ニューヨーク・タイムズに「魚が痴呆予防に良い」という研究が発表されたという記事が出ていた。同紙によるとこの研究はThe American Jpurnal of Clinical Nutrition(治療栄養学ジャーナル)の8月号に出ている。
研究は中国、インド、キューバ、ベネゼラ、メキシコなどアジア、中南米の発展途上国で1万5千人の65歳以上の人を対象としたインタビュー調査により行われた。研究によると「毎日魚を食べる人は一週間に数日魚を食べる人よりも約20%認知症にかかりにくく、一週間に数日魚を食べる人は魚を全く食べない人に較べて約20%認知症にかかりにくい」ということだ。当該研究の主任Albanese博士によると「肉について全く逆のことが言える。つまり肉を食べれば食べるほど認知症にかかりやすい」ということだ。また別の研究は赤味の肉が特に脳に悪いという。
魚、特にオイリーフィッシュはオメガ3という多価不飽和脂肪酸を豊富に持っているので健康に良い。動物実験によるとオメガ3は動脈の内側に粥状(アテローム)の隆起が形成されることを防ぐ効果がある。粥状の隆起はアテローム性動脈硬化を引き起こす。単に動脈硬化という場合アテローム性動脈硬化を指すほど、アテローム性動脈硬化は動脈硬化の本筋ということだ。
またAlbanese博士によると、オメガ3はアルツハイマー症候群の特徴であるタンパク類似物質が脳に蓄積することを防ぐのではないかということだ。私がちょっと調べたところ、アルツハイマー症候群の原因は解明されていないが、アミロイド仮説という有力な説があり、それによると脳神経細胞内のタンパク質が切断され、アミロイドβタンパク質になりこれが蓄積するとアルツハイマー症候群になるというものだ。
ところで説明を飛ばしてしまったが、オイリーフィッシュというのはサケ、マス、サバのように身全体に油分があり主に寒流に住む魚という説明がウイキペディアに出ていた。因みにオイリーフィッシュの反対概念がホワイトフィッシュでタラやキスなどが該当するということだ。
西洋諸国の観察的な研究でも魚が認知症を予防するのではないかということが示唆されているが、臨床的な実験ではほとんど検証されていない。臨床研究で実証されると科学的な説得力があるのだが、実験は高価でまた実施が難しいとニューヨーク・タイムズは書いている。科学的証明はさておき我々としては「魚がボケ防止に良い」ということを信じて、魚料理を増やすのが良いのではないだろうか?
ところで昨日会社の同僚の送別会を兼ねて、数名と「庄屋」(ニュートーキョー)に飲みに言った。お刺身など魚を沢山頂き、お酒も沢山頂いた。帰ってから暫くテレビを見ていた気がするが、今何を見ていたか思い出そうとしても全く思い出せない。お魚がボケを防止するといっても、飲み過ぎには勝てないようだ。