小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も籍(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ)
日に溶けて淡雪流る
あたゝかき光はあれど
野に満つる香(かおり)も知らず
浅くのみ春は霞みて
麦の色わずかに青し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ
暮行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよう波の
岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む
島崎藤村
何処を本歌取りしたの?と不審に思われるかもしれませんが、していません。
錆鉄人が高校1年生の時の国語の教科書に出ていた詩で、
感動した錆鉄人は高校2年生の夏休みに
通学用の原付バイクにテントと寝袋をくくりつけて小諸城址を訪ねたほど好きな詩です。
(いまだに毎年同じような事をやっていて、少しも成長していない事がバレバレです。)
勿論、今でも暗唱出来ますが、
誤字などの間違いがあるといけないと思ってネットからコピーしています。
暗唱しながらも「緑なすはこべ」ってどんな草なのか知らずにいました。
ところが先日京都の姉を訪ねた時に、捨てようと思うからいらないかと言われて1冊の本をもらいました。
病院での長い長い待ち時間に見ていたのですが
これが「はこべ」で食べられると書いてあるではありませんか!
って、我が家にはびこる雑草じゃん!
アップして良く見ましたが間違いありません。
憎っくき雑草め!
「刀の錆」ならぬ「腹の足し」にしてやるぞ!
という事で、天女が味噌汁に入れて食べようと言い出しました。
錆鉄人は64歳なので、少ない年金のそのまた一部しか収入がないので
遂に雑草を食べるまで落ちぶれたか・・・
「落ちぶれても錆鉄人は武士じゃ、男の散りぎわだけは知って居り申す、
食べてはならぬそこをどいて下され、食べてはならぬのだ。」
大利根無常より 錆 春夫
というほどまで落ちぶれてはいない「つもり」なので、
そこは興味津々食べてみました。
ちょっとコリコリした触感とほのかな香り、特に味はないような・・・
という事で、
「貧すれば食す」かもしれない「ハコベ」を知ったので将来が安心かも?