レイジーなガキ

小説、コミカルミステリー?下品なので要注意。カミサン伝説研究中。真面目に読んでも考えてもまして怒ってはいけません。

本編リメイク「疑惑」

2009-04-23 14:59:01 | 小説
本編リメイク「疑惑」

 「何故、エイタさんが、
永久さんが亡くなったことより、
永久さんが亡くなっていた場所に
こだわるのですか?
先生?
友人が亡くなったということにショックを受けるのが
普通ではないですか?
実際に自分の目で確認するのと、
聞いたり、推理したりするのとでは、
違うのではないでしょうか?」
 アユメが珍しく、タヨウの意見に異論を述べる。
 「たしかに、アユメさんの意見は正論だと思いますわ。
でも、私だけのカンかもしれないですけど、
エイタさんは永久さんの死については
そんなに悲しんでいたようには見えないんです。
あの地下室で、いつきさんだけ助けて逃げてきたということは、
はっきり言って彼にとって、
永久さんを本当の友人だと思ってはいない、
それだけのことじゃないかしら」
 チウメは自分の意見を率直に言う。
 「ですが、
それなら、なんで、
比較的冷静なエイタさんがあんなに動揺したんですか?
僕には、いつきさんがいなくなったときから、
エイタさんを見てますが、
あの取り乱しようは異常だと思いますが?
友人とかそういうレベルの問題ではないと思います」
 タヨウは、あくまでも自分の意見を貫く。
 「不思議ですわね?
アスカちゃんが消えたことに冷静なお二人が、
友情にこだわるとは」
 ヒトミが皮肉めいてそう言う。
 「そ、それは」
 チウメもアユメも口ごもる。
 まるで、
二人がアスカについては友情を否定しているかのように。
 「それに、
お二人は永久さんが亡くなったことにもクールね」
 ヒトミはさらにだめを押すように嫌みをいう。
 「そ、そんなひどい、お母様」
 アユメは言い返すがチウメは黙っている。
 「恐れ入りますが、
まずは、警察を呼んだ方がよろしいかと」
 キタジマが小声で言う。
 「あーた、まだ、警察呼んでなかったの?」
 ヒトミはそういうとキタジマのおでこを叩く。
 「す、すいません、
今すぐ、呼んで参ります」
 キタジマはそう言うと、ぺこりと頭を下げて、
屋敷の方へ走って行った。
 「キタジマはいざという時気がきかないのよね」
 ヒトミは愚痴をこぼす。
 ヒトミの一言で、場は緊張するが、
 「あのー、永久さんは殺されたんですか?」
 アユメが駄目を押す。
 「あーた、きれいなお顔している癖に鈍いわね。
先生がエイタが永久くんを殺したって、
遠回しに言っているじゃない?」
 ヒトミはそう言うと、アユメを睨みつける。
 「いえ、僕はそこまで...」
 タヨウの弁解の声は限りなく、
ヒトミには聞こえないほど、小さかった。
 そして、キタジマが屋敷へ戻ると
同時に永久とヒラメがいる空間への扉は静かに閉まりかけていく。
(続く)




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