Runrun日記

最近読んだ本ーアラミスと呼ばれた女

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毎日、新コロナウイルス感染者の話で嫌になります。
私達夫婦は、2月21日から引き籠りの生活をしています。2月20日に、市内のスポーツクラブでの感染者のニュースが流れたからです。あれから2週間。今がヤマ場でしょうか???

明日が、亡き母の10回目の命日です。今日は墓参りに行ってきました。
お墓で偶然?姉の家族に会いました 
それで一緒にランチ! 憂さ晴らしのお喋り!
これも母の引き合わせでしょうか。

そういえば10年前。
私は、霊柩車の助手席から、ハクモクレンの花を眺めていました。



【最近読んだ本】

司馬遼太郎さんの『胡蝶の夢』、浅田次郎さんの『憑神』を読んでいたら、榎本釜次郎の事を知りたくなりました。ネットで検索していたらこの本が出てきました。 
宇江佐さんの小説という事で、ひっかったのだ!
宇江佐さんなら、きっと楽しい恋愛小説、それに函館生まれだし。
私は、読む小説を選ぶ動機がいい加減で、いつも脱線していくのだが・・

宇江佐真理 著作 『アラミスと呼ばれた女』 講談社文庫

まず、このアラミスとはなんだ! 「ダルタニヤン物語」に出てくる、銃士だか僧侶だか分らない、権謀術数の得意なアラミスの事だろう。アラミスは好きになれない。三銃士の中ではアトスが良い (笑)

物語は、安政3年(1856年)の長崎から始まります。主人公・田所柳は10歳。父親は出島でオランダ通詞(通訳)をしていました。元は江戸の錺職人だったが蘭語得意だったので、長崎に出て来て通詞になっていた。お柳も子供の時からそれを見聞きしていたため、英語、フランス語なども得意だった。
そこへ江戸で知り合いだった榎本釜次郎が、第二期海軍伝習生とやってきます。『胡蝶の夢』の松本良順が長崎へ来た時期ですね。釜次郎は2年余りの修業が終わると江戸に戻ります。そして文久2年(1862年) 再び長崎にやってきて、オランダ留学に向います。

宇江佐さんの小説だから、恋愛小説なのかと思ったが、なかなかそうはいきませんね。時代の流れを細々と描いて行くので、お柳の恋心もなかなか進みません(笑)
釜次郎の留学中に、お柳の父親は、攘夷の志士に暗殺されてしまいます。お柳は江戸に戻って芸者になります。

釜次郎は慶応3年(1867年)3月、軍艦開陽丸に乗って、フランスの軍事顧問団と一緒に戻って来ます。『憑神』の物語の時代ですね。
釜次郎は幕府の海軍副総裁となり、榎本武揚(たけあき)と名乗り、林研海の妹たつと結婚します。研海の母親は、良順の姉だったっけ?
武揚とお柳は、海軍の開いた宴会で再開します。そしてお柳は、武揚に薦められ、男装してフランス顧問団の通詞になります。

一気に、この本のあとがきに飛びましょう。フランス顧問団のジュール・ブリュネと云う人が「初めて出会ったフランス語を話す日本人ジュッタロウ(愛称アラミス)」をスケッチに残していて、その人がこの物語のモデル「田島勝」だったらしい。宇江佐さんは、田島勝の存在に確信をもったと書いています。それで、この小説は、田島勝をモデルにしたフィクションということになりますね。

榎本武揚の物語は史実のとおりです。幕府が大政奉還、戊辰戦争となります。榎本武揚は旧幕臣たちが生きる場所として蝦夷地を確保しようとします。函館で戦いをしますが負けて囚われます。お柳も、フランスの軍事顧問ブリュネの通詞として、函館に行きます。そこで、榎本武揚の子を宿します。此処からは、宇江佐さんらしい小説ですね。お柳は江戸に戻りますが、榎本武揚は投獄されます。
榎本武揚は後に釈放され、政府に仕え高官となります。お柳は生まれた娘・勝を育てるという話ですね。

そういえば、私は、榎本武揚の事が知りたかったのだ。なぜ蝦夷地で戦ったのだろう。
榎本武揚は長崎に行く前1854年(安政元年)に、箱館奉行の従者として、蝦夷地・樺太巡視に随行しています。蝦夷地に対する想いは大きかったのでしょう。蝦夷地を開いて、幕臣たちの土地にしたいと思っても不思議はない。明治政府に仕えるようになってからも、北海道の開発に力を注いでいるようです。北海道とは縁があったのですね。

この小説は、そんな榎本に恋し、陰に隠れて一生をすごした女性の物語ですね。
歴史をおっているので、女心とかじゃなく、淡々とした小説になっていますね。
函館戦争も、事実だけをさらっと描いているような気がしました。
土方歳三の壮絶な戦死が、気になる所ですが・・・

この小説のお気に入り度:★★★☆☆

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