サクラナ外伝フォー「連れていかないで」
「連れていかないでー!」
タマキが泣きながら、
そう悲鳴のような声を上げたとき、
サクラナはあのときのことを思い出した。
意識のないあおむが実の母親の指示で、
病院を転院させられたときのことである。
あのとき、
泣いて抵抗したウメナとタマキを止めたのはサクラナだったのだ。
サクラナはあのときのことを思い出していた。
わめくタマキと、
ただ泣きじゃくるウメナの頬をたたいて、
あおむを実の母に託した、
というより、
渡してしまったのは、
サクラナ本人だったが、
それが、
サクラナの本意ではなかったことを。
サクラナは、
ある意味大人のようにふるまったが、
それは、
ある意味、
一種の自己欺瞞であったことを。
サクラナはいつも自分の気持ちを抑えて正直には生きてこなかったことを。
また、
ここで、
あの日、
いや、
これまでと同じ過ちを繰り返していいのだろうかと。
サクラナはそう思っていた。
しかし。
(続く)
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