緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

精油あれこれ 第5回:ユーカリ

2008-03-29 18:21:00 | 精油あれこれ
「精油あれこれ」も、ようやく第5回。
精油の本質を実感にもとづいて捉えたいという思いで
始めたシリーズです。
その精油の「ど真ん中」をぐっと掴むのが目的ですので、
全般的な作用・効能について知りたい方には
あまりお役に立てません。
アロマテラピーの専門書や他サイトの情報をご参照ください。


直接肌につけない、飲用しない等の具体的な使用方法はここでは触れません。
自己責任にてご使用ください。また、治療効果を保証するものでもありません。





■ 水を欲しがる植物
今回はユーカリ(グロブルス)です。
最近は鉢植えでもよく売られています。
緑香庵にもあります。
Eucalyptus
育てていて感じるのは、まぁーよく水を欲しがる植物です。
やればやるだけぐんぐん吸います。
だからといって、少々水切れしてもぜんぜん平気で
元気にしています。
水をたくさん抱え込んでいるにしては
みずみずしさとはちょっと遠いややドライな感じの緑灰色の葉や茎。

そうそう、コアラのご飯でしたね。
あんまり美味しそうには見えないんですが、
コアラはこの刺激の強い乾いた葉を消化し解毒するための
特殊な酵素やバクテリアを持っているとか。よくできてますねー。

■ ユーカリの森
ユーカリが水を吸い上げる性質を利用して、
湿地帯の土壌乾燥に用いられた例もあるといいます。
また、地中深く根を伸ばして水を吸い上げることから、
砂漠の緑化にも使われたり。水が多すぎても少なすぎても、
いずれにしても過酷な環境にとても強い。
どんどん自分の領域を増やしていき、しまいには他の植物を駆逐
してしまうくらいの勢いでユーカリの森ができあがるそうです。
その森には木から揮発する精油成分が満ちて
ぼんやりブルーのもやがかかったように見えるとか。
とてつもないパワーをもつこの植物は、オーストラリアの
原住民アボリジニが解熱や感染症の治療のために大切にしていました。
葉を燃やして吸入するのが主な使い方だったとか。
精油はやはりオーストラリア産が有名ですが、
今では中国産の精油も多いようです。

■ 1.8-シネオールの作用
ユーカリという精油の性格は、何と言ってもその成分の特徴
から語られることが最も多いのではないかと思います。
70~80%を占める1.8-シネオールという成分。
その特徴である、強力な殺菌・消毒、抗ウィルス、去痰・鎮咳、
血流促進
などの効果がユーカリの主な効能と言われます。
主に呼吸器周りのトラブルに最適ということで、
花粉症の症状を緩和する精油としても有名ですね。
こわばった筋肉をほぐす時にもよく使われる成分です。

■ ユーカリの使用実感
この精油は、そんな実利的なお助けアイテムであるのは
もちろんですが、私にとっては、むしろ心の閉塞感を打開したい時に
ピンとくることが多いという点で、特別な精油なのです。
単体でトリートメントに使った時の甘さと幸福感
ちょっと意外なくらいです。
香りを嗅いだ時に日々印象が大きく違うのもこの精油の特徴です。
ちょっとクセのある感じが鼻について不快な日もあれば、
とにかく甘くていい香りに感じる日もあります。
甘い日は脳の深い所でユーカリが必要とされているということでしょう。
そんな実感に基づいてこの精油の本質を捉えてみるならば、
それは、やはりユーカリという植物全体としての性格に
支配されているように思えます。
つまり、どんな水でも吸い込みエネルギーにして、
その場を乾かしていく、
すなわち「乾燥と加温」、さらに
自分の領域をどんどん広げる」という性格です。

■ ユーカリは空間を拡張する
ユーカリのキーワードは「空間の拡張」です。
ユーカリを「胸を開く精油」という人もいます。
鳥かごのような肋骨を広げ、パチンパチンとホックを外すように
胸の中心をも開いて、中におさめられた呼吸器や心臓のための
スペースを拡張し、楽に呼吸ができるようにしていく。

「胸が苦しい」「胸が塞がる」という言葉の通り、
身体症状は精神症状でもあります。
こういった閉塞状況の解消の仕方を他の精油と比べてみると、
オレンジは温め弛めてじんわり振動しながらスペースを作っていく。
ペパーミントはあたかも風穴を開けるがごとく
素早く小さな突破口を開く。
そしてユーカリは枠組みを広げてスペースを確保し、
中を清浄な空気で満たしていく。

さらに、こだわりに支配された頭の中を「楽観・解放・自由
へと導き、のびのびと「今」にフォーカスすることを助けます。
「今、現在」への着地を助けるものとして他の精油と比較すると、
サンダルウッドは「妄想を払拭し今へ」、
サイプレスは「過去と決別し今へ」という似たような働きをします。

■ ユーカリの活用法
さて、こんなことをふまえた上で実生活に役立たせるには、
以下のようなケースにおすすめです。

- 強力な消毒・殺菌作用を利用
    感染症、傷、虫さされなどなんでも
    ハウスキーピングにも

- 温め乾かす性質を利用
    咳(空咳にはサンダルウッドを)にアニスシードとともに
    痰(粘度のある白っぽい痰に)サイプレスとともに
    呼吸器トラブル全般
    尿路感染や生殖器感染に座浴で

- 刺激して排泄を促し、のちに鎮静するという性格から
    炎症全般や筋肉痛、神経痛などに


ポイントは何と言っても胸まわりですね。
楽に呼吸できること、それに伴い血液にたくさんの酸素が
取り込まれ全身を駆け巡る。
これによって良い影響があることであれば何でも、
ユーカリのパワーの恩恵を受けることができるでしょう。

ちなみにリズミカルボディセラピーでは、
月経後から排卵迄の「B期」での使用がおすすめですが、
いつもどおり「気持ちよい」と感じるならば
どのタイミングで使っても差し支えありません。
更年期まっただ中の私は、ちょうどB期の後半で原因不明の
胸苦しさ
に襲われる日が何日かあり、
肋骨の下の方が本当につぶれたように狭く感じるのですが、
ここのところユーカリに随分助けられています。感謝。


<参考>
ユーカリにはたくさんの仲間がいますが、主によく使うのは以下のふたつ。
レモンユーカリ
    冷却効果が高く、消毒殺菌効果もより強い。虫関連やリウマチに。

ユーカリラディアタ
    ユーカリ・グロブルスとほぼ似たような働き。より香りが甘く刺激も優しい。
    抗ウィルス。


特にラディアタは使いやすくおすすめです。


季節の変わり目の風邪

2008-03-27 18:09:09 | 「緑香庵」的なもの
桜も咲いて花粉症も一段落の様子。
ヒノキへの反応が強い方は八重桜が散る頃まで
もうひと我慢ですが。
いずれにしてもゴールは見えました。
今年はいかがでしたでしょうか。
Sakura
《緑香庵の近所、烏山川緑道の桜》

我が家の(「杉を積極的に取り入れよう作戦」
はどうもうまくいったようです。
去年より飛散量は多いにもかかわらず、
だいぶ楽に過ごせました。
特に症状のひどい家人にはよく効いたようです。
来年も「杉の葉茶」は試してみたいですね。

■ この時期の風邪
さて、この時期、花粉症が無い方でも、というより無い方ほど、
ちょっと大きめの風邪をひくことがあるようです。
「毎年今頃風邪をひくんです」という方に「花粉症は?」
と伺うと「ぜーんぜん大丈夫なんです」とおっしゃる、
というケースにいくつも出会いました。

どうもこれは以前の花粉症の回で触れた、「春の身体への変化」
と関係がありそうです。
冬の間、ぎゅっと締まりきって交感神経優勢となっていた身体が、
ゆるみ、開いてくる春の時期。
上手に開きはじめることが出来ない人が花粉症になりがち
という説をご紹介しました。
同じように、一回風邪をひくことで、それをポンと
身体を開くきっかけにしてしまおうというのが、
この時期の身体の企みではないかと考えることもできます。

■ 春の身体に変わる
いずれにしても春の身体に変わる大事なチャンスです。
こじらせないように、上手に経過していただきたいものです。
風邪はうまくタイミングを掴めば速度を速めることができます。
何日もぐずぐず患わないよう、一晩寝てがっつり汗をかいて、
身体を「すかっ」とゆるめて次の段階へ進められるようにしましょう。
いたずらに解熱剤などで冷やさないこと、
身体をよく温め汗をかいて、休養をきちんととることを
心がけてください。
テレビやPCや読書など、目を酷使することは
避けた方が良いでしょう。
目の刺激はとても交感神経を刺激します。
身体はゆるみづらくなります。

■ 好きな香りで
目を休め、好きな香りでもお部屋に焚いて、
ゆったりとした気持ちになれば免疫も高まります。
いつも言っていることですが、香は脳を刺激します。
誤作動を起こしている神経系を整えるのにもとても役立ちます。
ぜひ「好きだな」と感じる香を活用してください。

さらに後頭部から首の後ろ、肩甲骨のあたりを
ホットタオルで湿布するのもとても気持ちがよく、
症状を先に進めるのを助けてくれます。

どうぞうまいことこの時期を乗り切って、
その後の気持ち良い半袖の季節を迎えてください。


松陰神社ご近所パン食べくらべ

2008-03-25 17:28:15 | 営業日誌
松陰さんの桜が遠目にもうっすらピンク色になってきました。
窓辺のアイビーも、冬の間身を赤く固くしていたのが、
優しい緑色に日に日に戻って行きます。
どこを見てもみずみずしい新芽が顔を出していて、
本当に笑けて来ますねえ。
あはははははははは。
おばかさんになりそうだぁ。
この季節好きだなー。

今日はご近所のパン屋さんのクリームパン食べくらべ
何故クリームパンかというと好きだからです。

Fortuna
最初は世田谷通り近くのフォルトゥーナ(fortuna)から。
ここのパンは何でも美味しいのです。
生地がとにかく美味しいのです。
だからバケットなどのお食事パンも絶品。
で、このクリームパンはカスタードがアホみたいに美味しい。
大きさもちょうどいい。
菓子パンなのにケーキみたいな幸せ感があります。

Nicolas
そしてニコラス精養堂
ここは昔ながらのパン屋さんをグレード高くした感じ。
ハムサンドや卵サンド、焼きそばパンなどの調理パンが充実。
蒸しパン等素朴な菓子パンも種類が豊富で美味しいです。
松陰まんじゅうという忘れちゃならない地元名物もあります。
クリームパンはふっかふかで大きいのにぺろりと食べられちゃう軽さです。

Sakura
さくらベーカリー
若林店です。最近、梅ヶ丘にも店舗が出来ました。
ここは個性的なパンがいっぱい。
いかにも若い人が楽しんで作っていそうな、
カラフルで可愛いパンがたくさん。前を素通りできません。

Choco
緑香庵の一番近くでお世話になっているル・ブラン
ここにはクリームパンがないのです。
そのかわりいつも必ず買うのは、小さなチョココロネ。
実は子供の頃からチョココロネがだーい好きでした。
渦巻き状のものに弱い私です。
ここではお昼頃焼き上がるピザをよく買います。
焼きたてで本当に美味しいのですが、売り切れるのも早い。
12時を過ぎると、近所のお役所関係の方達が
いっせいにお買い物に現れるので、
小さな店内に行列ができます。


他にもこの界隈にはパン屋さんが何軒もあります。
パン好きには楽しい町です。
パンに関してはまったく不自由しません。
私はパンのマニアではありませんが、美味しいものなら何でも好き。
願わくば、美味しいおにぎり屋さんができないかなー。
移動車で売りに来てくれてもいいんだけど。


花がいっぱい

2008-03-13 18:13:47 | 営業日誌
松陰神社の町に沈丁花の香りが充満しております。
Jinchoge
記録を見てみたら、やはり去年より2週間ほど遅いですね。
今年の春はゆっくりやって来たみたいです。
その分、あちらでもこちらでも
一斉に色んな花が咲き始めました。

 ◆ ◆ ◆

近所で見られる大きなミモザの木。
Mimoza_0
黄色い花はいかにも春らしくて嬉しくなりますね。
最近は庭先にこの木を植えている家が増えて来ました。
昔はとても珍しい花だったのですが。
ミモザは大きくなるのがとても速いようです。
よく通る場所にも3軒あります。もうすぐ満開。
Mimoza_1 Mimoza_2 Mimoza_3

 ◆ ◆ ◆


店先にも花がいっぱい。
Lotta Sancha


 ◆ ◆ ◆


春の花と言えばチューリップ。
Tulip
近所のお花屋さん「蓮(れん)」で教えていただいた、
切り花のチューリップをながーく楽しむ方法。
チューリップは水あげが良いので、
あまり深く水切りするとぐんぐん水を吸って
すぐに花びらが開いて終わってしまうのだそうです。
長持ちをさせるには、なるべく花びらが開く迄の時間を
長引かせるのがコツ。
そのためには、水切りをなるべく控えめに。
2~3日に一回、少しだけナイフでスライスする程度。
花瓶の水もあまり深くしない方が良いようです。
Tulip_2


 ◆ ◆ ◆

もう少ししたら桜のシーズン。
今年も松陰さんの桜が楽しみです。


アロマセラピストにとって想像力って何だ・後編

2008-03-10 10:00:00 | アロマテラピーとは
■ 全てを経験することはできない
相手がどういう気持ちでいるのか、何を望んでいるのか、
完璧に理解するというのは不可能です。
いかに豊かな想像力を持っていようと、です。
相手の気持ちは相手だけのもの。
だとすればこれは困った。
例えば、出産経験の無い私が、妊婦さんへマタニティケアを
することはできないのか?
多分妊婦さんにとっても、出産経験のあるセラピストの方が、
何かと安心であろうことは想像がつきます。
ならギックリ腰の人は?
私はギックリ腰をしたことはありません。
その痛みが本当はどんなものか経験がありません。
こんなふうに、私が経験したことのない心身の痛みや不調を
持った方がサロンには多くいらっしゃいます。

■ 想像力とは想像力の限界を想像する力である
結局のところ、セラピストに必要な想像力とは、
相手の気持ち、相手の痛みを想像することでは「ない」
のではないかと思います。
そうではなく、自分の想像力の限界を想像できること。
「私には想像し得ない、その方固有の体験や感情があるのだろうな」
と思えること、
別の言葉で言うならおそらく謙虚であるということ。
自分の知らないことの存在を容認し、そして、
その相手しかわからないことを大切にしようと思えること。
伝わるとすればそこです。

「共感」の根っこはここにあるような気がします。
お客さま自身の世界が尊重されているということが伝われば、
あとは専門の知識と経験、「ごくごく一般的な人としての力」
が埋めてくれると思います。

Shortcake
《おなじみMame-Hicoにて》


■ 知れば知るほど謙虚に
まあそう信じなければセラピストなんて仕事、成り立ちませんしね。
敬意さえ伝われば、人生経験の少ない若いセラピストだって、
経験豊富な60代のお客様と充分対等に会話出来ますし、
反対に40代のセラピストがいかにキャリアがあろうと、
10代のお客様を十分に満足させられないことだってあります。
そこそこ年を取って何でもわかったような気になっていては
危険なのです。
知れば知るほど、知らないことの存在に気づいていく。
これって何の世界でも一緒ですね。
どの世界でも偉い人ほど謙虚である気がします。
謙虚って「自分はたいした人間じゃない」と卑下することじゃなく、
自分の知らない世界が存在することを許し
尊重できるということなのかもしれません。

あーまた理屈っぽくなってしまいました!