天然記念物の捻幹カツラ

2018年10月12日 | 但馬の植物
           余部橋梁を見上げる


(但馬ふるさとづくり協会転載許可済)
平成30年 第13回但馬検定(3級)問題より

【46】県の天然記念物にも指定され、支幹が左巻きであるこ
とから「捻幹カツラ」とも呼ばれている巨木は、次のうち
どれでしょうか。

(a) 糸井の大カツラ       (b) 別宮の大カツラ
(c) 兎和野の大カツラ      (d) 和池の大カツラ


 ふるさと但馬はとても山深いところです。山にも里にも、
大木巨木がたくさんあります。
大トチノキ、大モミ、大イチョウに大ザクラと、大の名の
つく巨木がありますね。

山深いところには清らかな水が流れます。そんな水の流れ
の豊かなところに、きまって立っているのが大カツラの巨
木です。

但馬の中でも大カツラが、朝来市和田山町竹ノ内の糸井の
大カツラ、養父市別宮の別宮の大カツラ、香美町村岡区黒
田の兎和野の大カツラ、養父市村岡区和池の和池の大カツ
ラ、養父市轟の大カツラ、そしてわが町日高町万劫の大カ
ツラがあります。

その樹齢と樹高は凄いです。
糸井の大カツラは樹齢2,000年ともいわれ、樹高は35m
にも達し、株周りは20mもあり国の天然記念物に指定さ
れるほどの巨木です。

さて、カツラの木は大きく成長して幹が途中で腐っても、
周りに次々と支幹を増やして成長します。
そのため何本もの幹を束ねたような、とても太い幹周りの
姿になります。

県の天然記念物に指定されています「別宮(べっくう)の
大カツラ」は、ちょっと違います。
真っすぐ上に伸びるはずの何本もの支幹が、左巻に捻じれ
ているのです。

別宮の大カツラは樹齢400年、樹高27m、幹周りは15m
です。群生している支幹は21本で、それが左巻に捻じれ
ています。
こんこんと湧く清水「カツラの名水」をまたぐ別宮の大カ
ツラは、「捻幹カツラ」と呼ばれています。
答えは(b)の別宮の大カツラです。


『おかえりんせぇ~』

 ケンちゃんね、昔じいちゃんの父ちゃんが生きていたころ
の話なんよ。
大じいちゃんが仕事から帰って来た時、大ばあちゃんはいつ
もこう言ってたんよ。

「おかえりんせぇ~。晩ご飯できとるんで(できているから)
食べておくれ」って言ってたんよ。

「おかえりんせぇ~」は但馬弁なんよ。

「おかえりんせぇ~」は、「お帰りなさい」の但馬弁なの。
それもけっこう丁寧な言葉、心を込めて使う時のものなんよ。

大ばあちゃんは、心を込めて言ってたんだろうね。

昔々、じいちゃんのお父さん。ケンちゃんの大じいちゃんは、
戦争に行ってたの。
戦争が終わって、ボロボロの服を着てやっとの思いで、ふる
さと但馬の家に帰ってきたの。

出迎えた大ばあちゃんは、声にならない声で、心の底から言
ったそうだよ。

「おかえりんせぇ~、おかえりんせぇ~。ご苦労さまでした。
おかえりんせぇ~ご苦労さまでした」と言ったそうだよ。
「おかえりんせぇ~」は、心を込めて言う丁寧な言葉だそう
だよ。

但馬弁には、「何々しんせぇ~」って言葉があるの。
「しなさい」とか、「 してみなさい」とか言う但馬弁は、
「しんさい、しんせぇ~、しんしゃ~ してみんちゃ~」な
んて言うの。

その中でも一番丁寧な言葉が、「しんせぇ~」なんだろうね。
その「しんせぇ~」の言葉と言い回しがよく似た「おかえり
んせぇ~」は、丁寧な言葉なんよ。

「おかえりんせぇ~」の但馬弁を聞くと、昔々の大じいちゃ
んが戦争から帰ったころに、涙して「おかえりんせぇ~ご苦
労さまでした」とお大あちゃんが言ったという話を思い出す
いい言葉だね。
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