「幼(いと)けなくしては親に従い、嫁しては夫に従い、老いては子にしたがう」という三従の言葉。
私は女学生のころ父の勧めで和とじのその本を手にした記憶があります。その後ある雑誌で、親が娘にぜひ読むようにというと「イヤです。男の人が書いた本ですもの…」というエピソードを読みました。
では、今様女大学どんな「三?」となるのだろうかと、わたしなりに思いめぐらしたことがあったが、そのころ青木先生から次のようなお話を伺いました。これからの女性はもっと積極的な女性像として、三従でなく「三育」でありたい、つまり第一に育てなくてはならないのは子どもであり、これが育児。
第二に育ててほしいのが家計であり、財布をしっかり守る役割、すなわち家育。
第三に育てなければならないのは、女性のもつ不正を憎む気持ち、平和を愛する心情をストレートに政治にぶっつける、これが女性の手で国を育てることであり、きわめて重要な助成の使命である、と三育を挙げられました。
紙面に限りがありますので詳しくは書けませんが、第二の家育について、私たちは、限られた収入のなかで、できるだけ豊かな生活をし、また多くの貯金もしたいと思う。「豊かな消費と高い貯蓄」の両立については「ないものと思って貯めよ20%、使いきれ80%」の原則、貯めるべきは絶対にため、使うべきは絶対に使うこの割りきりが重要であるとのことです。その割合は20対80でも、10対90でも、その人、その家庭で定めるものでしょう。
次に重要なことは、使うべき部分をできるだけうまく使って効果100%にもちこむ、消費資金額以上に活用する為には「消費と浪費の区分」を知っておくことが、たいせつであると言われました。
消費と浪費の区別
① 自己思考型 他人思考型
② 計画型 衝動型
③ 実質価値型 付加価値型
①の自己思考型とは、広告や宣伝に惑わされずに、ほんとうに必要であるか否か、自主的に判断して買物をする。これに対し他人思考型は、広告を見てすぐ欲しくなったり、他人が持っていからといって、考えもなく買ってしまうことです。
②は略
③は中味の良否で商品選択をするか、うわべの価値だけで選ぶかということで、
使用価値(使っての効果)
耐久性(丈夫で長持ち)
等、主婦の消費態度がたいせつだということです。
私たちは視野を広め、物価や税金、福祉の面も考えて、「三育」の精神をたかめてゆきたいと思います。
『嵐山町報道』340号 1986年(昭和61)3月20日 婦人のページ