非常に強い寒波が日本列島で暴れている。
坂の街・長崎で16cmの積雪を観測し、記録を塗り替えたとか、鳥取砂丘が雪丘になったとか、奄美大島に115年ぶりに雪が降ったなどのニュースを見た。石垣島の浜に、海水の温度が低すぎて仮死状態になった魚がうち上げられた映像は、特にビックリである。
東京は晴れていたけれど寒かった。朝はさほどでもなかったけれど、夕方、休日出勤から帰るときは風も強く、マフラーに顔をうずめて歩いた。
そういえば、前にもこれくらい寒い日があったと思い出す。
たしか、結婚して2年目あたりではなかったか。1990年代前半は浦和のマンションに住んでいて、娘はまだ生まれていなかった。その日は日曜日で、起きたらやたらと寒かった。夫はまだ寝ていたから、起こさないよう、そっとトイレに立った。
トイレの水は流れたが、水道の蛇口を開いても水が出てこない。
「あれっ?」
断水だろうか? 親しいというほどではないけれど、お隣さんはどうかしらと電話をかけてみた。
「おはようございます。笹木ですが、蛇口から水が出ないんです。そちらは出ますか?」
「おはようございます。うちもなんです。1階と2階は何ともないと言っていますけど、3階は受水槽が凍って断水しているみたい」
水道管は凍っていないから、2階までは水が出る。しかし、受水槽を経由している3階だけは水が出ないというわけだ。何たる不公平。
「えー、どうしようかしら。水が出ないと困りますね」
「ホントホント。特にトイレとか」
さきほど、タンクに入っていた水を使ってしまったので、夫が起きてきたら流れる水がないはずだ。それはまずいだろうと焦った。
「〇〇さんちで水をもらってきたらどうですか? うちもさっき、バケツを持っていきました」
「あ、その手がありましたか」
2階の〇〇さんは2人の男児のママで、会えば挨拶を交わす程度のつきあいだ。いきなり、休日の朝に「トイレを貸してください」では厚かましすぎる。急いで着替え、電話で頼んでみたら、「どうぞどうぞ」と言ってくれた。
「水でいいんですか? お湯もありますよ。早く出るようになるといいですね」
「朝っぱらからすみません。どうもありがとうございました」
隣人に助けられ、外は寒かったけれど、バケツを持つ手は温かかった。1階にも親切な家庭はあるから、頼めば断られなかっただろう。私は恵まれていると、ありがたく思った。
「えっ、断水? ひどいな」
日が高くなった頃、夫が起きてきた。トイレの前にタンクに水を入れるよう伝え、新聞を開く。落ち着いて休日の朝を過ごせるのも、協力的な隣人たちのおかげである。
ほどなく、受水槽が稼働する音が聞こえてきた。
「きたーっ」
予想通り、蛇口を開けば水が出る。やっと断水から解放されたのだ。
引っ越して20年以上経つが、今朝、あの受水槽は凍らなかっただろうか。
「遠くの親戚より近くの他人」ということわざが正しいことを、証明した寒波だった。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
坂の街・長崎で16cmの積雪を観測し、記録を塗り替えたとか、鳥取砂丘が雪丘になったとか、奄美大島に115年ぶりに雪が降ったなどのニュースを見た。石垣島の浜に、海水の温度が低すぎて仮死状態になった魚がうち上げられた映像は、特にビックリである。
東京は晴れていたけれど寒かった。朝はさほどでもなかったけれど、夕方、休日出勤から帰るときは風も強く、マフラーに顔をうずめて歩いた。
そういえば、前にもこれくらい寒い日があったと思い出す。
たしか、結婚して2年目あたりではなかったか。1990年代前半は浦和のマンションに住んでいて、娘はまだ生まれていなかった。その日は日曜日で、起きたらやたらと寒かった。夫はまだ寝ていたから、起こさないよう、そっとトイレに立った。
トイレの水は流れたが、水道の蛇口を開いても水が出てこない。
「あれっ?」
断水だろうか? 親しいというほどではないけれど、お隣さんはどうかしらと電話をかけてみた。
「おはようございます。笹木ですが、蛇口から水が出ないんです。そちらは出ますか?」
「おはようございます。うちもなんです。1階と2階は何ともないと言っていますけど、3階は受水槽が凍って断水しているみたい」
水道管は凍っていないから、2階までは水が出る。しかし、受水槽を経由している3階だけは水が出ないというわけだ。何たる不公平。
「えー、どうしようかしら。水が出ないと困りますね」
「ホントホント。特にトイレとか」
さきほど、タンクに入っていた水を使ってしまったので、夫が起きてきたら流れる水がないはずだ。それはまずいだろうと焦った。
「〇〇さんちで水をもらってきたらどうですか? うちもさっき、バケツを持っていきました」
「あ、その手がありましたか」
2階の〇〇さんは2人の男児のママで、会えば挨拶を交わす程度のつきあいだ。いきなり、休日の朝に「トイレを貸してください」では厚かましすぎる。急いで着替え、電話で頼んでみたら、「どうぞどうぞ」と言ってくれた。
「水でいいんですか? お湯もありますよ。早く出るようになるといいですね」
「朝っぱらからすみません。どうもありがとうございました」
隣人に助けられ、外は寒かったけれど、バケツを持つ手は温かかった。1階にも親切な家庭はあるから、頼めば断られなかっただろう。私は恵まれていると、ありがたく思った。
「えっ、断水? ひどいな」
日が高くなった頃、夫が起きてきた。トイレの前にタンクに水を入れるよう伝え、新聞を開く。落ち着いて休日の朝を過ごせるのも、協力的な隣人たちのおかげである。
ほどなく、受水槽が稼働する音が聞こえてきた。
「きたーっ」
予想通り、蛇口を開けば水が出る。やっと断水から解放されたのだ。
引っ越して20年以上経つが、今朝、あの受水槽は凍らなかっただろうか。
「遠くの親戚より近くの他人」ということわざが正しいことを、証明した寒波だった。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
テレビを見ていると、この程度の雪で…と思うけど供えが無ければ憂いありですかね♪
人は困ったときには火事場の馬鹿力ではないけど知恵も働くもののようです。
困ったときには何でも利用しなくては、困っている他人が居たときは助けてあげないとね(*^^*)ポッ
おそらく、北国の方から見たら、「この程度で情けない」となるでしょうね。
屁みたいなものでしょうか(笑)
仮死状態になった魚は目がうつろでした。
そして、それをバケツに入れて持ち帰るオバちゃんも映っていました(笑)
たくましい~!
水をもらうだけでも、コミュニティが希薄な社会では勇気がいります。
何とか乗り切ってよかったわぁ。
おかげで今日は、寒さが和らぎました。
マンションの弱点も、あるんですね。
でも素敵なご近所さんがいらして、うれしいですね。
今回の寒波で、水をくださった方も、
砂希さん方を思い出されたかもしれません。
なんか暖冬って聞いてたような気もしますが、やはり冬なんですね。寒い、寒い…。
昨冬も関東以外の地域が雪に覆われたようなイメージがあるけど気のせいか?
マンションは階によってそういう違いがあるんですね。幸いにもマンションに住んでた頃にライフラインで困る事象が起きなかったですわ。
隣近所の住人とコミュニケーションを持っとくのは大切なんですね。僕だったらどうなってたかな?あー、恐い。
私は今から16、7年前にカナダに住んでいたのですが、その時のアパートは4階建てで私は4階に住ん出ましたが、とにかくあちらの安アパートは水圧が弱く頻繁に止まってたことを記事を読んで思い出しました。
寒い冬などシャワー中に止まった時は悲劇でしたね~
今日はさらにポカポカでしたね!
このまま春になったらえらいことですが。
近所づきあいには、はっきりいって消極的でした。
でも、いざというとき、必要なのだとわかりましたよ。
お隣さんに感謝です。
水をくれた方は、3年後に引っ越されました。
お隣さんより先に、うちも引っ越し。
お元気でいるかしら。
平成最初の日は1月8日だったような…。
天皇陛下崩御の知らせが全国を駆け巡った日、私は出かけていました。
新宿で、号外をもらったんじゃなかったかしら。
それまで昭和64年だったのに。
水をくれた家庭の隣には、大学生の兄弟が住んでいました。
挨拶はしていましたから、いざというときは水くらい恵んでくれたと思います。
振り返ってみると、穏やかな人に囲まれていたんですね。
腰は大丈夫ですか?
ライブであれこれ忙しくされていたから、疲れがたまっていたのかも。
カナダには行ったことがありません。
そういえば、この寒波でナイアガラの滝も凍っていました。
あんなに豪快な水量なのに。
日本と違って、湯船で温まる習慣はないのでしょうね。
シャワーがとまると凍えそう(笑)
今の家から何キロと離れていませんが、あの家以外では凍った試しがありません。
構造上の問題だったのか、温暖化が進んでいるのか…
今週、職場の水道管に亀裂が見つかり、断水するという騒ぎに見舞われたんですよ。
同僚が一斉に「なんやねん!茶も飲めんがな」と囁き合いましたが、ひとりだったらもっと寂しかったでしょうね。
助け合いとはちょっとちがいますが、同じ体験をする仲間がいると心強いです。
職場で断水!
こちらは点検のため、夏に半日ほど起きます。
前もって予告されているから覚悟できていますが、突然だと困りますね。
水道管が凍ると、解凍するまで水が出ないのでしょうね。
細い箇所があったのかも。
とにかく断水は不便です。
仲間がいると乗り切れるのは連帯感のなせる業でしょうか。
茶は大事(笑)