第4弾リメイク「返してください」
「昨日さあ、ブクロでさあ、
面白いこと見ちゃったんだけど、聞きたい」
みつおはあおむに
いかにも自分の話を聞いて欲しそうな顔で話す。
「別に話したいなら、聞いてやるけど」
あおむは本音を言う。
「聞きたくないなら、いいぞ。
でも、この話しを聞いたらなあ。
やめておくよ。無理に聞かないでいいよ」と
みつおが言う。
あおむは聞いて欲しいなら素直に言えばなあと思いつつ、
どうせくだらんことだろうと思って
「何、そんなに面白い話しなの?」と
わざと興味を示すと
「そんなにすごくは面白くはないけどな。
それに言っておくがこの話しを
他人に話しても絶対に信用してもらえないからな。
それでもいいなら話すぞ」
あおむはなんだホラ話かと思いつつも
実はみつおに頼み事があったので聞いてやることにした。
「わかった。誰にも話さないから聞かせて」
「そうか。やっぱり聞きたいか。
でも本当に誰にも話すなよ。
いいな。ホラ吹き野郎だと思って信用なくすからな」
「ああ、わかった」
「あのな、昨日、ブクロの例の通りを歩いてたらさ、
かなり禿げ上がった小男が
いかにもホストって感じの男と
水商売風のケバい女にいきなり声かけたんだ。
「返してください」って。」
「金か」
「女みたいなこと言うなよ。
いいから、黙って聞けよ。
女の方がさあ、
「ターちゃん、また、借金したの」って、
そのホスト風の男に訊いたんだ。
そしたら、ホスト風の男が答える前に
小男が「違います。お金で買えるものじゃありません」って
真面目そうな顔で言うのさ。
ホスト風の男、もうめんどうだからホストでいいや。
えーと、そのホストは
何故かその小男の顔をみてきょとんとしてんだ。
多分、どこかで見たことのある顔だったんだろうなあ。
それでそのホストが
「あんた誰だっけ」って訊いたのさ。
すると小男はまた
「返してください。一週間の約束でしょう」と言うのさ。
ホストの方がまた少し考えて
「あんた街金の取立屋でもなさそうだし、
でも、たしかにどこかで会った気がするけど、
誰だっけ」って訊いてさ。
そうしたら、その小男、ホストの質問に答えないで
「早く返してください」って
また同じことの繰り返しさ。
しびれをきらした女の方が
「いくら」って
その小男に言うと、
「ですから、お金で買えるものではありませんから、
売ることもできません。
あなたからも彼に返すように言ってください」と
小男はむっとしたような顔で女に言ったわけ。
そしたら、女が笑って
「まさかヅラ返せとか言わないでしょうね」と言うと、
「僕が少し禿げてるからって
バカにしないでくださいよ。
とにかく早く返すように言ってください」と
小男が少し怒りだしてさ」
(続く)
「昨日さあ、ブクロでさあ、
面白いこと見ちゃったんだけど、聞きたい」
みつおはあおむに
いかにも自分の話を聞いて欲しそうな顔で話す。
「別に話したいなら、聞いてやるけど」
あおむは本音を言う。
「聞きたくないなら、いいぞ。
でも、この話しを聞いたらなあ。
やめておくよ。無理に聞かないでいいよ」と
みつおが言う。
あおむは聞いて欲しいなら素直に言えばなあと思いつつ、
どうせくだらんことだろうと思って
「何、そんなに面白い話しなの?」と
わざと興味を示すと
「そんなにすごくは面白くはないけどな。
それに言っておくがこの話しを
他人に話しても絶対に信用してもらえないからな。
それでもいいなら話すぞ」
あおむはなんだホラ話かと思いつつも
実はみつおに頼み事があったので聞いてやることにした。
「わかった。誰にも話さないから聞かせて」
「そうか。やっぱり聞きたいか。
でも本当に誰にも話すなよ。
いいな。ホラ吹き野郎だと思って信用なくすからな」
「ああ、わかった」
「あのな、昨日、ブクロの例の通りを歩いてたらさ、
かなり禿げ上がった小男が
いかにもホストって感じの男と
水商売風のケバい女にいきなり声かけたんだ。
「返してください」って。」
「金か」
「女みたいなこと言うなよ。
いいから、黙って聞けよ。
女の方がさあ、
「ターちゃん、また、借金したの」って、
そのホスト風の男に訊いたんだ。
そしたら、ホスト風の男が答える前に
小男が「違います。お金で買えるものじゃありません」って
真面目そうな顔で言うのさ。
ホスト風の男、もうめんどうだからホストでいいや。
えーと、そのホストは
何故かその小男の顔をみてきょとんとしてんだ。
多分、どこかで見たことのある顔だったんだろうなあ。
それでそのホストが
「あんた誰だっけ」って訊いたのさ。
すると小男はまた
「返してください。一週間の約束でしょう」と言うのさ。
ホストの方がまた少し考えて
「あんた街金の取立屋でもなさそうだし、
でも、たしかにどこかで会った気がするけど、
誰だっけ」って訊いてさ。
そうしたら、その小男、ホストの質問に答えないで
「早く返してください」って
また同じことの繰り返しさ。
しびれをきらした女の方が
「いくら」って
その小男に言うと、
「ですから、お金で買えるものではありませんから、
売ることもできません。
あなたからも彼に返すように言ってください」と
小男はむっとしたような顔で女に言ったわけ。
そしたら、女が笑って
「まさかヅラ返せとか言わないでしょうね」と言うと、
「僕が少し禿げてるからって
バカにしないでくださいよ。
とにかく早く返すように言ってください」と
小男が少し怒りだしてさ」
(続く)