レイジーなガキ

小説、コミカルミステリー?下品なので要注意。カミサン伝説研究中。真面目に読んでも考えてもまして怒ってはいけません。

サクラナ外伝フォー「失言」

2016-01-20 06:53:02 | 小説

サクラナ外伝フォー「失言」


 そして、寿司屋の大将の弟子のトンペイが大将に言われるまま、
すぐに、あおむが作った、お茶碗カレーを手にすると、
大将とは違って、右手で持っているスプーン上に、
ルー、ライス、具を山盛りにのせると、
それを大きな口で一気にパクついてから、
 「イケるすよ!
 とろみがなかったんで怪しいかとは思ったすが。
 わざとだったんすか」
と誉めてはいるが余計なことまで言ってしまったのだった。
 「トンペイ!
 あー、いい。
 おまえもいただけ」
 大将はトンペイが旨そうにパクついたにもかかわらず
相変わらず疑いの目で自分の目の前の茶碗をじーっと見ているケンタという幼児
をちらっと見てから、
次に余計なことを言ったトンペイを怒鳴りかけながらも、
自分の実妹である、その幼児の母親の方を見て
そう命令するように言った。
 「青無川さん、いただきます」
 幼児の母親が兄である大将に言われるまま、
それだけ言って茶碗を手に取ると、
二人とは違い黙って味を確かめるように、
ゆっくりと何口かカレーを食べてから、
 「青無川さん、さすがです。
 ありがとうございました。
 ケンタ、見た目とは違って本当においしいわよ。
 あんたもいただきなさい」
とやはり余計なことまで言ってしまった後で、
トンぺイとは違い自分の失言に気づいたのか、
ちらっとあおむの方を見てすまなそうに軽く頭を下げてから
兄である大将の方をも見てしまったので、
 大将もつられて、
 「余計なこと言うなよ!
 見た目はどうでも、うめえもんはうめえんだよ」
と言ってしまったので、
 相当疑い深いのか、トンペイたちのちょっとした失言が疑いを増してしまったのか、
 その幼児はまだあおむの作ったカレーには手をつけないでいた。

(続く)



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