物語は、秦の始皇帝が病に斃れるところから始まる。永い春秋戦国時代のあと国をまとめた秦であったが、始皇帝が亡くなると、奸臣のため乱れる。あちこちで反乱が起きた。項羽と劉邦もその一人。
項羽は叔父の項粱とともに、江南の地・呉中(今の蘇州)で兵をあげる。劉邦は、沛の町のチンピラ。これも兵をあげる。
司馬遼太郎氏の小説というと、登場人物への人物観が面白い。登場人物の個性を洗い出し、すこし誇張して描かれているように思うが。少し間の抜けた感じだが、人を魅了し、多くの部下を得る劉邦。野牛のような大きな体をもち、直情的な武人・項羽。二人は、天下を目指して戦うようになる。
「背水の陣」とか「四面楚歌」とかは、項羽と劉邦の戦いから出た言葉らしい!
戦術の項羽、戦略・政略の劉邦?
臆病者で、いつも負けて逃げまくっていた劉邦が、結局は勝ってしまう!!!
儒教や老子の教えを学ぶ人、縦横家といった怪しげの人達が登場してきて面白い。中国にはこんな昔から、哲学者・思想家がいたのだ。これらの人が、劉邦の軍師になって戦略を授けるが、項羽にはそれがなかった。
私のお気に入り度:★★★★★
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