追憶の彼方。

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戦争責任...(1)

2018年08月26日 | 国際政治
戦争責任
古今東西如何なる理由があろうとも侵略戦争に大義などある分けがなく,悪であることに変わりはない。そういった意味では多くの犠牲者を出した太平洋戦争は連合国が善で日本だけが悪だという事にはならない。
太平洋戦争は中華民国やオーストラリアを除く連合国と日本双方の覇権・膨張主義、植民地政策がぶっつかりあった侵略戦争であり両者の責任は極めて重い.

しかし戦争の発端は日本が仕掛けた満州事変であり、資源を求めてフランス領インドネシアへ日本が進駐したことなど、後発帝国主義国・日本が欧米列強のアジアにおける既得権益を侵犯するのを牽制する必要上、経済制裁としてアメリカが日本に対する石油禁輸措置に出た事にある。
日本は局面打開の為対米交渉を行ったが、軍部強硬派の東条英機が首相に就任した事もあって、日本の姿勢に疑いを抱いたアメリカは「中国・仏印からの全面撤退と三国同盟(独・伊)破棄」を通告してきた。この所謂ハル・ノートは以前には無かったような厳しい内容で、軍部を中心に到底受け入れられるような内容ではないとして、破れかぶれで勝算なき戦争に突入した。日本は宣戦布告もせず奇襲戦法を用いて真珠湾攻撃を行い自ら戦争の火蓋を切ったのである。理由の如何を問わず戦争を仕掛けたのは日本であることは間違いない。
明治政府成立6年後には早くも台湾に出兵し、以降太平洋戦争敗戦に至る凡そ70年間戦争の連続だった。国民の苦しみを無視して、なんと戦争好きな政治家の集まりだったのだろうか。(この点については後で触れたい。)

この戦争は日本が独立国として存続するための自衛戦争、あるいは西洋帝国主義諸国の植民地主義と戦って、過酷な支配の下にあったアジア植民地を欧米列強から解放するための戦争であったと主張し、戦争はアジア諸国の侵略を目的としてものではないとする意見が根強く存在する。 中曽根元首相が言い始めた言説だが、靖國派と称されるような主として日本会議を活動拠点とする自称保守の右派の面々がこれに飛びつき、今に尾を引き国際紛争、日本に対する不信感の種になっている。
では本当にそうだろうか。
そもそも日本はモンゴルの初代皇帝フビライが七百数十年前に日本征服を目論んで対馬・壱岐等に来襲した元寇以降太平洋戦争末期に至るまで侵略目的で仕掛けられた戦争など存在しない。侵略された経験もないのに侵略される恐れがあるとして、朝鮮半島や満州・モンゴルは北からの侵略を防ぐ日本の自存・自衛の防衛線であると勝手に決め込んでこれらの国に侵略したことを正当化するのであれば何でも自存自衛にすることができる。
北朝鮮や中国、ロシアが沖縄や九州をアメリカの侵略を防ぐ自存自衛の防衛線だと言って侵略するのと同じ様な暴論なのである。
戦時中、軍の圧力にも屈せず反軍演説で有名となった民政党の斉藤隆夫は「日本の大陸発展を以て帝国生存に絶対必要なる条件なりと言わんも、自国の生存の為には他国を侵略する事、可なりとする理屈は立たない。もしこれを正義とするならば切り取り強盗は悉く正義である」と述べてている。狂犬病を患ったような狂気の軍部を相手に命の危険も顧みず実に勇敢な正論である。

次にアジア開放のための戦争だったという侵略戦争正当化論である。
橋本龍太郎元首相は「中国に対しては侵略、朝鮮に対しては植民地主義と言われても仕方がない…しかし、第二次大戦の米英との戦いが侵略戦争かどうかは疑問」と多少潔い発言を行っている。日清戦争は朝鮮を植民地化する為の清国と日本の覇権争いであり、日露戦争は満州(中国北東部)と朝鮮の支配権を巡るロシアと日本の覇権争い、即ち双方からの侵略戦争であることを認めたのはコチコチの歴史修正主義者と異なっている。
しかし後段の米英との戦い云々の発言は不勉強なのか、或いは極東国際軍事裁判の結果を否定したい靖国派等の連中に配慮したのかわからない。
しかし1943年5月の御前会議で決定された「大東亜政略指導大綱」では領土的野心むき出しの内容になっている。満州・中国・タイ・仏印(フランス領インドシナ…ラオス、ベトナム、カンボジア)・ビルマ・フィリピン・その他の占領地域を日本の支配地域とし、そのうちマライ・スマトラ・ジャワ・ボルネオ・セレベスは「帝国領土と決定し、重要資源の供給地として極力これが開発並びに民心掌握に努む。」と決定している。欧米の植民地支配者に取って代わってアジアの支配者になろうとする醜い侵略者の姿そのままである。

東京裁判の中には誤りもあるが、日本はサンフランシスコ講和条約で軍事裁判判決を受諾して国際社会に復帰できた。それを忘れて『勝者の裁き』というのは誤りだ。
敗戦となる1945年8月までの凡そ70年間日本は戦争を繰り返し日本だけでも3百10万人に及ぶ犠牲者を出し、又原爆や空襲で国土を破壊し尽くした。
戦争は、災害が静まるように自然に終わったのではない。 正常な精神状態ならばとっくに降伏していたはずのところを、無謀な玉砕戦を1年近く引き延ばした挙げ句、万策尽きて無条件降伏したのである。
原爆投下や特攻隊は政治家・軍隊の戦争責任者の責任逃れの優柔不断が招いた結果である。彼等は真に卑怯で無能な人間の寄せ集めであった。
卑怯な人間の特徴は自らは安全な場所にいて率先して動くことをせず、身の安全を図るため卑劣な行為を行うのに罪悪感がない…色んな資料を読んだ正直な感想である。


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