緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

野生へのスイッチ

2010-07-28 18:50:57 | アロマテラピーとは
ここのところ何冊か食餌療法に関する本を読んでいます。
私自身が何か特別な食事を摂っているわけではありませんが、
もともと食いしん坊なので、食べることには
人並みならぬ興味があります。

食餌療法には、いわゆる現代の栄養学の枠にはおさまりきらない
様々な考え方のものがあります。
マクロビオティックしかり、薬膳しかり、
ナチュラルハイジーンしかり、甲田療法しかり…。
どれもなるほどというところがあり、
またそれでいながらお互いに矛盾していたりもするので、
「これってどっちが正解?」ということもたくさん。

そんな中でピタリと私のアンテナに降りてきたのが
今回標題とした「野生へのスイッチ」という言葉。
「野生」というのはなかなか大事なキーワードです。

■ 断食、出産
例えば、断食。
断食というのは飢餓状態を起こさせることによって
人間が本来持っている「野生へのスイッチ」が入り、
驚異的な生命力を発揮させ、
完治が困難な重い病気をも治癒に向かわせるのを期待するのだそう。
遺伝子の中に眠っている潜在能力のスイッチをオンにする
ための装置として断食という刺激があるというわけです。

もう一つの例はお産。
これは生物としては実に自然な行いですが、
現代生活を行なう現代人に取ってはまこと大変なイベント。
妊娠期間とは、「失った野生を身体へ取り戻す」期間と考える、
というのが、今まで一番腑に落ちた妊娠についての考え方。
そのために、現代生活を送りながらも、食事や毎日の生活リズム、
生活態度を見直すことが大事になってきます。

■ アロマで「野生スイッチ」オン
さて、断食や出産は、かなり大きな意味での「野生」を取り戻す話ですが、
もっとささやかなレベルで、身体に備わる野生へのスイッチ
に関わるのが、私の仕事です。
「アロマトリートメントとは、体に備わる自然治癒力を刺激して云々…」
とはすなわち野生へのスイッチを押しているわけです。
このスイッチ、かなり小さなボタンですけどね。

動物達には、身に何かが起きてもお医者もいなければ薬もありません。
ただじっとうずくまって勝手に回復するのを待ちます。
そして実際勝手に治ってしまうわけです。
肩凝りも腰痛もありません(聞いてみたわけじゃないけど多分)。
重篤な時は命を落とすこともあるでしょうが、
それにしたって回復を目指した努力を、体が精一杯やった結果、
及ばなかったということ。
それが自然治癒力であり、野生の力。

動物達のことを考えると、
人間にトリートメントするのも、
あくまでも相手の中にあるスイッチを刺激するだけで、
必要以上に介入してはいけないんだな、と思われます。
相手を変えようなんて不遜ということですね。

で、そのためにはどうするのかというのは、また別の機会に。


ひまし油の仕事

2010-07-24 08:32:41 | 「緑香庵」的なもの

■ しまった!
サッシで指を挟んだ。
左手親指、爪の付け根、三日月の辺。
「しまった!」とすぐに手近にあったひまし油を
爪の表面にたらーり。
「あれ? 痛くない。たいしたことなかったんだな。」と思いつつ、
一応冷やしておこうと蛇口の下で流水にかざした途端「痛いっ。」
ズキズキと脈打ち始めました。
流水の刺激がこたえるのかと溜め水に浸してみてもやっぱり痛い。
おやおやおや、ますます痛くなってくるよ。
やっぱりもう一度ひまし油たらーり。
「あれ? 痛くないぞ。」
いやいや奥の方で何かが起きている感覚はあるけれど、
「痛み」という苦痛は感じない。
生温かいオイルにくるまれて、むしろふんわりといい気持ち。
なんでしょこれ。

■ ファーストエイドとしてのひまし油
ひまし油がファーストエイドに使えることは以前から知ってました。
ちょっと目を怪我したときなどもひまし油をタラリ、
以前、足の指をぶつけた時もひまし油とセントジョーンズワート
とラベンダーでしのぎました。

ひまし油は普段からトリートメントでもよく使います。
どうしても流してしまいたい「滞り」や、
冷え・硬直の強い部分に、ひまし油+温湿布。
(セントジョーンズワートやアルニカを使うこともあります。)
肌/オイル/ラップ/ホットタオルの順番で重ねて使います。
これは浸透を期待した使い方ですね。

でも今回は爪の上にたらした途端ですよ。
もちろん染み込む間もない。
しかも爪の上、皮膚でも粘膜でもない。
さらに怪我直後なので温めることもしませんでした。
オイルが爪の上に乗っているのは感じられるけれど、
それだけでなんでこんなに保護された感じになるのかしら。
非常に柔らかい温かな手で、挟まれた指ごと包まれているような感覚。
そのまま上からティッシュでくるんで数時間、
奥の方のズキズキもおさまりました。
おかげさまで紫にも変色せず、
怪我の記憶は確かにあるものの生活に支障無く過ごせました。

これだけの効果を感じることができるというのは面白い。
ひまし油のとろりとした粘度の高い質感がよい働きをしているように思います。
ひまし油が炎症の熱を取ってくれるようなイメージもあります。
怪我の瞬間、人は本能的にその場所を手で抑えたり覆ったりするものですが、
患部を外界から遮断するというのは
それだけで意味のあることなのかもしれません。
保護剤としてのひまし油の力に驚かされた出来事でした。
(2日後でもキーボードを打つと爪の奥がうずきました。
それなりに大した怪我だったのね。)


新しい勉強

2010-07-15 18:03:03 | 「緑香庵」的なもの
最近勉強し始めたボディワークがあります。
以前にもセミナーに行ったことがある
ロルフィングを基調とした、
身体に関するあれこれを学ぶレッスンです。

ひとつの事柄を表すのに色々な言葉があるように、
ボディワークにも様々な手法があります。
新しいボディワークを習うというのは、
単に施術テクニックの「引き出し」を増やすというだけではなく、
新しい角度の考え方に出会うという意味を持ちます。

そこで使われるボキャブラリーも新鮮です。
固定化した感覚が揺さぶられ、
身体に対峙する時の自由度が増していくということでもあります。

ボディワーク勉強ジプシー
(注:いろんなボディワーク系の勉強にあちこち首を突っ込んで、
腰を落ち着けない流浪の民のようなヒトのこと。)

になってはいかんというご意見もあるでしょうが、
「感覚停止?思考停止?ひいては狂信」に陥らないために、
常に刺激を受け続けることが、
どうも私には必要なようです。

■ できないことにぶち当たるのは嬉しい
というわけで始まった新たなるお勉強。
さっそく新鮮な言葉に出会いました。
「介入しないで待つ」
(意識はできなくとも)「自分の身体の感受性を信じる」
これは二つとも「触察力を高める」というテーマのもと
クラニオセイクラルという療法の基礎訓練に臨んだ時に得た言葉。

普段意識している指先や手のひらから伝わってくる繊細な感覚を
あえて抑制して、
自分の肘や肩に無意識に伝わっているクライアントの身体の律動を
キャッチする試み。
ボディワーク系にご興味のない方には「なんのこっちゃ」でしょうが、
私にはこれがすこぶる面白かった。

ですが、まあこの「律動」とやら、見事に解らない。全然感じ取れない。
でも確かに私の肘は反応している。でも、意識はできない。
ぜんぜんだめじゃーん。
だがしかし、これも別の講座でいただいた言葉
「うまく行かない所にこそノビシロがある。そこが成長のチャンス。」
だからね、できないことにぶち当たるのは嬉しいことなのよ。


アロマで虫除け

2010-07-06 10:00:00 | 精油あれこれ
家人は虫が苦手。
近くに飛んでこようものなら、まるで銃弾をよけるかのごとき
素早い身のこなしで接触を回避します。
マトリックスかよ。
あまり派手によけるのでスズメ蜂でも来たのかと思えば、
どんな小さな虫でもそうなんです。
当然我が家の虫処理係は私になります。
私も得意なわけではないけれど、ここは私が頑張らなきゃ
しょうがないでしょ。
育ちが高尾の麓なもんで、平気っちゃあ平気。
たいていの虫は、手で掴むか適当な容器に捕獲して
外へお帰りいただきます。

なるべく殺虫剤は使いたくないので、虫が嫌いなアロマやら、
昔ながらの除虫菊の蚊取り線香やらで、おだやかに
「なるべく家には来ないでね」とアピールしながら
だましだまし夏を過ごします。

が、ひとつだけ私にも我慢ならないものが…。
それは「G」。ゴキブリです。
言葉に出すだけでもドキドキするので
「G(ジー)」と呼ぶのが我が家の流儀。
(ちなみにナメクジは「N」。
こちらはニームというハーブのおかげで
最近はほとんど庭に現れなくなりました。)
Gは怖い。あのスピードがなんとも恐怖を増幅する。
自宅では市販の禁忌剤も使用しますが、
サロンではそうもいかない。
で、アロマで対策。

■ ゴキブリが嫌う精油
(G本人に聞いたわけじゃないけど)

代表格が
・ クローブ
・ ベチバー
このふたつが横綱ですかね。香りも横綱級。重く残る香りなので、
お好みでなければごくごく少量にした方がよいかもしれません。

そして、
・ コパイバ
・ ティートリー
・ ひば

次いで
・ ローズマリー
・ タイム
・ ミント系(ペパーミント、スペアミントなど)
・ ラベンダー

このあたりをお好きに組み合わせて、コットンなどに染ませて
部屋の隅や通り道となりそうな所に置いておきましょう。
私はひばの木のチップにたらしてぶら下げてみました。
香りが薄くなったら精油を足してね。
なお、ベチバーはとても粘度が高いので、使いづらい時は
アルコールで少し薄めるのも良いかと思います。

■ 蚊
これに対して、蚊(カ)に対しては有効な精油が異なります。
代表的な所で
・ レモングラス
・ シトロネラ
・ ユーカリ(レモンユーカリならなおよろし)
・ ゼラニウム
・ ラベンダー
などですね。こちらはスプレーを作っておくと便利です。

【材料】
無水アルコール5ml
精製水45ml
精油お好みで10滴
1. アルコールに精油を入れてよく混ぜる
2. そこにお水を入れてよくシェイク
簡単。

刺されてしまった時のアロマ対応についてははまた別の機会に。

さらば「G」。


講師、はじめます

2010-07-01 18:48:48 | 営業日誌
何かを続けて行くためには、変化し続けなくてはならない、多分。
なぜなら環境そのものが変化しているから。
変化に対応して、やっと今の場所にとどまることができる。
変化することを怠っていては、同じことを続けているつもりが
気づいたら結局別のものになってしまっていたという
ことになりかねない。
何かを存続させたかったら、いつもそこを出て別の場所へ
冒険に出なくちゃならないのですね。

■ 講師を始めます
というわけで(?)、今年の秋から「アロマテラピーの学校」で
講師をすることになりました。愛しの母校です。
といっても緑香庵は今まで通りここで皆さんをお待ちしてます
(若干不定期の休みが入る可能性はありますが)。

「教えること」は得意なことではありません。
むしろ「あたしみたいなもんが人の前に立って良いものか?」
という疑問は今も頭から離れません。
でも、嫌いなことでもないのです。

たびたび登場する心優しい友人に、
「ここ(緑香庵)に来て下さるお客様がいること自体を自信にしなさい」
とアドバイスされました。
「お客様の支持を信じろ」とも。
なるほど、その通り。
だからこそ、これからアロマテラピーを学ぼうとする人に、
ここで学び感じたあれこれを伝えたいという思いは熱烈にあります。

また、未熟な私だからこそ、
新しく出会う生徒さんとともに挑んでいきたいという
学びへの欲求もあります。
教科書に載っているエッセンスの向こう側にある
広く深い世界の秘密に触れたいです。

だからといって何か特別なことをするわけではありません。
サロンでお会いするお客様に、手を通して一対一でお伝えしたいことと、
中身は同じなのかもしれません。

■ 私自身が問われる
つねづね、学びというのは人と人との化学反応だと思ってきました。
アロマテラピーに限らず何かを学ぶ時に感じてきたことです。
システムや学習内容ではなく、そこにいる人によって起こる「化学反応」が
学びなのだと感じます。
トリートメントでも全く同じ。
そこにいる人の相互作用によって「何か」がおこる。
であれば、講師をするという行為も、
やはり私自身がどういう人であるのか、あろうとするのか、
それが問われるわけですね。
なかなかのアウェイでございましょ。
刺激的だあ。

■ アウェイ
ある脳科学者は「自分をアウェイに置け」と言っていました。
その時に脳は最も活性化するのだそうです。
脳は体の中で最もエネルギーを必要とする臓器のひとつ。
だから脳はいつでもコストを下げることに熱心で、
実は変化を好まない保守的なものなのです。
だから変化は意図的に求めて行かないとならない。
自分のお尻を叩いてね。
ああ、面倒くさいわ。
けどなるほどそうであるかもしれない。


■ そして、ホーム
さて、どんな冒険もホームあってのアウェイです。
始めた時は大冒険であった緑香庵は、ようやく
私にとってホームになろうとしています。
それはそれで感慨ひとしお。
緑香庵すなわちお客様は大事な大事なホーム。
これからもどうぞよろしく。