2020@TOKYO

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ゴルフの神様が微笑んで…

2007-11-05 | ■エッセイ
  
  昨日のミズノクラシックを見ていて、思わず今回のタイトルの言葉が浮かんだ。よくゴルフの実況解説者が使う言葉だ。「いやー、ゴルフの神様が微笑みましたねえ」といういつものフレーズ。

  しかし、昨日の上田桃子に微笑んだ神様は、神の中でも相当力のある大神様である。

  全米女子ゴルフの公式ツアーであるミズノクラシックは、過去にアニカ・ソレンスタムが5連勝するなど、ほとんどの試合の優勝を外国人勢がさらっていた。

  そこに、文字通りの細腕で殴りこんだ上田桃子、宮里藍や横峯さくらなどが軒並みスコアを崩すなか、7番ホールでのアルバトロスは圧巻だった。

  3Wでスイングした第2打は、何度かバウンドした後にグリーンを転がり、カップに吸い込まれていった。偶然か?技術か?神の仕業か?

  ゴルフは、対戦相手がボールを投げてくるわけではなく、仲間がボールをパスしてくるわけでもない。最初から最後まで、自分で自分のボールを打ち続けるスポーツである。テレビの画面からでも、ひとりひとりの息詰まるような緊張が伝わるのは、プレイヤー個々の内面を、強い集中力が支配している結果だろう。

  清廉な希望と強い集中が支配した世界には、神が降り立つのかもしれない。昨日のアルバトロスも、決して偶然の産物ではなく、さりとて意識してテクニックを駆使したわけでもなく、驚くべきコンセントレーションの力がボールを動かしたのではないか。

  私利私欲で政治を動かそうとして、それが動かないと知るや逆ギレして責務を放り出す。浅ましい政治家たちに、清廉な志や強い集中力は感じられない。拡散した欲望が支配する世界に、神が微笑むはずはない。

  昨日の優勝で、上田桃子は全米女子ツアーの出場権を手にした。同時に、おそらくは日本国内の賞金女王の座も獲得することになるだろう。夢のような話である。しかし、政治や経済がこれほど酷いことになっている国には、こういう話題が必要だ。上田桃子のような若者たちが夢の扉を開いていく姿は、神が微笑むほどの美しさなのだろう。

(写真:アルバトロスの舞台となった、近鉄賢島カンツリークラブ 7番ホール)



  

  

  

  

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