「答申書を公開します」その5
(文中(※)のある個所は、私が加えました。)
諮問庁:内閣総理大臣
諮問日:令和3年5月31日(令和3年(行情)諮問第224号)
答申日:令和3年11月1日(令和3年度(行情)答申第340号)
事件名:北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者として捜査・調査されている特定個人(※賀上大助氏)に関する文書(特定文書を除く)の不開示決定(存否応答拒否)に関する件
答 申 書
(2) 諮問庁は、原処分において、本件対象文書の存否を明らかにしなかった理由を上記(1)のとおり説明するが、当審査会において本件開示決定通知書を確認したところ、本件開示請求において特定した22文書(本件特定文書)には、具体的な文書の名称を明らかにしていない文書が複数含まれている。
また、本件特定文書のうち具体的な文書の名称を明らかにしていない文書の不開示とした箇所の不開示理由は、国の機関における非公開のやり取りであり、公にすることにより、国の機関間における信頼関係が損なわれ業務の適正な遂行に支障があるなど、法5条6号の不開示情報に該当するとされていることが認められる。
そうすると、仮に特定事象対応機関との非公開のやり取りについて、本件対象文書を作成又は取得していたとしても、本件特定文書と同様、本件対象文書の作成又は取得の事実が明らかになるだけであって、当該特定事象対応機関の名称や、特定の事象に関する内容等が明らかにならない以上、諮問庁が説明するような拉致問題対策本部事務局が行う業務の適正な遂行に支障が生じるおそれがあるとは認められない。
そもそも、法8条により行政文書の存在を明らかにしないで開示請求を拒否できるのは、当該行政文書の存否を答えるだけで不開示情報を開示することになる場合に限られるところ、本件対象文書の場合は、原処分で本件特定文書現に存在しており、これに便宜的な文書名を付し、具体的な内容や機微な情報などについては、法5条6号柱書きに該当する不開示情報としていることに鑑みれば、本件対象文書の存在が明らかになったとしても、直ちに特定事象対応機関の名称や特定の事象そのものが明らかになるとは認めがたい。
したがって、本件対象文書の存否を明らかにしても、法5条6号柱書きの不開示情報を開示することになるとは認められず、その存否を明らかにして、改めて開示決定等をすべきである。
3 本件一部開示決定の妥当性について
以上のことから、本件対象文書につき、その存否を答えるだけで開示することになる情報は法5条6号柱書きに該当するとして、その存否を明らかにしないで開示決定を拒否した決定については、当該情報は同号柱書きに該当せず、本件対象文書を明らかにして改めて開示決定等をすべきであることから、取り消すべきであると判断した。
(第2部会)
委員 白井玲子、委員 佐藤郁美、委員 中川丈久
(文中(※)のある個所は、私が加えました。)
諮問庁:内閣総理大臣
諮問日:令和3年5月31日(令和3年(行情)諮問第224号)
答申日:令和3年11月1日(令和3年度(行情)答申第340号)
事件名:北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者として捜査・調査されている特定個人(※賀上大助氏)に関する文書(特定文書を除く)の不開示決定(存否応答拒否)に関する件
答 申 書
(2) 諮問庁は、原処分において、本件対象文書の存否を明らかにしなかった理由を上記(1)のとおり説明するが、当審査会において本件開示決定通知書を確認したところ、本件開示請求において特定した22文書(本件特定文書)には、具体的な文書の名称を明らかにしていない文書が複数含まれている。
また、本件特定文書のうち具体的な文書の名称を明らかにしていない文書の不開示とした箇所の不開示理由は、国の機関における非公開のやり取りであり、公にすることにより、国の機関間における信頼関係が損なわれ業務の適正な遂行に支障があるなど、法5条6号の不開示情報に該当するとされていることが認められる。
そうすると、仮に特定事象対応機関との非公開のやり取りについて、本件対象文書を作成又は取得していたとしても、本件特定文書と同様、本件対象文書の作成又は取得の事実が明らかになるだけであって、当該特定事象対応機関の名称や、特定の事象に関する内容等が明らかにならない以上、諮問庁が説明するような拉致問題対策本部事務局が行う業務の適正な遂行に支障が生じるおそれがあるとは認められない。
そもそも、法8条により行政文書の存在を明らかにしないで開示請求を拒否できるのは、当該行政文書の存否を答えるだけで不開示情報を開示することになる場合に限られるところ、本件対象文書の場合は、原処分で本件特定文書現に存在しており、これに便宜的な文書名を付し、具体的な内容や機微な情報などについては、法5条6号柱書きに該当する不開示情報としていることに鑑みれば、本件対象文書の存在が明らかになったとしても、直ちに特定事象対応機関の名称や特定の事象そのものが明らかになるとは認めがたい。
したがって、本件対象文書の存否を明らかにしても、法5条6号柱書きの不開示情報を開示することになるとは認められず、その存否を明らかにして、改めて開示決定等をすべきである。
3 本件一部開示決定の妥当性について
以上のことから、本件対象文書につき、その存否を答えるだけで開示することになる情報は法5条6号柱書きに該当するとして、その存否を明らかにしないで開示決定を拒否した決定については、当該情報は同号柱書きに該当せず、本件対象文書を明らかにして改めて開示決定等をすべきであることから、取り消すべきであると判断した。
(第2部会)
委員 白井玲子、委員 佐藤郁美、委員 中川丈久
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