「やってる感を出しましょう」
家族会・救う会は、平成31年2月17日全国幹事会を開き、今後の運動方針を採択している。その一部を紹介すると、「私たちは北朝鮮が対話に出てきた今こそが最大の山場だと認識している。だからこそ、「日朝協議を拙速に進めて全拉致被害者の即時一括帰国という目標が置き去りにされ、調査報告書の受け取りや合同調査委員会設置などで終わってしまうことだけは止めて欲しい」と繰り返し日本政府に求めてきた。」、「いまだに国内に即時一括帰国要求に疑義を呈する勢力が存在することに怒りを禁じ得ない。再度強調するが、調査報告書の受け取りや日朝合同調査とそのための連絡事務所設置などは、私たちの求めるものではない。段階的な帰国や何人かだけが帰ってくることでもない。全拉致被害者の即時一括帰国こそが、絶対に譲れない私たちの要求であり、その実現のためにこれまで身を粉にして戦ってきたし、これからも戦い続ける。」としている。
一方、政府方針は、「政府としては、いわゆる「ストックホルム合意」を破棄する考えはなく、同合意に基づき、拉致問題を含む日本人に関する全ての問題の解決を目指す考えである。」、「いわゆる「ストックホルム合意」以降、北朝鮮の特別調査委員会による調査について、北朝鮮から調査結果の通報はなされていない。政府としては、北朝鮮に対し、全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を迅速に行い、その結果を速やかに通報するよう強く求めているところである」(出典:平成30年第197回国会政府答弁書より)というもので、家族会・救う会が求める「ストックホルム合意の白紙化」や「全拉致被害者即時一括帰国」といった主張と大きくかけ離れている。
私は、家族会・救う会が指摘する「いまだに国内に即時一括帰国要求に疑義を呈する勢力が存在する」の中には、安倍首相や安倍内閣が含まれていると捉えている。なのに、これだけかけ離れたお互いの方針を黙認しあったまま「国民大集会」や国民の集い」に相互に出向いて登壇し、代わり映えのしないスピーチを交わしているのはどういうことか。
政府は、家族会が安倍首相と何度面会しようが、家族会がトランプ大統領と何度面会しようが、ストックホルム合意に基づく拉致問題解決という方針を今日まで放棄していない。結局のところ、家族会は安倍内閣の「やってる感」演出のために都合よく利用されているのだと思う。家族会・救う会が活動方針にあるように「戦い続ける」相手は、まずは安倍内閣ではないのですかとご進言申し上げたい。
令和元年7月13日
救う会徳島 代表 陶久敏郎