緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

ウマいぞ,出汁

2009-01-24 10:00:00 | 「緑香庵」的なもの
今年に入って、少し風邪を引きました。
ちょっと体調を崩して普段どおり食べられない日が
何日か続いたりすると、いつもはあたりまえの
食べるという行為をあらためて見直す機会になったりします。

■ だしがうまい!
何にも食欲がわかない時、丁寧に引いた昆布と鰹のお出汁の
しみじみと美味しいこと。
もしかしたらインスタントの粉末「だし」でもアミノ酸など
の物質的な成分は全く変わらないかもしれないけれど、
弱った身体には本物が持つ「エネルギー」の違いが
はっきりと感じられます。
いえいえインスタントがいけないといっているわけじゃないんですよ。
最近はインスタントでも、妙な添加物の入ってない良心的な製品
ができています。
それでもやっぱり自分が弱っているときは、
本物とインスタントの違いを顕著に感じてしまいます。
人の感覚というものはやっぱりすごいです。
風邪ごときでおおげさですが、命に関わる事態になればなるほど、
感覚は鋭敏になるのでしょう。
食べることを通して身体の外にある命のエネルギーのようなものを
体内に入れているんだということが実感されます。

■ 食物の持つ「気」
最近勉強を始めた東洋医学の世界では、
人の身体の中には「気」という生命エネルギーのようなものが
満ちており、それが血や体内の物質を動かして
身体の隅々にまで運んでいると考えています。
その「気」が減ってしまったり、「気」の動きが悪くなったりした状態
が、いわゆる「病気」というわけです。
また、身体の外にも「気」は満ちていて、
人は呼吸や食べ物をとることで、外にある「気」を取り入れ、
日々減っていく体内の「気」を補っている、と考えます。
東洋医学で用いる、鍼や灸、マッサージあるいは漢方薬などは、
いずれも、体外にあるエネルギーを体内に取り入れるための方法です。

なるほど、食べるということは単に食物の栄養素を取り入れる
だけのものにあらず、そのものの持つ生命力、
エネルギー(カロリーという意味ではなく)をも取り入れる
ものであるということらしい。
体力が落ちているときは、こういうことが身体ごと実感としてわかる
ことがあります。

■ 「食べる」ということ
先の出汁の話ですが、鰹節にしても昆布にしても乾物です。
生に近いほど「命のエネルギー」が多く保存されている
というものでも無さそうですね。
食品が加工される過程でいつどのようにして
そういった「エネルギー」が失われていくのか、
あるいは凝縮されていくのか、確かなことは知りません。
ですが、いずれにしてもあまり工業的に均一化されたものは、
どうしてもエネルギーが弱まるだろうことは予想がつくように思います。
直感的にそう思う、というのにすぎませんが。
学問的にはともかく、日々の「食べる」ということを、
そんな視点でたまには見直すのも大切だなあと感じた次第です。

■ アロマテラピーと「気」
さて、同じような視点でアロマのトリートメントを考えると、
精油に凝縮された植物のエネルギーの大きさに
「よくぞこの製法を考え出したものだ」と感心させられます。
メーカーによって、成分は大して変わらなくても品質のばらつきが
あるのは皆さんご存知のことですが、
「エネルギー」がちゃんと保たれているという意味でも
良い精油を選びたいものです。
また、精油を成分で捉えるだけでなく、
植物の「気」の凝縮したものとして、そのエネルギーを失わないよう、
大切にまた適切に体内への取り込みを促すこと、
ここら辺は、精油という貴重なものを扱う者の態度として、
忘れてはいけないところですね。

なんてことを風邪をひいて考えたわけです。




体内の情報系

2009-01-22 10:00:00 | 「緑香庵」的なもの

■ 年始から考えたこと
別に、エストロゲンやテストステロンが直接何かをしている
わけではないのです。
性ホルモンは体中に出された「指令」なのです。
子孫を残す活動をしましょう。準備してくださーい」という指令。
その指令が血中にあるのを見て、各「部署」である細胞が
自分のすべきことをせっせとするわけですね。
あるものは卵子をせっせと大きくして受精の準備を整え、
あるものはイイ男を捕まえられるように
お肌に水分をいっぱい蓄えてつやつやの肌を作ったり、
とにかくひとつの目標に向かって各自が職務を遂行するわけです。
性ホルモン以外にもホルモンはたくさんありますが、どれも指令です。
つまり情報。
この「情報である」ということがどうやらポイントです。

何の話かって? 
今年は年始からホルモンバランスが乱れて少々体調をくずしました。
その中で考えたことです。
そもそも、なんでホルモンに起こるあれこれが、
ホルモンとは直接関係のない全身の症状に影響を与えてしまうのか。
今回はそんなお話。

■ ホルモンだけの問題ではない
私も今まさに直面しているわけですが、
人間には一生の中でホルモンバランスが大きく変わる時期が何回かあります。
代表的なものが、「思春期」「妊娠出産」「更年期」。
妊娠出産以外は男性にももちろんあります。

そういう時期は全身に変調をきたすことがよくあります。
代表的なものは自律神経の失調と言われるものです。
ホットフラッシュもそう、動悸もそう、血圧の上昇もそう。
さらには脳内のバランスまで乱れてくる。
うつ傾向などはその最たる例です。

またこの時期には、リウマチなどに代表される
免疫に関する不調も起こりがちです。
実際に本当のリウマチにまで発展する人もあれば、
リウマチに似た症状が出るだけで数年でおさまってしまう人もいます。

ある年齢になれば卵巣で作られる性ホルモン、エストロゲンが減る。
あるいは男性なら精巣で作られるテストステロンが減る。
それは理解できます。生殖の時期が終了しましたという合図
それはそれとして、ならばなぜ自律神経や脳内物質、免疫にまで
大きく影響するのか。
考えてみれば不思議な話ですが、これらが全てお互いに協業する
「情報系」のメンバーどうしだと考えれば理解しやすいのではないか。
そう考えました。

■ 身体の情報系のメンバー紹介
というわけで情報系のメンバーを以下にご紹介。
身体という独立国家の情報部門に所属するエージェントたち、
といったところでしょうか。

【ホルモン】
エストロゲンやテストステロンなどの性ホルモンは子孫を残すために、
ある一定のリズムである特定の器官から体内に放出される「物質」で、
血液に乗って体中にその信号を伝えるものです。
血液という川に手紙をばらまくようなイメージでしょうか。
というとのんびりして聞こえますが、この方法は体の隅々まで
いきわたらせることが可能です。

【神経系】
さて一方、神経はというと、これも「情報」。
こちらは神経組織を電気的な信号が伝わっていくのが主なので
(途中神経伝達物質も関与しますが)、いわば専用の電線に乗せて
信号を伝える電話のようなもの。
血液の「川に流す」ホルモンに比べると伝達速度が速いです。

【脳内物質】
ホルモンも神経も、扱っているのは「情報」。
その調整役でありボスはもちろん脳。
脳の内部でのやりとりも、電気信号もあれば脳内物質もあります。
ここでも様々な情報がやりとりされながら、
身体全体の調整を行なっているのです。

【免疫系】
「情報」のやり取りといえばもうひとつ大事なのが免疫系。
免疫の中には実際に悪者と戦う前線部隊もいますが、
もうひとつの重要な役割はその悪者を感知したり、
前線への指令を出したり、過去のデータを管理したり
することです。
まさに自他を認識し身体を守る大切な情報部門です。

【経絡】
さらにもうひとつ体内の情報系として
経絡(けいらく)を挙げる人もいます。
気というエネルギーの流れる通り道ともいわれますが、
気を情報と捉えるのはとても興味深いことです。


■ 更年期は情報の嵐
以上のメンバー「ホルモン」、「神経」、「脳内物質」「免疫」、「経絡」。
これらの情報系はメディアこそ違え、同じ情報を扱う者同士、
お互いを目の端に捉えながら、身体全体の調整を行なっている
に違いありません。
つまり、更年期は単なるホルモンの減少という単純な出来事ではないのです。
更年期は情報系を伝達される情報の嵐。
そう考えると、たとえば消化酵素のどれかひとつの「出」が思わしくない
(それはそれでおおごとですが)、というのとはまた違った次元で
身体にとっては大事件だということがわかるでしょう。

今まである時期になると必ず出ていた指令が突然届かなくなる
現場は混乱します。
指令がないということ自体が意味を持った情報となってしまう。
それはそれとして、各部署とも粛々とすべきことをしましょうよ、
というところまで落ち着くのに時間がかかるのは
いたしかたないことかもしれません。

■ アロマテラピーでできること
で、そこでアロマです。
アロマは決して万能ではありませんが、情報系は得意分野です。
香りの刺激は情報そのものと言ってもよいくらいです。
トッ散らかった情報網に「まあ、待て。落ち着け」と言える方法は
他になかなかありません。
嗅覚を認識して脳の本能的な部分に働きかけるというアロマの機能は、
色々な自然療法と比較しても突出しているのではないかと思います
(物質そのものではなく何らかの情報をやり取りするという意味では、
ホミオパシーやフラワーレメディの方が純粋かもしれませんが)。
さらに、精油は複雑な化合物の集合体ですので、
物質としての特色も併せ持っているわけです。
いまさらながら面白い。

■ 身体と和解する
さて、この更年期の「情報の嵐」も結局いつかは落ち着きます。
知らないうちに落ち着いちゃう人だっていっぱいいます。
たまたまそういう時期に人生の一大事が重なって、
それに必死になっているうちに過ぎちゃったという話も聞きます。
ひとそれぞれぜーんぶ違います。
ただ言えるのは、更年期は単にホルモンの問題でなく、
身体全部の情報系にあらゆることが起きる可能性を持っているってことです。
これは知っておいて損はないでしょう。
冷静に観察していくことが大事ですね。
必要があればお医者さんへいくことも。
なかには重篤な病気が隠れていることもないわけじゃありません。
振り回されず、コントロールせず、自分の身体と仲良くしていく、
これ、緑香庵のテーマでした。


少しずつ春

2009-01-20 11:36:11 | 営業日誌

「身体の中の情報系」のお話をアップする前に、近況を。

今年は年明けから、ホルモンバランスが原因の体調不良に加えて、
珍しく熱の出る風邪をひき、2日ほど寝込みました。
たまに風邪を引いたりして免疫をしっかり働かせる
のもよいものです。
後々身体がすっきりして気分もよみがえります。
風邪の最中は見事なまでに食欲も落ちて、
食べられない日々が数日続くと、
身体の中でエネルギーが枯れてくるのを実感します。
そして徐々にちゃんとお腹がすくようになると、
反対に力が体内に満ちてくるのがわかります。
普段はこれが当たり前だと思っていますが、
やっぱり健康ってすごいことです。
風邪の治る過程でのこの軽くハイな感じが好き。

気温はまだまだ低いのですが、
日差しだけは春みたいになってきました。
ご近所の世田谷区役所の紅梅のそばで
ひなたぼっこしながらタバコを一服するおじいさんも暖かそうです。
Kobai_1

Kobai_2

我が家では、緑香庵の開店祝いに頂いた胡蝶蘭が
また花をつけました。
Kochoran_1
Kochoran_2

今年は盛大につぼみがついています。
何も特別なケアをしていないのにこうして
毎年咲いてくれるのね、不思議。

Kochoran_3


今年も地道にやっていきます

2009-01-13 10:10:59 | 「緑香庵」的なもの
新しい年が明けました。
例年通り元旦は近所の氏神様・天祖神社へ、
仕事始めの七日には緑香庵がお世話になっている松陰神社へお詣りに。
そして例年通りおみくじを引くも、
今年は天粗さんが「半凶」、松陰さんが「吉」。
半凶て…。

何でも凶と大凶の間に位置するのだとか。
はあ~、ぱっとしないことこの上無し。
どちらのおみくじにも「焦るな」の文言がある所を見ると、
とにかく今年は焦っちゃいかんらしい。
落ち着いて地道に努力すべし。さすれば後半好転するとな。
はい、そう心がけます。
みなさん、今年の緑香庵は地道ですよぉ。
不況だろうが何だろうが、地道にやってまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。

今年は49歳になります。
そこそこ立派に更年期のあれこれが出現している今日この頃です。
子持ちの友人達はまだまだだったりしますが、
出産経験が無い私は妊娠~授乳にわたる卵巣の休憩期間がないので、
早いのかもしれません。
似たような年頃のお客様からも色々と情報をいただいたり、
身体についての考え方、つまり硬い言葉でいうところの「哲学」を
学ぶことで、自分の身体の捉え方もより自由になっていく気がします。
それによって直接的にこういう時期の体調の不安定さが
解消するわけではありませんが、
少なくとも「被害者」にならずにはいられます
何も私は理由無くひどい目にあっているわけではなく、
ある当然の変化の中にいるだけであること。
変化もそれによって起こる様々な症状もひっくるめて私自身であること。
自分を知り、愛おしむ大きなチャンスかもしれない。
そう思って地道にこの時期を観察し乗り切りたいと思うわけです。
地道にね。

で、次回は更年期の様々な不調から考えた、身体の情報系について。