最近読んだ本

恩田陸『エンド・ゲーム』
常野物語の最終章、なのかな。
意外な結末。私が予想していたラストとは違うなあ。

坂木司『切れない糸』
商店街のクリーニング屋を継いだ青年の成長物語、というのでしょうか。
ザ・正統派青春小説って感じ。今どきの青年の目から通して一人称で書かれて
いるんですけど、その年頃にありがちな悩みやむなしさ、嫉妬、空虚さ、恋愛、
全てが程よく調合されていて、見ていてこっぱずかしくなるようなむずかゆい小説。
でもまあほどほどに好感持てるかな。嫌いじゃないよ。

酒井順子『枕草子Remix』
面白いです。清少納言ってやっぱり自慢たらしい、高慢ちきなところあるけれど
学も才もあり、物事を知っているからこそ出てくる毒。
非常にスマートだからこそ、ウィットも嫌味すれすれで投げられるんですね。
酒井さんは枕草子を読んだから、『負け犬の遠吠え』を書いたんだと思います。
あ、ちなみにこの装丁、佐藤可士和だとか。へえ～。珍しいなあ。

島本理生『生まれる森』
やっぱりこの人の小説って曇り空の中にある緑の樹、ってイメージだなあ。
はっきりじゃないの。書かれている言葉は明快なのに。でもそこがいいのよね。
三人称なのに俯瞰した視点で語っている箇所が散らばっているから？
スフマート手法。だけど全体像はクリア。すみません、訳分かりませんね(^_^;)。
「・・・たとえば街中で一緒に聴いた曲を耳にすると体が壊れそうになったり、
思い出すたびに何度も走り出しそうとしてしまったり、そんなふうに気持ちは湧き
上がるけど、だからって、もう一度くり返す気はありません。・・・」
私も、確かにこういう思いがあった。前に彼氏と別れた後、こんな思いでしばらく
過ごしていたなあ。もちろんもう二度と繰り返すもんか、って思ってて、
その後何度か恋愛はしたものの、ここまでひどくなかった。
だからあの思いはあのときで終わっているのだろう。
それは経験としては良かったかもしれないけれど、
もうそんな思いをしなくなったのはどことなく寂しく思う。
だって、本当に、その後の何度かの出会いと別れでこれと同じか
これ以上の思いはしなかったんだもん！
つまりそこまで好きになれる人が見つからない、ってことだなあ。
見つからないなあ～。気づいてないだけなのかな～。

GWもあとちょっと。

長いお休みも、今日で終わり。
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
Ｕターンラッシュにもまれて東京へ戻ってきているのかな。

私は、初めて一人で長く過ごしたＧＷでした。
バレバレの嘘までついちゃって(！)、お誘いは全部断って、
一人でのんびりと過ごしました。
旅行も一人。誰も誘わずに、遠出は初めて。

そして昨日は大掃除。今日も引き続き。いらないものは捨てちゃった。
携帯の中身も大掃除。
もう一年も前のメールは賞味期限切れですよね。
もらったメールの中で嬉しかったものはとっておいたのだけど
全部消去しちゃった。いまさら見てもしょうがないし。
短縮ダイヤルも変えちゃった。
面倒で今までずっと変えていませんでしたが、もう電話しないひと。

ようやく、中身を空っぽにできた気がします。
コップの中に水が残っていると、次に新しく水を入れようとしても
入れられません。無理やり入れたらこぼれちゃう。
水を入れるのは私。自分なんです。
もし、他の人が入れようとしたら、ふたをしなければなりません。
ふたをする、勇気が必要です。
あとちょっとで、自分の空っぽの状態がどんなものなのか
分かりそうな気がします。
最初の空っぽに戻れば、今まで見えなかったものも見えてくるし、
自分の何でも勝手に決め付けて、先走っちゃうことも
なくなりそーな気がします。

＊これを書いた後、島本理生の『生まれる森』を読んでいて、その中に“水が～”のと
同じような内容を書いてあったのに、びっくりしました。
さいきん、こいうシンクロがたっくさんあるのら。