散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

食文化と器の相互関係?

2005-04-22 20:03:35 | 美術関係
久しぶりに友人のやっている日本人対象の陶芸教室を覗いた。
私は皆の横でなんだかんだ言いながら、勝手にいろいろなものを作っては帰ってくる。
粘土をいじるのはとても体に良い。
いや“何か物を作る事”はとても体に良い!

面白い事に日本人は陶芸イコール食器の感覚が強いので、何を作るか?作りたいか?と聞くと大抵の場合“食器”である。
ドイツ人の陶芸コースなど見てみると、それが粘土細工なのだ。人の顔や、ニワトリやらが出てくる。食器というものは殆ど出てこない。
一つ加えるなら、こんなことを言っては失礼かもしれないのだが、一般的に日本人はドイツ人にくらべて器用であり、“作る事”になれているようにみえる。
少なくとも”出発地点”のおいてはいえることだと思うのだ。
この差はどこから出てきたのだろうか? 
国民的に不器用な遺伝子が受け継がれるわけではあるまいから、日本人は子供のときから、日常の中で物作りの機会が多かったのかもしれない。わりと小さい頃からお正月には木版で年賀状を作るために彫刻等を危なげに握り締めても使ったり、折り紙を折ったりした記憶は誰にでもあるはずだ。そんなことが助けになっているのだろうか?
日本人の手芸や工芸をたしなんでいる人口数は断然多いゆにおもう。習慣の違い?

”手先の器用さ”とは別の話だが、”手”にちなんで ”手先の動き”が気になる事がある。
これは人それぞれだが、観察していると国々で多少特徴がありそうな気がした。
知り合いのインド人の婦人の指先はいつもしなやかで、踊るようだ。
あるドイツ人の友人は、私が話しているときに無意識に行う手のしぐさのことを、面白いとしきりに感心していた事もある。
国別というほかに職業別、そして性格、そのときの気分という分類もありそうだ。
しぐさが明かしてしまう事実は意外とあるもので、シャーロック ホームズで無くとも見分けられることもある。

話を陶芸方面に戻す。
日本人は、日頃多く触れているだけに、よしあしのポイントが身に染み込んでいる。しかしそれは“食器”なのである。
“これはxxxxを乗せると美味しそう”とか“xxxxを乗せる為の皿が欲しい”といいながら作っている。食文化と陶芸は切っても切れないのだ。食器にも四季を求める日本人。
このセンスは大切にしたほうがいいと思っている。

以前知り合いのドイツ人が”日本人は何であんな欠けた茶碗やゆがんだ茶碗をよしとするか?理解できない”と言った。欠けた食器はもう価値を持たないのだ。ゴミである。
傷があってそれなりの手を加えたからこそ、そこに“美”を感じたり、“引いてゆく”事で,空間に意味をおいたり、日本人の美的感覚は特殊に思えるのだが、この点について考察し始めると、取り留めなく話がずれて行きそうだし勉強不足でもあるので。改めて後に挑戦することにする。

私はいろいろなマテリアルを使って製作する、よしあしは後に選択することにして、無差別的に何でもやってみてしまう。
去年陶器を使って極、小さなオブジェを作った。

写真では殆どわからないのだけれど、あるテクストの単語をばらばらに分解し、小さな玉一つに一語を記入して、本体のお腹に詰めてあるというもの。
私の友人はいみじくもこのオブジェを ”ポロポロオーニ”と勝手に命名した。日本語を知るもの意外にこの名前の所以は不明なわけだ。(。。。。わかりますか?)

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4 コメント

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陶芸=器 (Jessica)
2005-04-23 00:38:24
確かに日本人の場合、『陶芸=器(食器)』と無条件で想像しますね。わたしの場合は、『セラミックス=スカルプチャー』となります。ここでそれを日本人に説明するとなると、大変難しくなります。粘土を使いスカルプチャーを作るというアイデア、また身近にあまりスカルプチャーを置くというアイデアがないようで、『想像がつかない=よくわからないものを作っている』となってしまうようです。

日本人は、食文化の中で季節を感じ美を見つけ出すのですね。忘れかけていた気がします。

“ポロポロオーニ”わかりません。日本語、問題ないと思っていたのですが...。



追伸: 『青いパパイアの香り』、さっそく昨日の夜、ビデオを借りてきて見ました。映画について書くと、もっともっと長くなってしまうのでやめておきます。パパイヤをああやって千切りにしている写真を見たことがあったのですが、包丁で叩いたあとどうやって実から離すのかと不思議だった疑問がやっと解けました。



長くなってしまって、ごめんなさい。
Re>陶芸-器 (Seedsbook)
2005-04-23 05:55:24
Jessicaさん、長いコメント歓迎です。セラミックで作品作られているのですね。興味あります。私の作品でも、本のオブジェなど”わからない-????”という反応を受けます。言葉で答えきれないし、見せても反応ない事もあるし。。ポロポロオーニは鬼の形をしたオブジェがポロポロと玉を出したところを表現しています。”青いパパイア”どうでしたか?気がむいたら、またどうぞ!
こんばんは。 (samantha)
2005-04-27 23:12:01
先日はTBありがとうございました。興味深く拝読させていただきました。これまで日本人とドイツ人は感覚的に似ているのかと思っておりましたので、

>以前知り合いのドイツ人が”日本人は何であんな欠けた茶碗やゆがんだ茶碗をよしとするか?理解できない”と言った。欠けた食器はもう価値を持たないのだ。ゴミである。

これは意外でした。最近でこそ、いらない物はすぐ捨ててしまう傾向にある日本ですが、欠けた物を金継ぎしたりして大事に使い続ける様は大事にしていきたい日本文化のひとつと思います。

ポロポローネ、すてきですね!おにとかけたネーミング?スペインの修道菓子、幸せのお菓子ポルボローネのネーミングとも似ていてほほえましいです。また伺わせていただきます。
食文化 (Seedsbook)
2005-04-27 23:26:05
日本人の中にもいろいろな様に、ドイツ人の中でもいろいろですから、一概に”こうだ”とはいえないことです。私が2昔も前にここに到着したときは、本当に堅実なドイツ人という像がぴったりでした。日本よりも、ものは大切に使われていました。

最近では使い捨て傾向が強くなってきましたけれど。

かけたものは捨てるという意味ではなく、かけたものであってもそこに”美”を見出すセンスをわかる人が少ないということを書きたかったのです。私のカルチャーショックは来てすぐにではなく、10年以上住んでからやってきました!

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