持続的に成長し続けるためには、それぞれの事業単位を常にチャレンジャとしての位置づけにおいて刺激を与え続けることは有効です。
その「常にチャレンジャとしての位置づけにする」具体的な方法が「視座」を変えて「視野」を広げるという方法です。視野を広げれば相対的にウェイトは小さくなります。
(p311より引用) 大佐の一人が、ナンバーワン・ナンバーツー戦略がビジネスチャンスをつぶしているかもしれないと指摘した。GEには頭のいいリーダーがたくさんいるため、ナンバーワン・ナンバーツーにとどまれるよう、対象となる市場の範囲を狭く設定しているのではないかという考えだった。
・・・対象にしている市場でのシェアが10パーセントを超えないように、すべての市場の範囲を考え直す必要がある。そうすれば、それぞれの事業を別の角度から見直す必要性が生じる。そして、それは視野を広げる究極の訓練になると同時に、市場を拡大するための突破口にもなる。私は15年近く、あらゆる市場でナンバーワンかナンバーツーである必要性を説いてきた。ところが、この最も基本的な主張が足枷になっているという。・・・市場の範囲を狭め、高いシェアを確保すればいい気分になれるし、美しい図が描けるが、・・・われわれは既存の戦略にとらわれていた。どれほどすぐれた方針でも、官僚主義に出し抜かれることを証明していた。
(下p270より引用) 市場が成熟しきってしまうことはない。ときには頭がそうなることはある。・・・同じ事業を異なったシェアの観点から見直すことによって、視座が変わる。各事業部門に、対象としている市場の見直しをさせてシェアが10パーセント以上にならないように市場を再定義すれば、それまで成熟した市場に見えていたものがビジネスチャンスにあふれた市場に変わる。駄馬がサラブレッドのように見えてくる。
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ジャック・ウェルチ わが経営(上) (日経ビジネス人文庫) |
ジャック・ウェルチ,ジョン・A・バーン,宮本 喜一 | |
日本経済新聞社 |