バーデと天然温泉が売りの「豊島園 庭の湯」に行った。
このところ、公私ともに多忙で疲れている。同じく部活疲れの娘を誘い、引きこもりの夫をエサで釣り、家族で出かけることにした。
館内は、大きく、水着着用のバーデゾーンと、水着のいらない露天・お風呂ゾーンに分かれている。
私はバーデゾーンが好きだ。ドイツの伝統的バーデを基本にした、このバーデプールは、体温と同じくらいの温度なので、長く入っていてものぼせない。しかも、男女一緒に楽しめるので、カップルや家族がゆったり過ごしている。
プールには、アクアマッサージの設備が充実しており、足、腰、背中、肩などに強い水流を当てて、体の疲れをほぐすことができる。「気持ちいいね~」と中学生の娘も喜んでいた。小学生以下は入場できないから、「大人の湯処」というフレーズ通り、落ち着いた雰囲気がある。
屋外のジャグジーに行くため、扉を開けると、そこは思いっきり冬だった。夜だったこともあり、薄暗くて心細い。
「さ、さぶい!」
一刻も早く寒さから逃れたくて、私たちは小走りにジャグジーまで進んだ。直径2mほどの円形のジャグジーには、温かそうな湯気が漂っている。
「お父さんが入ったら、お湯があふれちゃうね」
デブの夫を見て、娘が小憎らしいセリフを口にした。しかし、夫は強気だ。
「いや、だいぶ痩せたんだ」
「えっ、ホント!?」
そういえば、太鼓腹が小さくなった気がする。牛体型の夫は、今にも「モ~」と鳴き出しそうな雰囲気だったのに、最近では自分の足元が見えるそうだ。
「毎日サプリ飲んでいるから、脂肪が燃えたみたいだよ」
「ああ、あの、ニノってヤツ?」
「……ニノじゃなくて、ノニ」
間違えた……。
先日、最終回を迎えた話題のTVドラマ『フリーター、家を買う』の影響を、知らず知らずのうちに受けていたらしい。といっても、私は一度も見ていないのだが。
屋外にはジャグジーが2つあり、そろそろ軟水ジャグジーに移動しようということになった。
移動距離はほんの少しなのに、湯から出るとまた寒い。「ひー」と震えながら、軟水ジャグジーを目指すと、途中にビーチリクライニングチェアが数個並んでいた。
私も娘も、同時に指を指し、「誰が使うんだよ!!」と大笑いした。
師走の冷たい北風にさらされ、我慢大会でもするのだろうか。
「次はサウナに入ろう」と言われ、私は顔をゆがめる。何を隠そう、私はサウナが大の苦手なのだ。
夫と娘は、「サウナ、サウナ」とスキップして、入口に吸い込まれていく。数秒遅れて、私もイヤイヤ扉を開け、タオルを敷いて階段状のベンチに腰掛けた。
暑い……。
入ったとたん、熱い空気が喉から肺に侵入し、息苦しくなる。ひるんだところに、重苦しい熱気が手足に絡みつき、背中からのしかかってくる。じわじわと、締め付けられるような圧迫感だ。冬だというのに、肌には汗が浮いてきた。
何が悲しくて、こんなに暑い思いをしなければならないのか。サウナが好きという人は多いが、私にはまったく理解できない。
結局、5分もたたないうちに、私は一人でサウナを出た。
こんなところにいるくらいだったら、冷たいリクライニングチェアに寝そべり、やせ我慢をしていたほうがマシだ。
プールのあとは、お風呂に入り、食事を楽しんだ。
髪を乾かして帰ろうと、鏡をのぞいて仰天する。マスカラが落ちて、目の下に黒い汚れを作っているではないか。
サウナに入ったせいかしら……。
ますます、サウナが嫌いになりそうだ。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
このところ、公私ともに多忙で疲れている。同じく部活疲れの娘を誘い、引きこもりの夫をエサで釣り、家族で出かけることにした。
館内は、大きく、水着着用のバーデゾーンと、水着のいらない露天・お風呂ゾーンに分かれている。
私はバーデゾーンが好きだ。ドイツの伝統的バーデを基本にした、このバーデプールは、体温と同じくらいの温度なので、長く入っていてものぼせない。しかも、男女一緒に楽しめるので、カップルや家族がゆったり過ごしている。
プールには、アクアマッサージの設備が充実しており、足、腰、背中、肩などに強い水流を当てて、体の疲れをほぐすことができる。「気持ちいいね~」と中学生の娘も喜んでいた。小学生以下は入場できないから、「大人の湯処」というフレーズ通り、落ち着いた雰囲気がある。
屋外のジャグジーに行くため、扉を開けると、そこは思いっきり冬だった。夜だったこともあり、薄暗くて心細い。
「さ、さぶい!」
一刻も早く寒さから逃れたくて、私たちは小走りにジャグジーまで進んだ。直径2mほどの円形のジャグジーには、温かそうな湯気が漂っている。
「お父さんが入ったら、お湯があふれちゃうね」
デブの夫を見て、娘が小憎らしいセリフを口にした。しかし、夫は強気だ。
「いや、だいぶ痩せたんだ」
「えっ、ホント!?」
そういえば、太鼓腹が小さくなった気がする。牛体型の夫は、今にも「モ~」と鳴き出しそうな雰囲気だったのに、最近では自分の足元が見えるそうだ。
「毎日サプリ飲んでいるから、脂肪が燃えたみたいだよ」
「ああ、あの、ニノってヤツ?」
「……ニノじゃなくて、ノニ」
間違えた……。
先日、最終回を迎えた話題のTVドラマ『フリーター、家を買う』の影響を、知らず知らずのうちに受けていたらしい。といっても、私は一度も見ていないのだが。
屋外にはジャグジーが2つあり、そろそろ軟水ジャグジーに移動しようということになった。
移動距離はほんの少しなのに、湯から出るとまた寒い。「ひー」と震えながら、軟水ジャグジーを目指すと、途中にビーチリクライニングチェアが数個並んでいた。
私も娘も、同時に指を指し、「誰が使うんだよ!!」と大笑いした。
師走の冷たい北風にさらされ、我慢大会でもするのだろうか。
「次はサウナに入ろう」と言われ、私は顔をゆがめる。何を隠そう、私はサウナが大の苦手なのだ。
夫と娘は、「サウナ、サウナ」とスキップして、入口に吸い込まれていく。数秒遅れて、私もイヤイヤ扉を開け、タオルを敷いて階段状のベンチに腰掛けた。
暑い……。
入ったとたん、熱い空気が喉から肺に侵入し、息苦しくなる。ひるんだところに、重苦しい熱気が手足に絡みつき、背中からのしかかってくる。じわじわと、締め付けられるような圧迫感だ。冬だというのに、肌には汗が浮いてきた。
何が悲しくて、こんなに暑い思いをしなければならないのか。サウナが好きという人は多いが、私にはまったく理解できない。
結局、5分もたたないうちに、私は一人でサウナを出た。
こんなところにいるくらいだったら、冷たいリクライニングチェアに寝そべり、やせ我慢をしていたほうがマシだ。
プールのあとは、お風呂に入り、食事を楽しんだ。
髪を乾かして帰ろうと、鏡をのぞいて仰天する。マスカラが落ちて、目の下に黒い汚れを作っているではないか。
サウナに入ったせいかしら……。
ますます、サウナが嫌いになりそうだ。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)