2日の夕方起こった日航機と海上保安庁の航空機の衝突は、日本のみならず、海外に大きな衝撃と幾つかの示唆を与えている。
特に国内旅行でも多くの人が飛行機で移動するアメリカ人にとっては、航空機事故とそこからの脱出物語については関心が高い。
WSJはInside a flaming Jet,367 passengers had minutes to flee. Here's how they did it.とタイトルで脱出の状況を描いている。
記事の特徴は、日航機に乗っていたジョセフ・ハヤシ(林?)さんという東京で金融部門で働いている28歳の男性の談話やカネコ・ヒロシさんという67才の哲学教授の談話を紹介していることだ。
今回衝突が発生した5時47分から乗客・乗務員379名が全員無事に脱出できた6時5分までは18分。18分の間に全員が脱出できたことを奇跡と呼ぶ声もあがっている。
何がこの「奇跡」を起こしたのか? 記事を読みながら考えてみた。
一つは乗務員が緊急着陸時に90秒以内に機内から脱出できるように訓練を重ねていたことだ。日本航空広報担当の沼端康夫氏はWe believe it was the result of the provision of training and knowledge brush-ups every yearと述べている。
次に混乱の中で乗客が非常口に殺到せず、乗務員の指示に従い整然と脱出シューターから下降したことだ。もしかさばる荷物を抱える乗客がいるとそれが障害になり、脱出が困難になるが、かさばる荷物を抱えた人はいなかったようだ。これについて「日本では手荷物は追加料金なしに預けることができるが、米国では追加料金を取られるので手荷物を持ち込む人が多くそれが障害物になる可能性がある」というコメントがあった。
次に8つの脱出口の内、外側の火が回っていない3つだけを使って脱出したことだろう。もし火が回っている脱出口を開けると飛行機の内部に火を呼び込み火災が広がった可能性があった。
次に機体エアバスA350-900の素材の耐火性が優れていたことやエンジン周囲の防火壁などが優れていたという機体のクオリティの高さが挙げられる。
さてこれらのことを考えると、安全性を考えるなら、最新の機体を使い、搭乗員の質の高いエアラインを多少高くても選択する人が増えるかもしれないと思うが如何なものだろうか?