緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

変化は揺れながらやってくる。

2006-09-30 13:25:56 | 「緑香庵」的なもの
変化は直線的に起こらない。
変化は揺れながらやってくる。
これが本日のお題です。

アロマトリートメントにしろ他のボディワークにしろ、
身体へ何らかの働きかけを行なった場合、
必ず何かしらの変化が、身体や心に現われます。

良い変化が現われればそれはめでたい。
ですが、その変化が常に歓迎すべきものであるとは限りません。

具合が悪くなったりすることもあるし、
改善しようとしていたある特定の症状を悪い方向へ進ませる場合もあります。

経験的にいえば、最初に起きた変化がそのまま固定されることは
ほとんどありません。
何日か経つと、その反対の方向への、
ちょっと、またはたくさんの、「揺り戻し」があります。

ちょっと上ったり、また降りたり、という
波のような経過を辿りながら、時間をかけて、
全体としてある方向へ変化が向かっていきます。

その変化の推移を「引き」で、つまり俯瞰で、マクロ的に見た時に、
全体のベクトルが望む方向へ向かっていれば、
その働きかけが正解だったと判断することができるわけです。
Setagaya8man

なにを、くだくだ言っているかと言えば…。
つまり、ひとつひとつの変化にあまり過剰に反応しないで、
ゆっくり時間をかけて変化全体のベクトルを見極めることを
ぜひ試みてほしいなあーという提案が本日のお題です。

私たちセラピストのやっていることは、
盆栽に針金を巻き付けて、ある方向へ導くようなこととは違います。

また、傷ついたその部分にぺたりと補修剤を貼るようなことでもありません。

身体自身がバランスを失って、どう進みたいか、どうしたいか分からない時に、
その身体が自分であるべき状態を発見できるように、
ちょっとした刺激を加えては待ち、またちょっと揺らしては待ち、
というようなことを地道にやっていくのが、セラピストの仕事です。

ある「負の状態」から回復していくのは、クライアント自身でしかありません。
気の長い話ではありますが、クライアント自身が、自分の身体の状態、変化に
自覚的になることなしに、良い結果は望めません。
そんな理由で緑香庵では、自分のからだを感じる感覚を大切にしていただくよう
提案しているのです。

Pwrstn

最初の変化が思わしくなかった時、「あそこのトリートメントは駄目だわ」と、
次なるサロンへ、次なるマッサージへと渡り歩くボディワークジプシー。
反対に、よい変化がでると「あそこはすごいわよ、ゴッドハンドよ」と
何でもかんでもそのセラピストにお任せになってしまい、
全面的な依存傾向を示しはじめる方
どちらの方にも「ちょっと落ち着こう」と言いたいです。

不調の解消を目的としているのですから当然の反応ともいえますし、
特に、最初の変化のカーブは急であることが多いので、
良いときほど依存傾向も起こりがちなのはわかるのですが。

まずは自分の身体の変化をじっくり味わって、
時間をかけて観察していきましょう。

「ちょっとよくなったり、悪くなったりしながら、でも全体的には、
数ヶ月前より調子良くなったなあ」
「ひどいときの最低ラインが上がったな」
こんな感じがベストでしょうか。

もちろん、本当に自分の身体に合わないこともあるので、見極めは大切です。
その見極めも、自分の身体の感覚とじっくりつき合っていくうちに
できるようになるでしょう。








秋の音

2006-09-26 14:08:30 | 営業日誌
自宅から緑香庵へは自転車で通っています。
途中、大きな欅並木に囲まれた、ちょっとした広場を通ります。
今朝そこを通ったとき、何かが昨日までと違う。
見上げると、葉は青々として、
黄色い枯れ葉が落ち始めるまでにはまだ時間がありそうなのに。
何が違うのだろうと思ったら、音でした。

Forest

風で葉がこすれる音がしゃわしゃわと乾いているんです。

この時期、気温や、風に感じる気配のさわやかさは、
もしかすると5月頃と似ているようにも思うのですが、
少なくとも音は違います。
春から夏はもっと湿った音がします。
これは空気の湿り気だけじゃなく、葉っぱの水分が違うんですね、きっと。

夜の車のライトや街灯がキラキラ見え始めると、
冬が近づいてくる気がします。
これこそ空気が乾いてきたせいですね。
そう思っていたら、案の定、指先がカサカサしてきました。
身体はなんと敏感に反応するのでしょう。
早速、蜜蝋+カレンデュラのクリームを塗り込んでみました。

緑香庵のクッションカバーも秋バージョンに衣替えです。
Chair






金木犀が香り始めた

2006-09-22 14:11:46 | 営業日誌
9月20日、とうとう今年も金木犀(きんもくせい)が香り始めました。

気温、湿度、日照時間…、いろいろな条件を満たしたときに
開花になるのでしょうが、
それにしても町中で、あちらでもこちらでも一斉に香りだす不思議。
少々場所が離れていても、ほぼ同時に香りだすようで、
友人も「今年初めての金木犀をかいだ」といっていました。

同じ日に、東京中のいったいどれだけの人が「あっ、金木犀」
と思ったかと想像するだけで楽しいです。
Kinmokusei
《金木犀》

からっと乾いた、気持ちの良い天気とこの香りで思い出すのは、
中学の体育館と講堂へつながるベコベコしたスノコの渡り廊下。
この季節、あの場所でもこの香りがしてました。

さて金木犀とアロマの関係ですが、
金木犀の精油は、あるにはあるようですが、あまりお目にかかることがありません。
ヨーロッパではあまりない花なのでしょうか。
中国ではお酒に漬けるくらいですから、ポピュラーなのでしょうけれど。
薬効のほうはよく分かりません(詳しい方教えてください)。

外でこの香りに出会うと、ひょいと別世界に連れて行かれます。
息を吐くのがもったいなくて、吸って吸って吸って変な人になります。
間違いなく、小鼻はヒクヒクいっているでしょう。

この時期、松陰神社界隈で、自転車にまたがったまま鼻を広げて
過呼吸になっているおばさんが居たらそれは私です。





エステとアロマ

2006-09-20 19:43:07 | アロマテラピーとは
エステと何が違うの?と聞かれます。

アロマを勉強した後の就職先として、エステサロンを選ぶ人もいますし、
エステサロンをやりながら、アロマを勉強する人もいました。
エステのコースのなかにも、アロマトリートメントというのがあったりします。
アロマトリートメントの説明として、「エステみたいなマッサージ」
という答え方もあります。
どちらも「美と健康の増進」を目的としている点でもよく似ています。

明確な定義の違いは無いと思いますが、
私なりに感じるのは以下のようなことです。

エステ業界ではよく「結果をだす」という言葉が使われます。
何よりも一回ごとに明快な「結果」が要求され、
かつその結果は目で見て分かる、外側から確認できるものでなければならない
という基準で動いているのがエステ。
そのために、手技だけでなくもっと効果の期待できる
機械や化粧品などが工夫されています。

それに対し、アロマの視点は身体の内部にあるように思います。
内部の変化無くしては、外見の変化もありません。
もちろんエステが内部をないがしろにしているわけではありませんが、
軸足の置き方にはおおいに違いがあるように思われます。

アロマにも即効性はあります。
しかし、一回ごとの分かりやすい変化よりも、何回かを通して
クライアントの全体的な変化を大切にし、
クライアント自身の内部の力がついていくのを
見守っていくのがアロマ・セラピストの立場だろうと
緑香庵では考えています。
Balcony
《緑香庵にて》




精油あれこれ・第1回:スイートオレンジ

2006-09-19 15:38:33 | 精油あれこれ
◆ はじめに ◆

アロマテラピーと言えば精油です。
精油についての書籍もだいぶ増えてきました。
その手のサイトもたくさんあるし、
初心者でもホームケア用のガイドは十分手に入れられる時代になりました。

いまさら精油についてのあれこれを書いてもどうなのよ、と
自らつっこみつつ、散らばった知識を改めてひとつひとつ吟味しながら、
その精油の本質というか、その植物のもつ力の本質に迫りたいと、
このテーマをスタートすることにしました。

あくまでも私見なので、基礎的なデータは本などを参考にしてください。
取り上げる精油の順番は適当です。
多分、その時の私の心理状態や体調が反映されることになるでしょう。
なお、文中様々な使用例が出てきますが、
精油を使用するときは必ず植物オイル等の基剤で薄めて使うなどの
基本事項はお守りください。

◆第1回は「スイートオレンジ」です。◆
Orange

昔(アロマに興味をもったころ、およそ10年前ですね)は、
何とも思ってませんでした。
どこにでもある平凡な香りだし、そこがあまりかっこ良くない。


それが、今は大好き。つくづくいい香りだなあと思います。
そういう精油がいくつかあります。
例えばペパーミントなんかもそう。昔は、歯磨き粉じゃんと思ってましたが、
いやー、ほのかに甘くて、背中の管が広がってすーっと上に抜けていくようで、
いいですねー。

あ、今日はオレンジでした。今も傍らで香らせながら書いてます。
軽くて、細胞と細胞の間が解放されていくような感じがします。

オレンジはオープン(Open) です。いろいろな意味で。
不必要な結合をゆるゆると手放して、空間が生まれ、再び動きをとりもどす。

ほんわかとした日だまりの暖かさ、親しみ、懐かしさ。
包まれて守られているけれども、隙間がたくさんあって楽な感じ。
母親や小さな子供のイメージでもあります。

● 主成分は85%リモネン
→軽いです。酸化しやすいです。持って半年。
油汚れ落としが得意です。掃除(+エタノールで冷蔵庫とか)にも、
脂性肌のクレンジングにも。

● 加温作用あり(心も身体も)
→足湯、手浴で発汗促進。
「うつうつ」にも「キリキリ」にも。月経時にもとてもいいです。

● 停滞している物を動かす
→消化器の運動促進(+ブラックペッパーで便秘に良)
→消化器が原因の頭痛には、カモミールとの併用で良
→緊張性の頭痛(疲労物質の停滞が原因)にも良

● 毒性低い(わずかに光毒性。2時間で消失との見解あり)
→子供、妊婦OK。(赤ちゃんはやめてね)

● スイートオレンジのお仲間紹介
ビターオレンジの花 = ネロリ、ビターオレンジの葉と枝 = プチグレン

本当に落ち込んでいる時は、あまりディープに内部に入り込んでほしくないことがあります。
そんな時はオレンジをぜひ。

あくまでも外側からふんわり優しく毛布のように暖めてくれます。
それもけっこうゆるめに、適当な感じで。
「あたしがあなたを癒してあげるよーん、ほらほらー」という
押し付けがましさはいっさい無く、これが意外に効く。
遠赤外線のように中まで効いてくる。

孤独ではないことを思い出させてくれます。
オレンジの日だまりを満喫したら、猫のようにびよーんと伸びをして、
楽に動き出せるかもしれません。

◆ まとめ ◆
オレンジの本質にせまるキーワード
暖める オープン 止まっている物を動かす 楽 軽い

ついでに、私はこの香りが大好き!
Piyo
《三軒茶屋のCAFE Mame-Hicoから緑香庵に移住》