金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

オバマのoverrideはどんな結果を生むか?

2010年03月29日 | 国際・政治

Overrideは動詞として「~より優位に立つ。~を覆す。踏み潰す」などの意味がある。名詞としては「無効にすること」という意味の他、歩合という意味もある。

オバマ大統領のoverrideとは何かというと、医療改革法の制定について、同法案に反対する国民が多かったにも関わらず、法案制定に漕ぎ着けたことである。

FTのワシントン駐在員であるClive Crook氏はこの点について、Obama throw out the political rulesというコメントを書いていた。「オバマ大統領は米国の政治ルールを投げ捨てた」ということだ。米国の政治ルールとは何かというと、民意を尊重してoverrideしないことだ。Crook氏は「欧州では政治家が選挙民に対して、何が選挙民にとって良いことかを告げるというルールは日常茶飯のことだが、米国で稀なことで、すぐさま歓迎されることではない」と述べる。

同氏は医療改革法案の成立は法律の影響のみならず、成立過程が11月の中間選挙に大きな影響を与えるし、今後数十年にわたる米国の政治的な軌道を決めるかもしれないと述べている。もっとも後段の推測について私は別の見解を持っているがそれは後述する。

同氏は今から中間選挙の行われる11月の間に、民主党は国民の同党が国民の疑問を覆す法案制定を行ったが、それが国民の最良の利益にかなうものであることを納得させなければならないと述べる。そしてもし民主党が成功し、議会で多数勢力を確保することができると、彼等は他の課題~税制改革、労働問題、エネルギーや産業政策~遂行について、国民からゴーサインを得られる、だがその見通しは不透明というのがCrook氏の見立てだ。

☆        ☆    ☆

これは中々穿った見方だと思うが、私には果たして多くの米国人がオバマ大統領にoverrideされたという意識を持っているかどうか疑問である。今年初めのマサチューセッツ州の上院補欠選挙で、共和党のスコット・ブラウンが勝った。マスコミはこの補欠選挙を「オバマ政治への審判」と位置づけていたから、民主党の敗北をもって、マサチューセッツ州の選挙民は医療改革法に反対姿勢を示したという評価になる。

だが本当のところマサチューセッツ州の労働者を中心とする民主党支持層が医療改革法に反対だから共和党に鞍替えしたのかどうかは分からない。恐らく高止まりする失業率などからオバマ政権に失望した民主党支持層からブラウンに票が流れたという面が多いと私は見ている。

このようなことは昨年の日本の総選挙を見ても分かる。民主党に投票した人が皆「子供手当」に賛成で「普天間基地のキャンプシュワブ移転」に反対だった訳ではあるまい。多くの人は自民党政治に落胆していたので、民主党に期待を寄せた・・・ということなのだろう。

このような視点に立つならば、米国の民主党が医療保険改正法のメリットを国民に説明し、納得させることができたとしても、それだけで選挙に勝てる訳ではない。むしろ個人的には失業率の改善等国民生活の改善が体感できるようになると、民主党は中間選挙で優位に立つ可能性があるし、そうでないと苦しい立場に立つと私は考えている。

従ってオバマ大統領が民意をoverrideしてそれが追認されると米国の政治ルールが変わると断じるのはやや大げさではないか?と私は感じている。

ただ一つ注意しておきたいことは、米国人は「overrideされる」ことをとても嫌う人種であるということだ。自分の権利を覆されて気持ちの良い人間はどこの国にもいない。しかし権限の委譲がはっきりしている米国では、上司が部下に委譲したことについて口を挟むと部下から「私をoverrideするのか?」と抗議されたことは私も経験した。日本では「細かいところまで指導してくれる上司」と評価されることもあるのだが・・・・・

医療改革法案については分からないことが多いと以前ブログにも書いたが、法案成立プロセスも前例のないものだったことも含まれているからだということを改めて認識した次第である。

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腸腰筋を鍛えて楽な山登り~浅間尾根散歩余談~

2010年03月29日 | うんちく・小ネタ

昨日(3月28日)檜原村の浅間尾根を某ローターリークラブのトレッキング同好会の人達と散歩した。檜原村はJR五日市線の終点・武蔵五日市駅の奥に広がる東京唯一の村だ。浅間尾根には「払沢の滝」入り口から登り始める。午前9時に五日市駅を出発する西東京バスは、払沢の滝には寄らずに数馬に向かうので、「本宿役場前」で降りて10分程歩いた。空はどんよりと曇り、山はガスに覆われていて、やがて雨になりそうな天気だった。計画では「日本の滝百選」に選ばれている払沢の滝を往復(約30分)する予定だったが、天気のことを考えて割愛する。9時40分頃登山開始。登山道は舗装された林道と交差しながら、時坂峠に向かう。民家の庭に咲く梅がほのかに匂った。

この浅間尾根は昔は南秋川最奥の集落である「数馬」と五日市を結ぶ重要な生活道路だった。数馬とは少し変わった地名だが、南北朝時代に戦乱を逃れてこの地に定着した南朝方の中村「数馬」という人の名前に由来する。

さて時坂峠の手前にカタクリが咲いていたので、写真を撮ろうとオリンパスE-510のシャッターを押したが、シャッターが下りない。2週間前安達太良山で少し雨に濡れたので電気系統にトラブルが発生しているのだろうか?ショック

そんな理由で今回は写真なし。もっともカメラが元気でもガスでほとんど写真にはならなかったが・・・

11時40分浅間嶺下の休憩所で昼食。座ってオニギリを食べていると体がどんどん冷えてくる。体感温度は氷点下近くというところだ。寒いので早く数馬の湯に入りたいという一心でF隊長を先頭にどんどん飛ばした。

山で早く歩く時二つの方法が考えられる。一つは歩幅を広げることでもう一つはピッチを上げることだ。勿論歩幅を広げてかつピッチを上げることもできるがこれは中々しんどい。

僕は山で早歩きをする時、極力歩幅を広げる方法で対応している。この方がピッチを上げるより楽だからだ。ではどうすると歩幅を広げる歩き方ができるようになるか?というと、僕は腸腰筋を鍛えることが肝心だと思っている。ただしこれがスポーツ医学的に見て正しいかどうかは知らない。あくまで個人的な感覚である。腸腰筋というのは、大腰筋と腸骨筋で構成されるインナー・マッスルで足を根元から持ち上げる時や姿勢の維持に使われる。

僕が腸腰筋を鍛えるために行っていることは自転車漕ぎだ。それと股関節を柔らかくするストレッチ運動。これによって歩幅を広げても安定して歩くことができる。ハイキング仲間がピッチを上げて小走り気味に歩く時、あまりピッチを上げず歩幅を広げるだけで悠然と歩くとちょっとした優越感を覚える。

特に浅間尾根のようによく踏まれて歩き易い登山道では、歩幅を広げる早歩きは有効だ。

1時40分バス通りの檜原街道に到着。ここからバス停二つ奥に入った(西に歩いた)所に「数馬の湯」がある。バスは2時間に一本ほどしかないから当然歩く。約15分の歩行だ。

「数馬の湯」は露天風呂あり、サウナありで非常に良い(入浴料は800円)。五日市駅行きのバスは3時44分に通るので、温泉を上がってからビールを飲む。外を見ると雪が霏々と降っていた(払沢の滝に寄らずに大正解)。

F隊長が「梅は咲いたか 桜はまだかいな」と口ずさむと同行の小唄のお師匠さんもきれいな声で唱和した。登山中のみぞれ雪は始末に悪いが、温泉の後で酒を飲みながら見るぼたん雪ほど楽しいものも少ないのである。

☆   ☆   ☆

午前7時44分に新宿を出る「ホリデー快速あきがわ1号」に乗り、8時50分頃武蔵五日市に到着。9時のバスに乗って払沢の滝から浅間尾根を経由して数馬の湯に入るというのは、新緑や紅葉の時期の手軽なハイキングだろう。数馬から五日市に向かうバスは午後3時44分と午後5時10分。歩行速度と酒量によりどちらかのバスを選択することになる。

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