新「ミケーレの蒼き仮面」第五章253
「どうしたの?」
「震えてるよ?」
パティとウトーが、
ポーが悲鳴のような甲高い声を出して、
大きな首だけ砂浜から出た状態だけでも、
震えだしたことがわかる程、怯えだしたのだった。
「だから、どうしたの?」
「怖がってるね」
「ポーさん、どうしたんです」
「怖がる必要ないんですよ」
と、
その場にいた4人が次々と声をかけたが、
ポーは醜い顔に細い目を瞑ったまま、
声も出ない程、怯え続けたのだった。
「ダメみたいだねえ」
「この仮面に謎があるんだねえ」
ウトーとパティがそれだけ言うと、
二人の少女は、
「あたしたちに任せてくれるわよね」
「信じてください」
とウトーたちの耳もとで、
ポーには聞こえないように囁くと、
すぐに走ってその場を去ったのだった。
そこで、
チェリーたちの姿が見えなくなったので、
ウトーが、
「ポー!
もう大丈夫だよ。
二人が仮面を捨てに行ったから」
と嘘をつくと、
ポーはしばらく震えてはいたが、
砂浜を走っていく音が聞こえなくなったことと、
その気配でウトーの言葉を信じたのか、
そっとその細い目を開けたのだった。
(続く)