Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 15

2019-09-14 23:13:32 | 古伊万里
 平戸(三河内焼)は広い意味では伊万里の一部ということになりますが、やはり鍋島と同様に藩窯であったことから
江戸後期の細工物や御用品などは、同時代の伊万里に比べるとはるかに上手の品が多いようです。(実はあまり良く知らない)

今回紹介する品は、今から15年ほど前、ワタシが初めて購入した平戸のお皿で、「染付兎文小皿」です


直径13.5cmほど、四寸半サイズの小皿で、見込み中央を白抜きして栄養状態の良さそうな兎を描き
その周囲は2種類の濃さの薄瑠璃で塗りつぶし、さらには濃い染付の部分には墨弾きの手法で
波文と思われる文様を描いています。


江戸期の伊万里にわりと多く登場する「波兎文」の変形であることは間違いないと思っていましたが
以前のブログでこの品を掲載した時に、古伊万里収集の先輩より「見込みが白抜きされているのは、満月を現しているのでは?」
という指摘をいただきました。そう考えると、月兎文と波兎文が同居しているセンス溢れるデザインということになります。


裏面は七宝繋ぎ文が二方に描かれており、幕末~明治期に良く見られる鍋島写しになっています
この点から推測すると、明治前期あたりの平戸焼というのが妥当なところかと思います。

実はこの品の存在は購入前から知っており、それは平成五年に発刊された「伊万里百趣」という書籍に掲載されていたからです
この本を購入した頃は、まさか自分が入手できるとは思っていませんでしたが、思いがけず神戸の業者さんから購入することが出来ました。


この品は今から十数年前に東京で行われたオフ会で披露させていただいた品で、当時、HPを通じて知り合った先輩の方々
(Dr.kさん、いにさん、猫さん、hibariさん、他)に見ていただいた、思い出深い品でもあります。
確か、五月の連休中に行われた「東京ドームプリズム骨董祭」だったように記憶していますが、お昼に全員で食事をしながら
古伊万里について語りあったように思います。
また、ワタシと同い年の京都の業者さん(「通称お休み処」さん)にも見ていただき、明治くらいかな~というお墨付きをいただいたものでした。

ウチの品の中では一番思い出の詰まった品でもあります。