Runrun日記

最近読んだ本ー武器よさらば



ヘミングウェイ 著 金原瑞人 訳 「武器よさらば 上/下」 光文社文庫

イタリアの歴史小説は、古代ローマの話、ベネツィア共和国の話と読んでみたけれど、ベネツィア共和国がナポレオンに滅ばされた以後のイタリアは如何だったのだろうか。小さな王国、公国、共和国に分かれていたイタリアは、フランスやオーストラリアなどの大国にいいようにされていた? 戦争ばかり繰り返していたヨーロッパの事は、結局理解できません

この物語の第一次世界大戦の時は、イタリア王国となっていて、オーストリア=ハンガリー帝国と戦っていた。
この物語の主人公フレデリック・ヘンリーはアメリカ人だが志願してこのイタリア戦線に来ていて、負傷兵を運搬する部隊の指揮官となっていた。
ヘンリーは、負傷してイギリス人の看護婦キャサリン・バークリとの恋に落ちるのだが・・

この小説では、何を描こうとしているのだろうか?
恋物語? それとも悲惨な戦争? 反戦?

戦争は、宗教や民族、イデオロギーの対立で起きて居るのか? 富める者、支配者層が自分たちの利権のためにやっているのではないか?

この小説では、被爆して死んで行く兵隊パッシーニに言わしている
『国を支配している階級があって、その連中が愚かで、何もわかっていないし、・・』
『その連中は、戦争で金をもうけている』

神父に云わしています。
『・・兵士は・・畑から連れてこられて軍隊に放りこまれた時点ですでに負けているんです。・・農民は賢い、なぜ賢いかというと最初から負けているからです。農民を為政者にしてみればいい・・』

でも、農民が為政者になると、利権を求め出し、また、戦争を始めてしまうのじゃないかい!!!

1917年の秋、ヘンリーは、傷も癒え戦線に戻ります。そして10月24日からの「カポレットの戦い」に巻き込まれていきます。イタリア軍は惨敗し、敗走します。イタリアの憲兵達は、敗走してくる将校たちを捕まえて、理不尽にも処刑しようとします・・・。?なんで?
戦争とは非条理の世界なのだ! 中尉だったヘンリーは、これから逃れ脱走兵となりキャサリンの元に戻ります。

スイスへの逃避行。戦争から逃れての逃避行は、熾烈でも甘味。スイスで蜜月を送りますが、物語は突然終わります。第一次世界大戦は、1918年には終わったと思うので、キャサリンとヘンリーはもう少しで幸せになれるのかと読み進んでいたのに・・、あれっ、と云った感じです。
淡々と、乾いた文字で描かれていて、主人公ヘンリーの喪失感が伝わってくるラストシーンです。

この小説のお気に入り度:★★★★☆

ランキングに参加中、クリックして応援願います。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

最近の「本と雑誌」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事