一瞬の風になれ(佐藤多佳子著)、風が強く吹いている(三浦しをん著)。
初めは、増田明美さんの自叙伝かと思った。読んでいくと、時代が違うし。増田さんの経験は混じっているとは思うけど、創作の小説らしい。以前、ゴーマン美智子さんの自叙伝「走れ!ミキ」を読んだ。増田明美さんの自叙伝も読んでみた~い!
増田明美 著 「カゼヲキル ➀助走 ②激走 ③疾走」 講談社
![2018/06/27](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/af/596c3d9b77b6140937172b2be5a8a488.jpg)
主人公、山根美岬は、中学二年生の時に、初めてタータントラックで走ります。地面が燃えている・・、魔法の絨毯のようなトラック。そこで沢森コーチに見出され、ライバル恭子にも出会い、物語が始まります。
女子ランナー達を応援する、増田明美さんの優しさの現れている小説ですね。
増田明美さん自身も、牧田明子と云う名前で出てきて、美岬を励まします。
クロスカントリーのレースで、恭子と衝突しそうになり転んで骨折してしまいます。美岬は恭子をうらみます。
沢森に誘われて、沢森が監督する陸上部のある高校、恭子がいる高校へ進みます。
ライバルとの戦い、和解、大学に進むか実業団へ行くか、折々のランナーたちの心境を描いていました。
山根美岬は、特別のスパースターではないのですよね。
私にとっての女子ランナーのスーパースターは、高橋尚子と野口みずきだけれど、彼女らも大変な苦難を乗り越えて、あの成績を残したのだと思います。
山根美岬は、ヘルシンキの世界陸上で10000メートルに出場します。
この物語では、福川選手が9位、山根美岬は22位となります。実際の2005年の世界陸上では、福士加代子が11位、大南博美が21位に入っていたようです。この時、女子マラソンで17位だった江田良子さんには思い出があります。私が2012年ホノルルマラソンを走った時、すでに引退されていた江田さんはペースランナーをしておられました。私は、江田さんの美しい足に見とれて追走し、失敗しました
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福士加代子は、2008年の大阪国際が初マラソンで、30キロ以降失速しフラフラになりながらゴールしています。この小説では福川選手が、同じようになります。福川選手のモデルは福士加代子ですよね。
山根美岬も、好記録を出したかと思うと、故障、挫折! その後の大阪国際で疲労骨折をしてしまいます。
苦節10年! 最後に名古屋の女子マラソンで優勝し、ロンドンオリンピックへの代表権を確保します。
ロンドンオリンピックって2012年だったよね。この小説は2008年に発刊されています。未来の事を描いていましたね。
ちなみに、この小説での名古屋女子マラソンは、瑞穂競技場発着となっていました。実際の2012年の大会は、ウイメンズマラソンとなって、ナゴヤドーム発着となっていました。尾崎好美選手が2位日本人最高となって、ロンドンオリンピックの代表になっています。
この年は、私も名古屋シティーマラソンでハーフを走っていました。
この小説は、増田明美さんの、マラソンランナーへの応援メッセージ!
マラソンファン必読の書。
私のお気に入り度:★★★★☆