「そして3人しかいなくなった?」293
リカたちは、
後は4人が無事ビルに戻ることを祈るしかなかった。
リカとタケはもう見ていられなくなって、
手を合わせながら目を瞑っていた。
エミと信長少年は、
じっと黙ったまま4人を見ているだけだった。
「もう少しよ」
「うん...」
みつるもたけるがバテるくらいなので、
もう既にバテていたが、
目前にビルが迫っていたので、
どうにか我慢して歩いていた。
少し元気を取り戻したたけるは、
「まだ、1分ちょっとある。
みつる、がんばれ!」
「うん...」
みつるがそれしか答えられなくなったとき、
みつるの背中の上の少年が、
「すいません。
ここからなら、
僕でも1分あれば、走れると思います」
と言ったかと思うと、
すーっと、みつるの背中からうまく離れたか
と思うと、後ろに転んでしまったのだった。
「おい、無理するな」
「大丈夫です」
たけるの言葉に、
その少年は立ち上がるとお尻の辺りを痛そうにさすりながら、
ビルに向かって、
走るというより、
歩き始めたのだった。
(続き)
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