緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

「うつ伏せ」は「腹這い」

2008-08-21 18:59:54 | 「緑香庵」的なもの
年に一度の胃の検診でバリウムを飲んで来ました。
世田谷区の行っている、無料検診です。
バリウムよりも、さっさとカメラを飲んでしまった方が
身体への負担も軽く合理的だとの意見も聞きますが、
なんといっても無料で受けられるのがありがたい。
自営業は健康診断も自分でコーディネイトしなければいけないので、
自治体のはからいはありがたく享受するのであります。

■ まごつくものです
さて、待ち合いを兼ねた更衣室では、
扉越しに前の人の撮影状況が聞こえてきます。
これがなかなか手こずっている様子。
ご存知の方も多いでしょうが、胃のレントゲン撮影の際には、
技師さんの誘導の声に従って、いろいろと姿勢を変えたり、
また、横たわっているベッド自体が前後左右に動いたり、
時には頭を下に逆立ち状態になったりと
なかなかダイナミックなものです。
誘導は、むだなく穏やかに行なわれるのですが、
なにしろほとんどの人が指示通りにちゃっちゃと動ける
わけではありません。
結構ご高齢の方もいらっしゃいますし、
右に回ってといわれてもどっちが右かわからなくなったり、
たいていはまごつくものです。
おまけに胃を膨らませるために直前に飲まされる発泡性のものは、
いくらゲップを我慢してくださいといわれても、
動きに気を取られているうちに思わず抜けてしまうことも
あるのでしょう、途中で発泡剤を追加するという手順が加わったり、
なかなか手間のかかる検診なのです。

そんななかで、なるほどと思ったのが、技師さんの、
どんな年齢の方にもわかりやすいように選ばれた言葉遣い。

■ 神様からの手紙
私たちセラピストが勉強をするときは「うつ伏せ」を「伏臥位」、
仰向けを「仰臥位」と習います。
終始その言葉で日常を過ごして行くのでそちらが普通に
なってしまうのですが、それはいわば専門用語のようなもの。
お客様との会話には適しません。
そこで私は普段、お客様に「うつ伏せ」「仰向け」という言葉を
使っていたのですが、よく考えればこれだって、
トリートメントの最中のぼーっとした時に言われたら、
一瞬どちらに向いたらいいのかわからない言葉です。

その点レントゲン技師さんの指示はわかりやすく的確でした。
言葉から意味ではなくすぐにイメージが湧く。
なるほどこんなところに本日の神様からの手紙が落ちておったか。
いただきましょう。
「まずはうつ伏せから、頭はこちらへ」ではなく
まずは腹這いから、顔はこちらへ」ですね。
また「仰向け」ではなく「上むき」あるいは「天井を向く」です。


お洗濯 二年たっても霧の中

2008-08-13 17:04:15 | 営業日誌
個人サロンにとってタオルやシーツの洗濯の問題は、
地味ながらも意外に根本的な問題になりかねないほど重要です。
オイルを吸った生地は、どんなに工夫して洗濯しても、
繊維にわずかに残ったオイルや石鹸カスが
時間経過とともに酸化して独特の臭いを放ち始めます。
油の酸化臭は殺人的に不快です。
本能に訴えてくる嫌な感じです。
それほどまでに酸化した油は身体に悪いということでもあります。

■ 捨てれば楽ですが
手触りももったりと重くなってきて、
結局のところ捨てるしか無い。
ある程度は割り切らなくては仕方の無い所です。
色々考え方はあるでしょうが、日頃、自然療法をお勧め
している立場上、お客様の肌に直接触れるものを
めったな薬剤で洗うわけには参りません。
ですが、これもお客様の肌に直接触れるものだからと、
コストと質をはかりにかけ慎重に選んだリネン類は、
どんどん捨ててしまえるほど安くないし、
やっぱり物を捨てるというのは心も痛むのです。

■ 煮荒いに挑戦
できるだけ長く使いたい。そのためには、
基本は石鹸洗剤またはそれに準ずるもので洗うにしても、
時にはうっすら蓄積した汚れをガツンと落として
リセットする必要があります。
軟水で洗濯すると石鹸カスが発生せず、洗浄力も増して良い
らしいのですが、軟水化の設備を今すぐ整えるのは現実的には無理。
というわけで、今回は煮洗いに挑戦してみました。
そういえば昔、母が台所でことこと布巾を
煮て洗っておりましたねえ。
母は働くお母さんでしたが、そういうマメなことも
結構していたんですね。今更ながら感心します。

■ 結構きれいにはなるが・・・
20年以上前に染色用(一時草木染にハマったので)に
買い求めたばかでかいホウロウのずんどう容器が、
思いがけず役に立ちました。
物置にずっと眠っていたのは、今日のこの日のためだったのね、
お待たせ。
Boilwash_a
容器にお湯と石鹸を入れ泡立て器でよーくかき回し
ガーゼのシーツを入れてコトコトぶくぶく、
箸でときどきかき混ぜて数十分。
「あらまあ、結構きれいになるじゃない。これいいかも。」
そしてそのままつけ置くこと一晩。
確かに大分きれいになってます。
だがしかーし、試練はその後でした。
すすぎを始めると大量の石鹸カスが…。
「あー、これを落とすのは大変だあ。」
結局その石鹸カスの処理のために何回か洗濯機を回す
ことになってしまいました。
うーむ、この方法も決定打にはならずか。道は険しい。

比較のために同時にクリーニング店に出したものを
回収してから考えることにしましょう。
油汚れはドライの溶剤によく溶けるので、
まずドライをしてから水洗いをしてくれるそうです。
あーあ、軟水機が欲しいなあ。


声を出せ!息を吐け!(ピロント人か~い)

2008-08-08 14:24:43 | 「緑香庵」的なもの
■ 無反応が増えている
もう何年も前から実は思っていたことですが、
最近の若い人(あーこんな言い方をする年齢になっちゃった)、
特に10代かなあ、
ちょっとした予想外の出来事に遭遇した時の反応が
特徴的ではありませんか。
それは「全くの無反応」という反応です。
もしかしたら私の周りだけかなあ、地域差もあるかもしれませんが。


■ 人にぶつかったら普通、どうする?
日々自転車で移動することが多い私は、
自転車どうしの小さなアクシデントに出会うことが
たまにあります。
ほとんどは事故とも呼べないようなごくごく些細なこと。
路地で出会い頭に軽くぶつかりそうになったり、
あるいは通りを渡ろうとして、横切る車をやり過ごそうと
速度をゆるめたら後ろから追突されたり、他にもいろいろ。

私も自慢できるほど運転が上手なわけではないし、
もしかしたら普通より注意が散漫なタイプかもしれない
という自覚があるので、せめてスピードを出しすぎないように、
なるべく周囲への注意を怠らないように気をつけています。
なので、怪我するでも無く倒れるでも無く、
軽く接触するかしないかで、たいしたことではないのですが、
気になるのはその時の相手の反応。

「ごめんなさい」と謝るでもなければ「気をつけろ!」と怒る
でもなく「だいじょうぶですか」とこちらを気遣うでもなく、
とにかく無反応。

■ マナーの話じゃないよ
こちらを無視しているというより、事態を認識していない、
出来事そものを抹殺しているように思える表情。
何も起こらなかったかのような空気。
「あっ!」という声すら上げない。
こちらはひたすら「???」。
何? 今ぶつかったよね、何か起きたよね、私の勘違い?
あれ? あれ? あれ?
仕方なく「だいじょうぶですか~?」とこちらから
おそるおそる聞く始末。
しかし、彼(彼女)は、曖昧な表情をこちらに向けると、
そのまま何事もなかったように自転車を転がして去って行くのです。
顔を合わせてくれればいい方で、
まったくコンタクトせずに走り去って行く人もいます。
最初はたまたまそういう変わった人に遭遇しちゃったのかな
と思っていました。でも、こういう反応はまれではありません。
こいつぁ変だぞ。
自転車運転マナーを云々しているのではありません。
それについては色々ご意見もありましょうが。
また、言葉のコミュニケーションの上手下手を
問うているのでもありません。
そういったことはさておいて、この気持ち悪さは何かと言えば、
何か緊急事態が起きた時、自分の内部に起きる大きな圧力
(ストレスと言い換えてもいいです)の逃がし方を身につけて
いない
人が増えているのじゃないかしらという危惧です。

■ 反応を外へ出さないとどうなるか
もちろんこういう無反応には理由あってのことでしょう。
事態をなかったことにしてでも自分を守らなくてはならないくらい、
若者達は繊細で切迫した世界に生きているということかもしれません。
それとも仕事以外でなるべくエネルギーを使いたくないとか?
しかし事態を認めないともっと大変なことになります。

人というものは突発的な出来事に出会うと、全身で戦闘態勢に入ります。
交感神経が優勢となり、脈拍は速くなり、血圧も上がり、
当然、呼吸も詰めた状態になります。
身体を守るためにあらゆる反応が起こるのですね。
精神的にも肉体的にも内部の圧力が一瞬で高まり、膨れ上がります。
それは自然なこと。
しかし、生きるか死ぬかの状態でないとなれば、
圧力は何らかのかたちで解消されなければなりません
トップクラスの非常事態を続けるのは
心にも身体にも負担が大きいのです。
非常事態を「解除」するには、
少なくとも今起きたことを認める必要があります。
対処はその後の話です。

■ 身体と理性の乖離
しかしながら、この「無反応」という方法はどうでしょう。
これは無視ですらありません。
無視というのは「状況を認識した上での拒否」ですから
まだいいかもしれませんが、
「無かったことにする」「認識するのすら拒否する」という方法、
これはいかがなものか。

モラルのことを言っているのではありません。
身体はとっさの出来事に明らかに反応しているのに、
理性がそれを無かったことにしているという「乖離」の
気持ち悪さです。
こういうことを彼ら(彼女ら)は日々繰り返しているのでしょうか。
もしそうだとしたらとても怖いことです。
解消されない戦闘モードは静かに蓄積するかもしれません。
あるいは、理性と咄嗟の反応をつなぐ回路がおかしく
なってしまうかもしれません。

■ 声を出せ!
自分の圧力が高まっているのを感じたら、
何でもいいから声を出すこと。
それを誰か教えてあげてくれないでしょうか。
「あー」でも「うひゃー」でも、ちゃんと言葉にならなくても
いいからとにかく声を出してみること。
これで過剰なエネルギーはだいぶ外へ出て行きます。

もしそこで間違った言葉を吐いたとしても、
それをきっかけに争いになってしまったとしても、
そこまでいけばコミューケーションです。
そこからいくらでも訂正したり関係を進めたりすることができます。
事態とちゃんと向き合ってしている証拠です。

もし、間違いが怖くて声をだせなければ、
せめて息を深く吐いて欲しい。
腹の底からたっぷり深く深く息を吐く。これだけでも違います。
呼吸は意識から無意識へ働きかけるもっとも簡単で効果的な方法です。
たまった圧力はその都度逃がさなくてはいけません。
つねにパンパンではちょっとの刺激で爆発してしまいます。
自分や他人の失敗、現実のちょっとした不快を
受け入れる余裕もなくなります。
これは、大人でも使える方法です。
「内圧」が過剰になったら声を出せ! 息を吐け!


■ ピロント人
以上、前にも書いた、ヘッドフォンで外界を遮断しながら
つっ走っていく変な自転車野郎
に続く、
道路で感じたちょっと怖い話でした。

ちなみに表題のピロント人とは、諸星大二郎のSF漫画
『カオカオ様が通る』に出てくる、
お揃いのフード付きのガウンを羽織り、
なにかちょっとびっくりするとアルマジロのようにくるっと
丸まってうずくまって災いが過ぎるのを待つという、
実に平和的な民族の名前です。
一応軍隊は持っているのですが、自軍の大砲をドーンと
ぶっぱなしたその横で兵士達がいっせいに丸くなっている
絵が微笑ましかったです。
まあそれならそれで、アルマジロタイムくらい待つ準備は
こちらにもあるので、ゆっくり落ち着いてからコミュニケーション
が出来ればそれでいいんだけどな…。


冷房恐るべし

2008-08-04 18:12:41 | 「緑香庵」的なもの

暑い日が続いております。毎晩寝苦しいです。
これだけ暑いと冷房もやむなし、無理をしては命に関わる。
頭も全く働かなくなってくるし、仕事になりません。
クーラー嫌いの私でも半日以上はお世話になっておるのですが、
そういう日が何日か続くと、とたんに毛穴が閉じ気味
なってくるのがわかります。
梅雨の終わり頃ようやく毛穴が弛み出して、
気持ちよく汗がかけるようになってきたところだというのに。

まあ、仕方ありません。
慢性の運動不足でもあるし、そもそもが私は「閉まる」方向へ
行きたがる体質なわけだし。
それにしても身体の芯に熱をためこんだまま
なんとなく冷えてしまうのは、とても苦しい。
とはいえ体感上は暑いので、お風呂にゆっくりという
気分にもなかなかなれません。
シャワーなら何回でも浴びたいんだけどね。

■ 腰湯と足湯
そこで今年も腰湯です。
タライと洗面器を並べて、タライにお尻を、洗面器に足を
同時にチャポーンと浸けて温まりながらのシャワー。
これは気持ちいいです。
上半身はお湯につかってないので楽だし。
温かさを心地よく感ずるということはつまり、
冷えていたということですね。
温めると、思いのほか冷えていることに気づかされます。
こうして毛穴がちゃんと開いた状態で抵抗無く汗を出せると、
汗自体は苦にならず、むしろ気分爽快、
身体に溜まったものが解消され軽くなる感じがします。
夏バテ気味で、この暑さがこたえるなあと思ったら、
腰や足を温めてみてはいかがでしょう。
(もちろん昼間の熱中症には気をつけてくださいね)

また、よく汗をかく今の季節は、尿の量が減る分、
尿の濃度が増すので、泌尿器系のトラブルも起こりやすくなります。
腰回りを温めるついでに、ティートリーやサンダルウッド、
ユーカリ
などの精油を2~3滴タライに落として
予防にも役立てることができます。

■ 変なオバサン
さらに、外出時の冷房対策としては、首もとのカバー
(電車やお店での冷気攻撃は上から降ってくる)や、
足首の保温も大切。
今年流行の、麻や薄いガーゼ素材のストールはとても重宝です。
下半身のポイントは足先よりも足首、
そして足の甲であることが最近はっきりと感じられる
ようになってきました。
足の裏はどんどん放熱するので、出しっ放しが具合がいい。
寝る時も、ここ数年続けているオリジナル足首ウォーマー
着けて寝ます。これは靴下の先っちょだけをカットしたもので、
これを着けておけば、どんなに寝相が悪くて、
ケットを蹴散らかしても安心。
足首を冷やさないようにしておくと、
目覚めた時の足のダルさが違いますよ。
腰、お腹周りを冷やさないよう気をつけるのは
年間通してどの季節も同じです。

とかなんとか言っておりますが、私とて、いつも保温グッズで
ぐるぐる巻きになっている訳ではありません。
普通に夏の格好をします。
要所要所をその時の体調に照らし合わせて
気をつけるようしているだけです。
短パン+ノースリーブにガーゼマフラー、足首ウォーマー、
腰にぬか袋のカイロじゃ変なおばさんでしょ
(実際それに近いものはあるか…)。

何だかねんがら年中、同じことを言っておりますが、
今年も夏こそ冷えにご用心ですよ、いやもうホントに。