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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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「急性期」入院の長さを実感。対策は?

2020年03月09日 | 健康・病気
昨日(3月7日)の日経新聞は、日本は「急性期」入院日数が英米仏の約3倍と長く、それが医療費の膨張の一因になっているという記事を書いていた。日頃であればそれほど注目しない記事なのだが、偶々入院中なのでウンウンと頷きながら読んだ次第。
記事は入院期間中、寝ているか薬を飲んでいるだけの日が1割あると言い、病院は空きベッドを減らすため土日の退院を認めず週明け回しにしていると指摘する。
これは記事の指摘の通りで、私が入院している病院でも土日の入退院は認めないので、手術を受ける時は前の週からの入院になり退院は翌週になる。もっとも生活習慣病を持つ患者の場合は早目に入院してもらい、病院側で患者の体調管理を行いたいという医学的な理由があるから、病院が経営目的だけで入院日数を増やしていると断じるのは短絡過ぎる。
とはいえ診療報酬が高い「急性期」入院日数が欧米の3倍というのは異常である。また2025年には急性期ベッド数は18万床余剰になる一方高齢者向けなどのリハビリ病床はほぼ同数不足すると見込まれる。マクロの病院政策の観点から急性期入院日数の削減は急務なのだが、進まない理由は何か?
根本的な問題はアメリカなどでは1990年代に診療報酬を入院日数に関わらず、疾病別に定額にしたのに対し、日本の診療報酬が入院日数に連動していることだ。
アメリカなどの場合、病院側に入院期間を短くしたい、というモチベーションが高まるが日本の場合は必ずしもそうではない。
また患者側の立場で考える場合、日本には高額医療費支給制度という月当たりの医療費個人負担上限を定める仕組みがあるので、そのような制度がないアメリカなどに比べると患者側の入院期間短縮モチベーションもそれほど高くないと私は考えている。
加えて言えば個人加入の医療保険も入院日数に比例して支払われるので長期入院の負担感を緩和しているだろう。
以上ざっと問題点を洗ってみたが、急性期入院日数を減らすには診療報酬を疾病別定額に切り替えることが要だ。無論定額制にもディメリットはあるだろうがまず本気で切り替えを考えるかどうかにかかっている。


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