緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

松陰さんのお祭り

2006-10-30 11:23:06 | 営業日誌
この週末は松陰神社のお祭りに行ってきました。
第15回萩・世田谷 幕末維新祭り」です。


松陰さんのふるさと・萩と提携して行なわれる、
年に一度のお祭り。

実はお祭りに行く直前まで、ブログのための少し難しい文章を書いていたのですが、
1杯の赤ワイン(屋台バー:外国の人でした)と、こんがりたこ焼きのせいで、
その日はヨロヨロになってしまいましたので、
仕切り直して、とりとめのない文章を書いてみます。

今回のお祭りでは松陰JAZZナイトということで、
地元のアマチュアビッグバンドの演奏が松陰神社本殿前であり、
神様と音楽と愛と夜の飛行機雲について考えました。

この「松陰JAZZ」、楽しめました。
もし、この松陰JAZZナイトの演奏を20代の私が聴いたら、
もしかすると「素人のおじさんたちが...」と、
少しシラケた気持ちで見たかもしれません。

若いということは、純粋なようであり、また、狭量でもあります。
40代の私は、「この演奏には愛があったなあ」と思います。
プロの演奏だって愛の無いのはいっぱいあります。
松陰さんはどう思いましたか。

以前外国人に日本のガイドをする時に、神社の説明をする場面で、
神社をHOLY SPACEと説明しているのを見たことがあります。
つまり、ここには神聖な場所があるだけ。
偶像も無ければ何も無い。
ただ場所が神聖なのだ、それが神社だと。
とても好きな説明でした。

松陰神社は、本当に気持ちのいい、清らかな、
すっきりとした気分になれる場所です。
直線的なキリリとした建築物と、こんもりした樹と、空があります。
松陰さんを敬うとかなんとか、
そんなこと松陰さんは気にしないのだろうと勝手に思います。

その場所で、空を見上げながら、おじさまたちの(女性もいましたね)、
懸命の演奏を聴きました。
難しい曲を「松陰さんの奇跡を願って」と演奏していました。
本当に奇跡みたいに、本殿と並行して真横一文字に飛行機雲ができていました。
小さい子たちは、そんなこと関係無しに奇声をあげていました。
この地がますます好きになりました。




精油あれこれ・第2回:サイプレス

2006-10-23 18:59:02 | 精油あれこれ
前回からだいぶ間が開いてしまいましたが…、
◆第2回は「サイプレス」です。◆

Cypress
《Cupressus sempervirens(ヒノキ科)》

サイプレスは歴史的に生と死にまつわる樹木でした。
神聖で、かつ死別の悲しみを受け止め、流し、癒す、慰めの植物でもあったようです。

サイプレスのキーワードは第一に「キュッとしめる」。
それも、雑巾絞りのように外側から絞めるというより、
内の芯がシュッと縦に伸びて弛みが解消し、
結果、無駄が無くなって全体がしまるといったイメージでしょうか。

こうして原稿を書いている今も、傍らで香らせているだけで、
背筋が、気道がしゃんと伸びて、冷たい清浄な空気が身体の中に満ち、
頭はすっきり、中心に統合されるような気がします。
精神的にも身体的にも、弛み(ゆるみ)を「キュッ」としてくれるのが
サイプレスの最も顕著な特徴でしょう。

第二のキーワードは「過剰をなだめる」。
どちら向きの過剰にも、です。
過度な緊張にも、過度な弛緩にも、どちらにも作用して
(後者の場合はつまり「キュッ」と作用して)、
真ん中に戻してくれる感じです。

バランスをとるというよりも、
やはり中心にまとまるイメージですね。

  ◆  ◆  ◆

以上の2点をふまえて具体的な使用例をあげてみましょう。

1. 「キュッ」
サイプレスは血管への働きが有名です。
血管を収斂→血管拡張性の片頭痛に。
頭の中の血管が緩んで広がっておこる、ガンガンタイプの頭痛です。
私も以前はPMS(月経前症候群)大王でしたので、よくお世話になりました。
私の場合はセルフケアとリズミカルボディセラピー(以前もちょっと書いた)
のおかげで本当に楽になりましたが、
PMSの話はまた別の機会にゆずりましょう。

また、「キュッ」の延長上にあることですが静脈を強壮するともいわれます。
静脈瘤や痔疾などに(with セントジョーンズワートの浸出油や、ヤロウ)、
冷え性やしもやけに(with ジンジャー)。
リウマチによる関節の腫れむくみ、
さらにリンパの滞留からくるニキビなどの肌荒れ、セルライトにも。

このあたりは閉塞状況を変化させるのに、
サイプレスの「キュッ」を利用するという感じでしょうか。
筋肉にたまった乳酸を流したり、リンパの流れを促したり、
結果的に組織の解毒というような役割も果たすようです。

もちろん、毛穴や汗腺も引き締めるので、デオドラントや制汗剤に。

「キュッ」によって余分な水分も動き出しますので、
利尿作用も当然伴いますね。
利尿・余計な水分といえばジュニパーが有名ですが、
あちらは「排出してもとの状態にもどす」、
こちらサイプレスは引き締めてもとの状態にもどす。
結果は似ていますが、テーマがちょっと違う。
弛みきって怠惰になった心にもぜひ「キュッ」と。集中できますよ。

※サイプレスの「キュッ」はかなり強力です。高血圧の方はご注意ください。


2. 過剰の調整
呼吸器の痙攣=咳や喉の不調など、
消化器の痙攣=下痢など、
筋肉の痙攣=こむらがえりや筋肉痛など、
交感神経の過剰=イライラ・異常興奮・緊張過多。
これらはみんな、必要以上にピリピリと震えてるような状態ですね。
サイプレスはこれを治めるのが得意。特に神経系が。

3. 女性に優しい
さて、最後に、上の2つの特徴の複合的な作用ではないかと思っているのですが、
女性のホルモンバランスの乱れにも適用されます。
サイプレスの実が卵巣の形に似ているという話もあり
(ある時代には、形が似ているということが非常に意味をもつ
学説を唱えた人が居ました)、また、卵巣ホルモン
(エストロゲン&プロゲステロン)様作用をもつという説もあり、
卵巣機能の正常化を期待したり、月経過多や生理不順、更年期障害、
PMSなどに勧められています。
いずれにしても、「引き締める」、「過剰をなだめる」という目的に
照らし合わせてみれば、使いやすくなるのではないでしょうか。
女性の生理周期でいうと、月経直後から排卵までの時期がおすすめです。

4. お兄さん
さて、上記の知識は知識として、嗅いだときの直感も大切にしてみてください。
香りのイメージは、意外にメンズっぽいのです。
私は大好きですが。

引き締まった身体を持ち、しかも汗臭くなく、
神様の傍らで道を究めようとする若者といった感じ。
そもそも汗臭くならないように身体を引き締めるのは至難の技です。
少女マンガに出てくる、憧れのお兄さんをご想像ください。

「女の子としてなごみたーい」「お姫様扱いされたーい」
というような時(それはまさに生理の時)は、ピンとこないかもしれません。
または逆にドンピシャかもしれません。

これに良いあれに良いと頭で考えるより、
香りを嗅いで、その時心地よかったものが、
その時の体調・心の調子に一番必要なものだったりします。
まずは、試してみましょう。

◆ まとめ ◆
サイプレスの本質にせまるキーワード
「キュッ」として、過剰をなだめてくれる
ちょっとカッコいいお兄さんです

ホントお世話になってます

注意1・あくまでも私見です。細かなデータは色々な書籍を参考にしてください。
注意2・精油の使用にあたっては、植物オイル等の基剤で薄めるといった基本事項をお守りください。








渦巻きが気になる…

2006-10-20 15:21:04 | 営業日誌
ロールケーキはお好きですか?
私は大好きです。
自然療法的には、甘いもの、特に油分や乳製品を多く含むことの多い
洋菓子には、いろいろと注文がつくところですがねぇ。

また、リズミカルボディセラピー的にも、
決して何でも食べていい時期ではないのですが…。
(注:リズミカルボディセラピーとは、生理周期から体を整えていくセラピー。
これに関してはいずれまた詳しくお伝えします。
現在この療法の認定セラピスト目指して奮闘中です。)


ロールケーキに関しては、すみません、理性を失います。
今日友人から差し入れてもらった、
グラン・クリュというお店のロールケーキは素晴らしいっ!(興奮)。
これぞ王道。スポンジの柔らかさ、クリームの軽さ、
上品な甘さ、どれをとっても文句のつけどころがなく、バランスもよし。

いやあ、世の中には立派な仕事をしている方がいらっしゃる(感銘)。
ちょっと遠いので、自分で買いにいくことはなかなかできそうにありませんが、
世の中にこんなに素晴らしいものがあると分かっただけでも幸せ。

食べ物に限らず、私はグルグルと渦を巻いた物が気になって仕方がありません。
なぜでしょう。人にはこういう、「どうしてもこの形が気になる」
というような癖があるものでしょうか???




治ったあなたの体が偉い・その2

2006-10-18 10:00:00 | アロマテラピーとは
前回は分かりやすく肩凝りの例にしましたが、
およそアロマテラピーサロンへ持ち込まれる問題というのは、
全身的でとらえどころのない漠然とした不調が多いものです。

精神的な面も含めて、全身から活力が失われて、
あそこもここもなんとなく調子悪い…、
そういったケースこそ、アロマ・セラピストが力を発揮できる事例でしょう。

もしそういった事例ではなく、問題がはっきりしているケースなら、
それが得意な医院や鍼・整体へ行くのがなんといっても近道なのですから。

アロマテラピーの場合、
こんがらがってショートしたシステムに
全体性を取り戻していただくことによって、
ゆるやかに自然な治癒へと向かうもよし、
本当に根っこにある問題点が明らかになるもよし。

何とはなしに調子悪いといっていたクライアントが
自分自身で問題点を明らかにし、必要なら医者へと
駒を進めることができたなら大成功といえましょう。

いつまでもアロマ・セラピストが自分の手の中へクライアントを
引き止めておくことは望むところではありません。

Butterfly1
《名前不明の蝶》

自分でメンテナンスできるようになったら巣立っていくのが一番。
その力を取り戻していただくためには、
クライアントの中に自己肯定感が生まれることも大切な要素です。

システムの鍵を握るのが精神的な要素であることはよくあることです。
にわとりとたまごではありませんが、
精神と肉体はどちらが原因ともいえず複雑に影響し合ってある状態に至ります。

アロマテラピー・トリートメントで味わうような、
「とことん大切にされる」経験というのは、
なかなか他の療法にはないものだと思います。

これは私自身の経験ですが、そこまで大切にされると、
自分がそれだけの価値がある存在であるかのような気がしてくるものです。
もちろん、その大切にされ方というのは、施術そのものから発せられるもので、
いわゆるホスピタリティーといったものよりも感覚的なものなのですが。

システムが滞りなく動くためには、最低限「生きていてもいいんだよ」という、
自分の中での了解が必要です。
自己否定にさらされたシステムはそれだけで不利と言えましょう。

日々、人の身体を触りながら、せめて、
自身の身体を生かし続けてよいのだと思っていただけるように、
大切に大切にトリートメントすることが私の仕事だと思っています。





治ったあなたの体が偉い

2006-10-16 14:58:15 | アロマテラピーとは
私たちアロマ・セラピストは医療従事者ではありません。
たとえ、腰が痛い、首が回らないというクライアントがいても
それを「治す」ことはできません。
いくら、ある精油が痛みに「効く」と言われていても、
薬ではありませんから、人の体を直接コントロールすることはできません。
ならば、私のやっていてることは一体何なのでしょうか。

以前も書きましたが、変化はその当人の中でしか起こりようがありません。
60兆を超す細胞の精妙なシステムであるところの身体を、
外からコントロールしようなどとはそもそも傲慢である気もします。

もし施術という刺激をきっかけにある状態に変化が生じ、
それを「治った」と解釈するなら、
それはその人自身、その体が勝手に治ったのであって、
「治った体が偉い」
のです。
「治した私」がいるわけではありません。

これは翻すと、「治らないのはあなたの体のせいであって、
私の施術が悪いわけではない」という言い訳にもなってしまうので、
そこは謙虚に自分のアロマ・セラピストとしての至らなさを認めるとして。

North2

では、クライアントが自分自身で治っていく過程、
そこにアロマ・セラピストはどのように介在することができるのか。

例えば、肩が凝っているとしましょう。
特定の箇所に血流の滞りがあり、筋肉が硬直しているという状態ですね。

対処法として2つあります。
ひとつはこの箇所を直接もみほぐして、血流を改善し、
筋肉の硬直を解くという方法があります。

2つめの方法は、この箇所の血流の滞りを全体のシステムの乱れと捉え、
クライアント自身にそのことに「気づいて」もらい、自発的な回復を促す方法です。
「気づいて」もらうといっても、クライアント自身も意識の上ではお手上げな
(だからこそ症状を訴えている)ワケですから、無意識の部分、すなわち例えば脳に、
システムの乱れが起きていることに気づいてもらうことによって、
システムが自ら回復するのを期待するという方法です。

施術の技術的な側面における方向性もこの2つがありますが、
アロマ・セラピストにできること、得意なことというのは、
この2つめの方法ではないかと緑香庵では考えています。

この続きはまた次回。