散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

迷路

2005-06-11 18:09:40 | 思考錯誤
”右、右!違うそれは左!”と賑やかな声が聞こえてくる。
迷路の中では右と左が混乱してしまったのか、指示が聞こえていないのかグルグル同じ場所を回って冷や汗をかいているらしい婦人がいた。
ウィーンのシュ-ンベルク宮殿の庭にある迷路の中である。私も試してみたが、無事に出てくることが出来た。物見台の上に上がって眺めていると、その中で走り回っている子供や、答えを知る人の如く一つも迷わずに通り抜ける人、冷や汗をかいている人、連れに助けを求める人など様々だった。
一昨年の事だ。

”迷路”は魅力的でもあるがほんの少しの怖さも混ざっているかもしれない。
入ってしまったら出て来られなくなるのではないかという、一抹の不安? 行く先が見えない不安か?
それが魅力でもある。
去年の夏はトウモロコシ畑の迷路を歩いた。ガサコソガサコソと音がする。人声がするから良いが、目が回りそうにギラつく太陽に下で背丈ほどもある広いトウモロコシ畑の間をひたすら歩くのはなかなかスリルがある。映画の中でもよくトウモロコシ畑の中を走りまわっている人を見かけるけれど、大抵逃げまどっているなあ。

ラビリント=迷路だと思っていたが、ある説では”ラビリント”は”迷路”とは別物なのだという。 それによればラビリントとは他に選択肢無くひたすら前進してゆく事で中心に到着する事が出来る形だ。フランス、シャルトルの大聖堂の床にラビリントが描かれている。僧侶たちはこの描かれた道をたどって改悛しながら悪魔を表わす中央に向かい、到達すれば今度は中央に背を向け悪魔からの解放の道をたどる事になる。
瞑想の手段でもある。
このラビリントとほぼ同じ形が世界のあちらこちら点在しているようだから面白い。

映画の中で出てくる迷路、今思いつくのは”シャイニング”と”オーランド”。双方ともとても効果的に使われていた。
ゲルハルト ロート著”ラビリント”という小説を見かけたが読んだ事が無い。読んでみようか? 他にも迷路がらみの本をご存知のかた一報ください。

常に頭にはいくつもの”迷路”があって入り口も出口も見えないので右往左往して冷や汗をかいている私がいる。 そこにアドリアーネは不在だから、彼女の用意してくれる糸を手繰るわけにもいかないし、困ったもんだ。
出口が見えない思考の迷路はあんまり魅力的ではない。

今日も寒い。


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18 コメント

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ドイツも寒いんですか? (ASIS2005)
2005-06-12 03:52:45
こんばんは、迷路は結構家族でいきました。大体は妻と自分がどちらか子供一人とチームになって競争しています。



いままで一番難しかったのは、とうもろこし畑のやつでした。(Maize Maze)袋小路だけのやつは比較的出やすいですが袋小路同士がつながっていたりするとてこずりますね。



うちの妻はそういうことを考えるのが大好きでとうもろこしのメイズでは負けてしまいました。自分は入り口に戻ってきてしまったのであきらめました。



必ず出口があると思うことが出る秘訣なんでしょうね。
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asis2005さんへ (seedsbook)
2005-06-12 05:47:17
こんばんわ!

トウモロコシの迷路。私はスティーブンキングなんかも思い出してしまいます。するとちょっと怖くなったりして。。。

奥様は記憶力と方向感覚が良い方なのですね!

仰るとおり、出口はあると思わなければ見つからないのかもしれません。頭の中もおんなじらしい。



イギリスも寒いですか!嫌ですね。私は今日はオランダに用事で行って来ましたが寒くて帰宅したらボーっとして、熱っぽい感じになりました。そんなわけでこれは温まらなければいけないとワインを飲んでます。

ギネスビールは美味しそうですね。
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方向音痴です (K-es)
2005-06-12 08:23:58
巨大迷路未体験ですが、一人では永久に出られなくなりそうで、誰かと一緒じゃなきゃ行きたくない。でも決して誰も来ない迷路で、出口は間違いなく存在するのに、一生そこで迷い続けているというのも、考えようによっては面白いかな。実際、今現在自分のいる場所が迷路かもしれないのだし。



「シャイニング」。ホテル内の迷路の模型を見ているジャック・ニコルソンの視線が、庭の本物の迷路の俯瞰図にすうっと移行するキャメラワークが不思議な感じでよく覚えています。スティーブン・キング原作のトウモロコシ畑の映画(名前忘れました)も怖かったことだけ覚えています。

迷路の本。マンガですが、ひさうちみちおの「ラビリンス」。迷路についてのちょっとした講義が出てきます。
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ラビリンス (lapis)
2005-06-12 11:09:20
写真を拝見して、僕も「シャイニング」と「オーランド」を連想しました。(「オーランド」のほうは、まだまともには見ていませんが。)トウモロコシ畑とくれば、キングですよね。あと映画ですと、デイヴィッド・ボウイとジェニファー・コネリーが出ていた「ラビリンス 魔王の迷宮」(1986)があります。

小説ですと、鏡花『草迷宮』、新井素子『ラビリンス―迷宮』。新井素子の方は、そんなに、面白くはありません。

評論ですと、カール・ケレーニイ「迷宮と神話」、和泉雅人「迷宮学入門」を持っていますが、例のごとく読んでいません。(苦笑)グスタフ・ルネ・ホッケ「迷宮としての世界」は、読んだ記憶がありますが、内容を覚えていません。(笑)

迷路ではなく迷宮ばかりになってしまいました。
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K-es さんへ (seedsbook)
2005-06-12 15:37:06
方向音痴ですか?私の友達にもうそれはそれは目も当てられない方向音痴がいて、すぐパニックになります。K-esさんは多分そんなレベルじゃないと思いますけど。

トウモロコシ畑の迷路はそこに音が加わるのでスリルなんでした。トウモロコシ畑の脇なぞ散歩していると、風が通るたびざわつくのですが、日暮れなんかは案外”妄想”におびえる事あったりして。



熱下がりましたか?
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Lapis さんへ (seedsbook)
2005-06-12 15:48:46
やはりLapisさん。迷路、迷宮物を沢山ご存知です。

そういえば泉鏡花の草迷宮は読んでいます。

TVで見たのですが、フランスのシャルトル寺院の床に描かれた迷路と同じ形のものが、ヨーロッパだと北欧やイギリスなどの遺跡にあったり、インドや中央アメリカあたりだったかにもあるらしくて、面白かったのです。

色々教えていただき勉強になりました!有難うございます。又よろしくお願いします。
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まだ寒し (Jessica)
2005-06-13 05:16:10
負けず嫌いのわたしは、迷路に入ってでられなかったら悔しいとか、だれよりも時間がかかったら嫌だ!なんて考えてしまって、あんまり挑戦しません。勝ち負けじゃないのに、馬鹿ですね。アメリカでは、ハロウィーンの時期になると、いろいろな場所で迷路が登場しているような気が...。

そちらも、まだ寒いのですね。こちらもです。今日もまたフリースを着ながら、このコメントを書いています。
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私も方向音痴! (Mercedes)
2005-06-13 06:13:34
私もみごとな方向音痴、それに”地図が読めない女”であります、ハイ。

アメリカの遊園地で1度迷路に入り、案の定出られなくて困っていたら

10歳くらいの男の子が「大丈夫だよ、僕が一緒に行ってあげるよ」

と私の手を取って歩き始め、無事脱出させてくれました。

まさに迷える私の”騎士”でした。

それ以来、迷路は怖くて入れません。

樹海もある意味迷路ですよね。私には知らない町は何処も迷路ですが・・・。
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ご心配おかけしました (K-es)
2005-06-13 11:33:38
>熱下がりましたか?



はい。土日にたっぷり休養がとれたので、今はいつもより元気なくらいになりました^^

明日から3日連続で会議なのできょうは下準備です。ブログは暫しお休みするかと思います。また遊びに寄らせていただきます。
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jessica さんへ (seedsbook)
2005-06-13 14:02:29
ハローウィンに迷路ですか。。

こちらでもトウモロコシの育った頃に迷路を作る人がたまに出てきます。

あとは城の庭など。。オレゴンも寒そうですね。

今年は夏が来ないのかなあ?全く憂鬱になります、この天気。今日は雨。
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