昨日Financial Stability Board(FSB金融安定理事会)とバーゼル委員会は銀行の新自己資本規制の影響に関する研究を発表した。それによると新しい規制が経済成長に与える影響は銀行グループが当初予想していたよりもはるかに小さい。
ニューヨーク・タイムズによると、GDPに与える影響は銀行グループ(Institute of International Finance)の予想の約1/8である。金融安定理事会の理事長Draghi氏(バンクオブイタリーの頭取)は「より強い規制がマクロ経済に与えるコストは管理可能で長期的には金融の安定と安定的な経済成長を持続することができる」と述べている。
ファイナンシャル・タイムズによると、銀行の堅固な自己資本~危機の時に取り崩すことのできない資本~の1%の増加は世界のGDPを0.2%押し下げると二つの研究は推定している。
バークレイズ・キャピタルは新ルールの下で米国の大手35行は1,150億ドルの資本増強(増資か利益による自己資本の増強)を行う必要があるが、この金額は昨年12月の提案による資本増強額(2,250億ドル)の約半分である。
またもし当局が中核自己資本比率を提案されている8%から6%に引き下げると米国の35の銀行は80億ドルの自己資本の増強で済むとバークレイズ・キャピタルは述べている。
新ルールが完全に適用されるのは2018年だから、中央銀行は銀行に対して甘過ぎるという批判が起きている。
当該研究にはIMFも参加しているが、ニューヨーク・タイムズは「銀行は資本増強コストをコスト削減と銀行員の給料引き下げで相殺できるだろう」というIMFのコメントを紹介していた。
世界的にみると大手銀行にはまだまだコスト削減の余地はありそうだが、果たして邦銀はどうだろうか?