ちょっとした昼寝が午後の活力を増すことは広く知られているところだ。だがエコノミスト誌に出ていた最近の研究によると、ちょっとした昼寝でなく、1時間半程昼寝をすると記憶力が大いに改善するということだ。もっともシエスタ(午睡)の習慣がない日本で1時間半も昼寝をすることは不可能だが。
カリフォルニア大学のWalker教授は、特にエピソード記憶(宣言的記憶)に関心を持った。エピソード記憶というのは「事実や経験を保存する」記憶のことで、運転技術などの「技能や手続きを記憶する」手続記憶と対比される概念だ。同教授はエピソード記憶を蓄積する能力と睡眠時間の関係の実験を行った。
その結果一日中起きているグループよりも、昼寝をしたグループの方が高い記憶力を示した。
既に知られていることだが、エピソード記憶は一時的に脳の海馬という部分に蓄積される。しかし記憶は海馬に長くとどめて置くことができない。エピソード記憶は長期的保存のために、前頭葉皮質に送られる。脳の電気的活動を測定する電脳図によると、この記憶更新能力は、ステージ2ノン-REMスリープに関係することが知られている。
理想的な昼寝の時間は90分から100分。最初の30分の軽い眠りで脳のモーターのパフォーマンスを改善する。次の30分のステージ2の眠りで海馬を活性化する。この後REM睡眠(急速眼球運動の見られる睡眠)に入り夢を見る。研究によるとこのREM睡眠の間に、脳は海馬からダウンロードされた記憶と既に存在する記憶を結合されると示唆している。
このように効果の大きいシエスタだが、Walker教授は一日の中で遅過ぎる時間に午睡を取ると夜の睡眠を妨げるし、誰しもが午睡ですっきりするとは限らないと警告している。
また習慣的に午睡を取る人に較べて、たまに午睡を取る人の方が睡眠惰性(寝覚めが悪くふらふらになる状態)に陥ると警告している人もいる。
午睡を取るなら習慣的に、ということだろう。
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私事ながら、年とともに睡眠時間が短くなり、早朝に目が覚めることがある。年を取ると記憶力が低下する・・・というのは睡眠時間が短くなることと関係があるのだろうか?識者の方のご意見をお聞きしたいものである。
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話はかわるが、最近上の娘に教えられてオンラインで使う英語辞書をALC http://www.alc.co.jp/にしてみた。これは今まで使っていたヤフー辞書などより相当強力。
Prefrontal conrtex(前頭葉皮質)などのような複合語も一発で意味を調べることができた。