金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

闇より吠える金融市場

2007年08月15日 | 金融

闇より吠える・・・とタイトルを付けたがこれは「ヤミ金融」の話ではない。昨今の欧米の金融市場で起きている金融市場の疑心暗鬼ぶりを見ていると蕪村の句を思い出したからだ。

おのが身の 闇より吠えて 夜半の秋  黒犬が自分の影におびえて秋の夜半吠えているという句で前にもブログに引用したことがある。

今欧米の中央銀行~そして日銀も少し参加したが~は、短期金融市場に巨額の資金を供給しているが、その理由は銀行間の資金取引が円滑に進まない懸念が出てきているからだ。エコノミスト誌からの引用だがリーマンブラザースによると銀行間の取引金利であるLIBORと連銀が資金を融資するFed Fund Rateの差が25bpに拡大している。2000年から現在までの二つの金利のギャップは8bpだったから、17bpがいわゆるプレミアムになっている訳だ。何のプレミアムかというと銀行に対するプレミアム。昔邦銀が外銀から外貨を借りる時ジャパンプレミアムを取られたことがあったがあの様なものだ。

今回の問題を1998年のLTCMの危機と比べると際立った違いがある。LTCMの問題は米国の30年国債取引に関わる問題だったが、今中央銀行が頭を悩ませている問題は極短期の金融機関同士の取引の問題である。

金融機関が相手を信用できなくなって高いプレミアムを取る様になっている。ところで相手を信用できないということは「相手が投資している金融商品のリスクが把握できない」「相手の金融商品のリスク測定方法の懸念を持っている」ということではないだろうか?

うがった見方をするとそれは自分も同じ様なリスク商品を抱えそのリスク測定に苦慮しているということなのかもしれない。そこで冒頭の「おのが身の 闇より吠えて 夜半の秋」の句を思い出した次第である。

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