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いい音ってなんだろう-あるピアノ調律師、出会いと体験の人生-

2012年10月23日 | 読書日記など
『いい音ってなんだろう-あるピアノ調律師、出会いと体験の人生-』
   村上輝久・著/ショパン2001年

図書館の説明文。下「」引用。

「全てのピアノをストラディバリウスに変える東洋の魔術師、とドイツで絶賛された調律師・村上輝久。常にいい音を求め、最高の状態でピアノを提供してきた村上が人生を語る。平成8年『ショパン』連載の単行本化。」



「ピアノは、なぜ調律が必要?」 下「」引用。

「しかし、ピアノが自然楽器である以上、やむを得ない。その理由を、まず材料の面から考えてみよう。
 ピアノは、重要部分のほとんどに天然素材を使用している。すなわち、木材、羊毛、皮革等であり、これらの材料は外気を呼吸していて、温度・湿度から微妙な影響を受けている。また、ミュージックワイヤーと呼ばれる弦は、1本80キログラムくらいの強い力で引っ張られており、約230本の合計張力は、20トンにも及ぶ。この強い張力を支えているのは、約230本のチューニングピンと、それを保持するピン板(木材)、そしてフレーム(鉄骨)と支柱(木材)である。荘部品点数は1台で約8000個あまり、日常の温・湿度の変化、ミュージックワイヤーの伸び、ゆるみ等があいまって、音程の低下や、狂い、タッチの変化は避けられない。この微妙な狂いを正常に戻しながら、楽器の状態を、演奏者にとって最高になるように手直しをする―これがピアノ調律師の仕事である。ピアノは楽器の中でもっとも精密機械的である半面、その調整作業は手工的・名人芸的なものと言える。」

「フランス革命・産業革命とピアノ」 下「」引用。

「バロック時代の室内楽や協奏曲における鍵盤楽器は、通奏低音楽器と呼ばれ、合奏の中でひとつの楽器にすぎなかった。その鍵盤楽器、チェンバロ、クラヴィコードを独奏楽器の地位にまで高めて、古典派に橋渡しをしたバッハの功績はいまさら言うまでもない。
 そこからピアノが生まれハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンによって次々にピアノの名曲が世に出され、ロマン派に引き継いだ彼ら天才の芸術は言うまでもなくすばらしいが、その要求に応えてピアノの革新に努力した。イタリア、ドイツ、イギリス、フランス等ピアノ製作者の功績も讃えるべきであろう。そしてまた、この時代の、音楽の変遷とピアノの発展の裏には、もうひとつ、社会情勢の変化が、多々関与していたと思われる。
 そのひとつは、フランス革命の影響である。革命とピアノ……まるで関係のないことのようだが、見方によっては、かなりの影響をそこに見い出すことができる。
 フランス革命が勃発した1789年は、モーツァルトの晩年であり、ベートーヴェンが活躍し始めたころにあたる。また、各地のピアリの製作者が、それぞれの設計によるピアノ手作りの最盛期に入った時期にも一致する。
 ウィーン古典派時代の音楽は、王侯・貴族階級のサロンを温床として発達してきた。そうした中で、封建的な貴族専制主義が次第に腐敗し、自由な新しい社会思想を求めて民衆が立ち上がったのが、フランス革命だと言われている。それに伴い、貴族たちは音楽家への援助の余力を次第になくしていった。音楽家の年金も減らされるようになり、ベートーヴェンも生活の糧を大衆社会に求めなくては生きていけなくなった。こうしてコンサート形式が誕生したのだ。しかし、大きなホールに多くの聴衆を集め、入場料を取るコンサートとなると、今までサロンで弾いていたピアノでは響きが足りない。もっと音量と表現力のあるピアノが必要である。そうなると、ピアノの作り方はもちろん、材料の研究開発が重要になってくる。同時期に信仰していた産業革命の成果を利用しない手はない。繊維を中心とした工場生産方式や、金属加工等の新しい製造方法は、ピアノ生産にも巧みに取り入れられていった。ここから、ピアノ工業化が始まり、楽器の王様としての道が開けたのである。」

バッハの曲のなかには、今のピアノでは弾くのが無理という本もあったと思います。
今弾くとしたら、特殊な技法が必要だとか?
もう、さっぱりわからない世界です。f(^ー^;
















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