金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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新春に大歌舞伎を初体験

2006年01月16日 | うんちく・小ネタ

先週末ワイフと歌舞伎座に坂田 藤十郎襲名披露を観に行った。実は齢50半ばにして始めてちゃんと歌舞伎を観たのである。「ちゃんと」というのは昨年一幕見席に行き千円程で一幕(谷崎潤一郎の盲目物語)見たことがあるので歌舞伎は全くの初体験ではないが、数時間にわたって観るのは初めてということ。私自身は現時点で歌舞伎が取り立てて好きという訳ではないが、ワイフが行きたいというのでお付き合いである。

さて何事によらず初めてのことというのは多少の緊張を伴うものだ。まず食事の問題。我々は夜の部(4時45分から9時過ぎ)に行ったので途中で夕食を食べる必要がある。僕は(いざとなれば座席で軽食でもとれば良いや)と位に考えていたのだが、ワイフはチャンとした食事がしたいらしい。そこで第1回目の休憩時間に3階席の食堂(やぐら茶屋)でおでん定食(1,200円)を予約する。残り席6つということだったからギリギリだった。今度又来ることがあれば早めに予約をしよう。

さて当日の出し物はまず菊池寛の「藤十郎の恋」。これは密通ものを演じることになった坂田 藤十郎が役作りに苦労して幼馴染のお梶に偽りの恋をしかけるというもの。偽りの恋とは知らず一瞬燃え上がったお梶はやがて偽りの恋と知り歌舞伎小屋で自殺。藤十郎の周りの人々(偽りの恋の相手がお梶とは知らない)は「これで舞台も終わりだ」と騒ぐが藤十郎は「藤十郎の芸の人気が女子一人の命などで傷つけられてよいものか」と嘯くところで終わりとなる。

これは坂田藤十郎の芸術至上主義を示したものか?あるいは偽りとはいえ不義の恋の露見を恐れて自害(当時不義の恋が露見すれば二人とも死罪)したお梶の哀れに涙をさそうのが狙いか?・・・・などと考えることはさておきテンポも良く分かりやすいお芝居だった。

その後「伽羅先代萩(めいぼくさんだいはぎ)」や踊り2つと続くのだが詳細は省略しよう。先代萩は坂田藤十郎演じる乳母政岡の細かい芸が見せ所(のはず)なのだが、歌舞伎に造詣のない私は少し眠気を感じた。ふとみるとワイフを含めうとうとしている人が周りに何人かいたので一安心。

☆     ☆     ☆    ☆

多少眠たいところはあったが歌舞伎は観て楽しかった。舞台芸術の良さは役者さんの熱気が直に伝わってくることだ。話の背景や歌舞伎役者さんのことが分かればもっと楽しいだろう。次歌舞伎に行くことがあればもう少し勉強してから行こう。

それにしても歌舞伎には女性の観客が多い。多少うがったことを言えば女はお芝居を観ることで「自分では実現できない夢を役者に託しカタルシスを感じている」ということだろうか。つまりお梶の恋を通して女は人気役者藤十郎に不義であれ、迫られることをどこか夢見ているのではないだろうか?そういえばカタルシスには「罪なる魂を清める」という意味があるということだ。それにしてもワイフが歌舞伎を観たいなどと言い出したのは子供からすっかり手が離れて暇になったからだろうか?それとも日常では得られない何かを見たいのだろうか・・・・・・

コメント
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