緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

精油あれこれ・第4回:サンダルウッド

2007-10-31 10:00:00 | 精油あれこれ
秋も深まって来ました。
ちょうど今頃になると何故か気になる精油がサンダルウッド。
夏の間はちょっと暑苦しくて苦手だった香りが、
空気が乾きだすとなんだかとても良い香りに感じられます。
サンダルウッドの湿り気を無意識に欲しているのかもしれません。
久々の「精油あれこれ」、今回はそのサンダルウッドです。
Sandalwood


■「サンダルウッドは双葉より芳し」
インドが有名な産地。
最近は乱獲による減少が危惧されて、インドでは政府の
コントロール下におかれているとか。
値段が上がるかもだの、手に入らなくなるかもだの、
粗悪品が出回るかもだのいろんな情報が飛び交っておりますね。
当たり前のことですが、植物たちの置かれる状況によって、
小さな精油瓶の中身は影響をうけます。
工場で合成できないものの宿命ですね。
サンダルウッドの精油は木の心材から蒸留されます。

日本では白檀(びゃくだん)という名前でお馴染みです。
「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」という言葉の
栴檀とはこの白檀のこと。ややこしいですが
現在、一般的に栴檀と呼ばれている植物は別のものです。


■多機能なサンダルウッド
さて、このサンダルウッドの本質を捉える言葉として
何が適当なのか、悩みます。
なかなかに多機能な精油なのです。
古くから瞑想や、伝統あるインドの医学「アーユルヴェーダ」で
医療に使われて来ただけのことはあり、
ひとつにまとめるのはとても難しい。
が、やはり、その出自がポイントではないかと思います。
つまり、インドという気候風土、
そして葉や花ではなくその木の心材を用いるということ。

まず、暑いところに生まれた植物であることから、
どちらかというと冷やす、鎮める
という方向が得意。
心材を用いるということで、不動のイメージ。
生き生きとした変化よりも、変わらないコアを持ち味とするようです。
揮発の速度も大変ゆっくりです。穏やかにながーく香ります。
そして、これは風土というより文化にまで踏み込んでしまう
ことになるのでやや反則ではありますが、
清濁合わせ飲み、その上でより深い本質へ降りて行くとでも
申しましょうか…。
つまり、どちらかというとヨーロッパ的な二元論
「浄化=きれいにする=汚れを排除する」ではなく、
アジア的な「あれもありこれもあり」で全体を包み込んで、
さらに良き状態へと我々を導いてくれるのがサンダルウッドでは
ないかと個人的には感じているのです。
あー抽象的すぎる
ので、具体的に参りましょう。


■働く部位と働き
以下、いつも通り、医学的な効果を保証するものではありません。
使用する時は濃度に注意し、決して口に入れたりしないでください。

▼影響をおよぼす主な部位。
a. 精神・神経系
b. 腸
c. 泌尿器
d. 生殖器
e. 呼吸器
f. 皮膚

▼主な働き
1. 熱性の興奮状態・炎症を鎮める。

2. よどみ、澱(おり)を排泄する。
カタル性の疾患への働きかけが得意。
ジュニパーやサイプレスよりもっと
粘度の高いものをゆっくり押し流すカンジ。
かつ、流したあとも湿度は保存する。つまり保湿も果たす。
根こそぎ排除するのとは異なる。
結果として穏やかな収斂がおこる。

3. 消毒殺菌効果。どんな精油にもお馴染みの働き。
膿や病原菌を排泄すると考えても◯。

4. 強壮・回復


■効能のイメージ
上記をふまえて、「場所」と「働き」をかけ算すると
以下の効能がわかりやすいです。

<精神・神経系>
知性の暴走を止め、妄想的な不安を解消。
悪い考えがグルグル回るとき「今、ここ」へフォーカスし、
実感のある人生へと導く。
丹田に落ちる。エネルギー補充。
同じく心を鎮める精油にラベンダー、スイートマジョラムがあるが、
これらはフラットな状態へと調整。
対してサンダルウッドはより深い場所へ。
強力な鎮静効果は瞑想に◯。抗うつ効果がうたわれる一方で、
うつにNGという説も有り、症状によって考慮が必要。
神経系の興奮を鎮めるということで、座骨神経痛等にも使われる。
また自律神経の暴走を鎮め、月経前症候群や更年期障害などの
生殖器関連のホルモンバランス調整にも。
ジャスミン、ローズとのブレンドはエンジェルオイルとよばれ、
香水にもよく使われる他、精神世界とのコンタクトにも用いられるとか。

<腸>
熱と痛みを伴う消化器症状、つまり、下痢、胆嚢炎など。

<泌尿器>
膿みや分泌物を伴う膀胱炎・尿路感染など。柔らかな利尿作用。

<生殖器>
滞下、感染症。ホルモンバランス調整。

<呼吸器>
咽頭炎、声がれ、空咳。
芳香浴で吸入するもよし、薄めて胸や肩甲骨の間に塗布するもよし。
空咳にはフランキンセンス・ベンゾインも。
対してタンがからむ咳にはユーカリ、ローズマリー、ペパーミントを。

<皮膚>
ニキビ(毒素の排出)。乾燥肌・老化肌。皮膚の保湿と軟化
また、皮膚というより循環器ですが、血管に対する穏やかな収斂作用を
期待して静脈瘤にも。
あくまでも穏やかなので、血圧を気にするほどではなく、
年配の方にも使いやすい。

■ロマンスの秘薬(?)
ついでに。
サンダルウッドの催淫作用がよく言われますが、これについて。
サンダルウッドの特徴である強壮作用、これは一般的にも性的にも有効。
特に東洋医学的にいうところの「陽」を強壮すると言われています。
陽=男性ですね。

<ur>
サンダルウッドの香り=いい男の香り
 ↓
嗅いだ女性からエストロゲンがいっぱいでる。
色っぽくなる。
 ↓
男性が寄ってくる。</ur>


つまり、男性が元気になる香りであり、同時に女性が
モテモテになる香りでもあるのです。
どっちにしても両方に良いですね。
反対にローズやジャスミンはいい女の香り。

<ur>いい女の香り
 ↓
嗅いだ男性がその気になって色っぽくなる。
 ↓
女の人が寄ってくる。
</ur>


これまた双方におめでたい。
ロマンチックな気分になるか否かは、いずれにしても相互作用
ということですね。
サンダルウッドをはじめローズもジャスミンもその
リラックス作用の影響が大きいでしょう。
ゆったりと寛いだ気分でないとね。

■アジア的な精油
以上細かく見て来ましたが、これだけの機能を内包し、
混沌を包み込む懐の深さ。
とりあえず何にでも使えるんじゃないの?
と思えてしまうくらいのおおらかさ。
アジア的だなあとつくづく思います。
サンダルウッドは日本でも聞香(もんこう・香道の作法)という
香りの文化に古くから登場しています。

年をとってからこの香りが好きになる人も多いようです。
私も最近になって好きになりました。
やっぱり人生いろいろ味わわないとわからんこともあるのよ。
それとも人生が乾いて来たってこと?
保湿が必要なのか? 私は。
そうかも。


祭り!!!

2007-10-28 14:13:47 | 営業日誌
今日は朝から太鼓の音やらお囃子やら、
松陰さんがにぎやかです。
昨日今日と、年に一度の維新祭りなのですが、
突然の台風で昨日のメニューはすっかり流れてしまいました。
楽しみにしていた境内でのジャズバンドも今年は聞けず残念。

昨日の分を取り戻すかのように、午前中からお祭りモード全開。
子供の声もいっぱい聞こえます。
いやあ素晴らしい天気。
台風が去った後の空気はカラリとして空が高い高い。

そんななか、私は朝から洗濯物を盛大に干し、
いつものように掃除を済ませて、PCの前に座り、
芸人のブログを読んで泣いているのです。
あほですね。
今日は少しホルモンの具合がおかしいのか、
何を見ても泣けてくる。
「面白くなりたい、面白くなりたい、もっともっと面白くなりたい。」
という20代の男の子も、
「もっと良い施術をしたい。」と願う40代後半のおばちゃんも
いっしょです。何も変わらん。
会社勤めもしたし、音楽もやったし、色々すればするほど、
結局何でも同じなのねというところに行き着く。
こうして、周りの人はもちろん、
直接会うことの無い人からもメッセージをもらい
助けてもらって今日があるのです。

さて、今日は祭り。
生きている時間の数十年も、長ーい人の歴史から見れば
一瞬の祭りです。寿ぎましょう。めでたいめでたい。
だもんで、今日は早じまいして屋台をひやかしに行こう、
と決めました。



肌は何でも知っている

2007-10-26 11:49:52 | 「緑香庵」的なもの
最近読んだ皮膚科学の本。
「第三の脳 ~皮膚から考える命、こころ、世界」(著=傳田光洋)
これが面白い。

皮膚はずっと長い間、刺激を感じるだけの臓器、
つまり感覚器と思われてきました。
ところが今世紀に入ってから、実は肌の表層では、
受け取った刺激を判断し行動を起こすことまでやっている
ということが、わかってきたそうです。

神経(受動)→脳(判断)→行動という回路とは別に、
神経の受容体に届く前に、表皮では肌の細胞が自分で判断
何らかのアクションを起こしている。
肌は脳の機能すら果たしているということです。
皮膚は第三の脳であると、その本では言っています。
(ちなみに第二の脳は消化器だそうです。)

皮膚については、まだまだ分からないことがたくさんあり、
解明が進むほどに、皮膚というものが単なる身体を包む皮袋
などではなく、より多くの機能を持つ複雑な臓器であること
が明らかになってくるようです。

たった一つの小さな細胞(卵)から分裂が始まり、
人間が形作られるとき、皮膚は脳や神経と同じ部分から作られる。
以前解剖学の授業で習った、そんな話を思い出しました。

■皮膚を軽んじてはいけません
一般的に、内蔵や他の器官に比べて肌の表面でおこることは、
やや軽んじられるところがあります。
美容に興味でもない限りは、肌のことはずっと後回しという人が
結構いるんじゃないでしょうか。私がその一人でした。
しかし実は「美容」に興味があろうがなかろうが、
肌の問題には誰もが避けて通れない面があるのだそうです。

それは、肌の状態が私たちの無意識へ影響を与えているという点。
最近の研究ではっきりしてきたのだとか。
「見た目がきれいかどうか」という問題だけじゃないってことです。

たとえば、アトピーのある方は、体の表面から四六時中
「ノイズ」が発生していると考えられ、それが心身へ影響を
及ぼしているということです(この本の著者自身もアトピー)。
見た目のカサカサとか、意識の上で感じる痒み以上の
無意識の負荷がかかっているわけです。

また反対に、肌で感じる「心地よさ」というのも、非常に繊細なものです。
神経が配置されている間隔よりもっと狭い範囲の微細な違いを、
皮膚は感知するそうです。
肌の表面をなでられて気持ちいいなあと思うとき、
喜んでいるのは「脳にまします意識様」ばかりではありません。
体全体が、細胞たちがワラワラとみんなでウヒャーと喜んでいるのです。


■セラピストは幸せです
ですから、体の表面も大切にしなくちゃね。
そして、そこに毎日触れさせていただくお仕事している私は、
もっともっと敬意を持ってタッチしないといけませんね。
確かに、触れている私の手のひらの表面も、
ズラーっと並んだ細胞がウヒャウヒャ言って気持ちよがっている
気がする時があります。
人に触れるのは本当に幸せなんです。
Kabocha
《MAMEHICOのカボチャのタルト》

さてこの季節、空気が乾燥して来ました。
その本によれば、肌表面の水分量が、肌がどう行動するかの指標
となっているらしいとのこと。
水分、油分バランスよく補って、肌を大事にしてください。
そしてなにより、手のひらで大事に大事に自分の肌を
触ってあげてください。これは以前も書いた通りです。

肌が気持ちよくいられるということは、肌の状態が良い
ということであり、結果的に見た目もきれいということになります。
顔だけじゃなく、体中の皮膚をもう少しかまってあげましょう。