緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

アロマと脳とこれからの課題(前編)

2008-04-28 15:00:29 | アロマテラピーとは
今回もちょっと硬めのお話。

■ 「脳の中にある身体」を変える
認知運動療法(リハビリ)の本を読みました。
今までのリハビリは、困難な動作を、局所のマッサージや
繰り返し動きを練習することによって回復しようとする、
筋肉や関節そのものを扱う方向が主流だったが、
今後は脳と患部の関係を構築し直すという方法に
変わって行くという内容。
要するに、リハビリとは「脳の中にある身体」を変えていく、
脳の認識を変えていくものであるということ。
その方法には、言葉の介在が不可欠であるということ。

■ アロマテラピーも同じです
これってそのまま、私が普段やっている
アロマテラピーのトリートメントに読み替えることができる
のではないかと思いながら読み終えました。

例えばトレガーワークやロルフィングなど、
世界のボディワークの中には、身体と脳の再教育、
すなわち「脳の中の身体」の認識を変えることを目指す
方向性のものがいくつもあります。
アロマテラピーのトリートメントでも、
脳に働きかけて全体での回復をねらうのが
醍醐味となっています。
具体的には、患部の筋肉そのものをもみほぐすことよりも、
皮膚のより浅い所を走る神経系を刺激するのです。
これが嗅覚からの香りと相まって、脳への刺激を与えるのです。

Balcony3
《緑香庵にて》

■ 薬の代用品ではなく
アロマテラピーといえば、ラベンダーがリラックスに効くとか、
ユーカリは花粉症にいいとか、
精油の成分の持つ効果効能が主流のように思われがちですが、
それ以上に私がもっとも頼りとするところは、
香りが持つ、脳の旧い部分に直接働きかける力です。
旧い脳とは、本能や感情、自律神経、ホルモンといった
生命維持に関わる機能を司る脳です。

いつも言っていることですが。
アロマテラピーを考える上で、精油の成分のみに注目するのでは、
ただの薬の代用品になってしまいます。
もちろん大変優れた代用品には違いありません。
これだけの複雑な機能を持った薬の合成は
そうそうできることではありませんし、
それはそれでアロマのもつ有利性の大きな武器ではありますが、
それ以上に「脳への働きかけ」が非常に重要なのです。


■ 香りは脳を自由にする
五感の中で唯一理性の判断を経ずにダイレクトに
脳の深部に達するのが嗅覚。
香りは、普段あまり大切にされていない「動物としての感性」
を刺激し、脳に動物としての反応を要求するわけです。
カウンセリングで「今日の私、今日の気分にぴったりの
香りはどれだろう」と何種類もの精油を嗅ぎながら選ぶ作業は、
本能に香りを選ばせているということ、
本能に活躍のチャンスを与えるということです。
リラックス用、リフレッシュ用などというように
既にブレンドされているものをただ言われるままに
身体に塗っていくのとは、だいぶ意味合いが違っています。

人間の「動物としての感性」はしばしば誤作動しています。
アロマは、暴走する理性を少しだけおとなしくさせる
過程でもあります。
香りは脳を自由にするのです。

Balcony4
《緑香庵の施術室から》


■ 脳だけでもない
では、局所(患部)への刺激は無意味なのかといえば、
そうではありません。
以前も書きましたが、
脳の介在しない所でも、何かは起こりうるのです。

(この話、続きます)


アロマは一日にしてならず

2008-04-19 10:00:00 | アロマテラピーとは
正直に言いましょう。
アロマテラピーのトリートメントをただ一回受けたところで、
劇的に何かが改善するということはまあ稀です。

■ 諦めないで
テンパっている時ほど結果がすぐ欲しい。これは人情です。
ましてや一回のトリートメントにおよそ90分で一万円程度。
高いか安いか、その価値があるかは人によりそれぞれでしょう。
もちろん保険もききませんし、
医学的に「効く」という保証もできません。

もちろん深いリラックスは得られますし、
それを機に色々なものは変化し始めますが、
問題の背景となっている、もとの環境に戻れば、
遅かれ早かれ、また同じ問題に直面することになります。

しかーし。だからといって「効果無し」と
アロマテラピーを諦めてしまわれるのは
とても残念なこと。
私自身もそうですが、ここへ来てくださる常連さん達の
お言葉を借りれば、「行くと行かないとじゃ大違い」なのです。


■ 脳が変わって来ます
何度か通ううちに身体が変化して行き、
さらに自分の変化に気づけるようになっていく。
感覚が変化していくというのでしょうか、
変化を感じられるようになっていくのです。

01
また、トリートメントを受けた後の心地よい感じ、
自分の「よい状態」というものをいったん認識できると、
そこからのズレにも敏感になってきます。
そうなれば、あまり悪化しないうちに何らかの
手を打てるようにもなりますし、
その手段も簡単なもので済むようになってくる。

何より、脳が変わって来ます。
身体=感覚が変化してくると、世界を認識する脳が変わって来ますから、
不調の出方も変わって来ます。

■ 身体と和解する
こうしてその方の中で、「身体との和解」がどんどん
進んで行くわけです。
もちろん身体は心でもありますから、
気持ちの状態も変化します。


アロマはただ一回の「癒し」ではないのです。
アロマの脳へ届く力を利用して、
またセラピストのタッチを利用して、
ご自身が自分を認識する鏡のようなものです。

自分の今の状態が本当に「腑に落ち」る、
このこと自体が深い癒しでもありますが、
ある意味そこからが変化のスタートです。
それで終了ではありません。

■ こきざみがGood!
リゾートでご褒美にトライアルというのであれば
それはそれで良いものですが、
何か解決したい問題があって、一度トリートメントを
受けたものの思うような結果が得られなかった時でも、
ぜひ諦めないで何度かトライしてみていただきたい。

もちろん相性や好みもありますから、別のサロンに
行ってみるのも良し。
アロマテラピー自体を嫌いにならないで、
試しに繰り返し受けて見て欲しいというのが、
いちセラピストの切なる願いです。

さらに、これはいつも申し上げていることですが、
ぜひそういう時は短めのコースを頻繁に。
辛いときほど長くどっぷり受けたい気持ちはわかりますが、
かえって「どんより」だるくなって
復活するのに時間を要したりします。
軽めのコースを間隔をつめて受けるのがコツです。
どうぞ上手に利用してアロマを味方に付けてください。


心と身体

2008-04-17 10:00:00 | アロマテラピーとは
ラジオから耳にしたちょっと面白い話。
人工心臓の手術を受けて、初めて成功した人のエピソード。
術後、体は健康になったのだがひとつの変化に気がついた。
それは「感情が動かなくなった」ということ。

これはとても興味深い。
まさかこれで、「感情は心臓にあり」ということにはなりませんが、
少なくとも次のようなことは考えられそうです。
人工心臓は常に「よい状態」にコントロールされていて、
不必要に血流が変化したりすることはないと推測できます。
そういう状態では感情の動きを感じられないということは
反対に、人は血流の変化という生体の反応を
感情の動きとして感じる(ことがある)
ということでしょう。

感情の生まれる道筋を予想してみましょう。
ある刺激に対して脳の中で何らかの
感情の元(もと)というようなものがまず生まれ、
それによって身体の中で様々なことが発現する。
心拍や血流が変わったり、汗が出たり、体温が変化したり、
ある種のホルモンが出たりひっこんだり。
そういう身体の状態の動きも含めて、
人はその時の「感情」として認識する
のでしょう。

あるいは、時には身体の反応が先にあり、
それがある種の感情を作り出すこともあるかもしれません。
感情と生体の反応の関係は、因果の順番はさておき、
どうも密接なものがありそうです。

単純に「心と身体」「精神と肉体」と分けて考える時代は
もうさすがに終わりのようです。
どちらが優先でもない。「どちらも」であるし、
そもそも分けられるようなものではないということですね。

こうなると、脳の旧い部分(本能や感情、ホルモン、自律神経)
に直接届き刺激しながら、同時に、皮膚という、
人間の最大の臓器であり脳と密接に関わる部位に働きかける
アロマテラピー・トリートメントというものは、
その有用性がますます注目されるわけです。

単なる「リラックス」「癒し」と侮るなかれ。
心を含めた身体をまるごと扱うことのできる、
数少ない方法だと思います。


春の祭典

2008-04-15 06:29:00 | 営業日誌
松陰さんの桜も終わりました。今年のはこんな感じ。
Shoinsakura
《松陰神社の桜》

午前中、緑香庵の窓を開けていると、
若林公園に集まってくる鳥の声がたくさん聞こえるようになりました。
これは冬には無かったこと。
暖かくなると歌いたくなるの? 鳥は。

新芽がたくさん顔を出しています。
1stflush1
《新芽。緑香庵にて。》

1stflush2
《ここにも》

1stflush3
《これも》

1stflush4
《あちこちに》

まさに「萌え~」の季節、本来の意味で。