過ごすことになるかと思いきや、車に乗り合いで回るグループやミニバスで展示場を回るツアーなども一日2回あってインタビューに答えたりなかなか忙しいのだった。(ツアー料金15ユーロ、ツアーの案内人は市に住む執筆作家だったりする)アトリエ一件にほぼ20分の割り当てで嵐のように話し、話させつむじ風のように去って行く。ツアーに参加している人たちはあれで面白いんだろうか? 3時間ほどのツアーだけれど疲れそうだな、しまいには何が何だかわからなくなってしまうのではないだろうか?などと余計な心配もした。もちろん306件全部を回るわけではない。
そんなこんなで結局2日間くたくたになったので今日は休業暖簾をだした。






隣のアトリエにゲストで来ていたアーティストがギターを持って出てきたので、聞けば何でもこれという目ぼしい古いギターの部分を世界中から買い集め、作り直したもので、場合によっては売るようなこともしているらしい。
「ギターとかって、その楽器で演奏された音楽がしっかり記憶されてゆくらしいよ。ほら木は水分を含んでるじゃない?水ってキルリアン写真で撮って見ると状態によって色々変わっているみたいじゃない?良い演奏者が引いたギターはだから良い音が水分の中にとか記憶されているってわけ。だからこのギターなんかもね色々記憶を持っているわけだよ」となかなか怪しげなことを言う。
キース・リチャーズとウディ・アレンを足して2で割ったような風貌のひょろっと背の高い彼は地面にしゃがんで大事なギターを見せてくれた。
彼はかなり大きな加工した写真と小さなオブジェを展示していた。どうやら学校で教えても居たらしいけれど、それが写真なのか音楽なのか美術史なのか音楽史なのか結局何が本業なのだか良くわからない不思議な人に見えた。






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2 コメント

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Unknown (オニポン)
2009-09-03 10:05:19
息子が中古のギターを買ってきたんです。
はたしてどんな音が記憶されているのか・・・・、これからどんな音を覚えていくのか(こっちの方は全く期待できないけれど)・・・ふふ、楽しみ。
オニポン さんへ (seedsbook)
2009-09-03 14:42:19
さあて、どんな人か演奏した楽器でしょうか?
そういう歴史が積み重なっていくと面白いですが、すごい楽器になりますよね!笑

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