ガーベラ・ダイアリー

日々の発見&読書記録を気ままにつづっていきます!
本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

浦沢直樹著 「MONSTER」第10~18巻 小学館 ②

2006-03-25 | こんな本読みました
(はい、3月19日の続きです。これからこの漫画を読もうとしている方は注意してお読みください)

9巻読了時に思い描いていたテーマと最終的には違った。
私が予想していたテーマもエピソードの一部だったのだ。
一番大きなテーマは「人間の根幹」にかかわるものと言えると思う(ここでテーマをいうのはしのびないので、ふせておきます)。

「あたりまえ」だが「とても大切なこと」を大きなテーマにして、ミステリー調に話を展開していく。とても上手い手法だと思った。

また、最近漫画を目にしていなかったのでより強く感じたのかもしれないが、「絵のもつ力」というものにあらためて感服した。文章だけだと人物造詣や背景について何行か費やさなければならないが、「絵」なら「視覚」に訴えるので作者のイメージをより強く読者にアピールすることができる。実際ドキリとさせられる場面がたくさんあった。

しかし、そのわりに「読み飛ばして」しまうことが多々あり、漫画家の方にはすまない気持ちになった。「1頁描くのに何時間かかるのだろう?」・・・と考えると「ほんと、ご苦労様です」と頭を下げたくなる。

「人間」のこころほどわからないものはないし、不確かなものはない。
けれど「確か」なものは一つだけある。それが揺らいだとき(揺らいだと感じた時)、人は恐怖に陥る。そしてそこからはじまる「恐怖」。それがたっぷり味わえます。

そしてもうひとつ感心したのは、「人間を育てることはある種『実験』である」という作者の切り口。それがとても新鮮で、それを表現するのに上手な舞台設定をしているということだ。

まず「大きな目的」をもち「仮説」を立て「実行する」。そして出来上がったものを「考察」する。それを「人間」にあてはめてみたら・・・。

そう考えると怖くありませんか?そういう意味での「恐怖」も味わえます。裏を返せば、「人間を育てること」はそれだけ素晴らしいこととも言えるわけですが。


おまけ:たくさんの人物が登場し、ラストに向けて過去に登場した人物たちがからみう。なので「漫画」という表現方法はとてもよかった。「絵」を見れば、どんなことをした人かが一目瞭然だからだ。「文章」だけだと、ものすごくこんがらがると思う。「あれっ?この人何した人だっけ?」というように(私だけ?)。

そうそう、だれか「カラマーゾフの兄弟」を漫画化してくれないかなー。あのカタカナ人名とその数の多さに完璧に頭がヒートして、読むのを断念してしまった過去をもつので。。。ちなみにどんなストーリーか全く知りませんが(もう出版されてたりして?)。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿