GO! GO! 嵐山 2

埼玉県比企郡嵐山町の記録アーカイブ

農閑期利用の手編み教室 根岸・小沢幸子 1985年

2009年03月13日 | 報道・婦人のページ
 工業国日本は、いまや全世界をリードしている。そして、伝統産業である養蚕は今や谷間に追いやられようとしている。その中でひっそりと農業を営む私たち夫婦である。
 冬になると何もすることがなく、日なたぼっこでお茶を飲み、雑談で終わる一日に、余り希望のもてる老後ではなかった。
 そんなある日、「手編みをやってみない。」と、柏俣さんから声をかけられた。柏俣さんは二十数年来趣味で手編みをやっているベテランの奥さんである。
 そう言えば、嫁に来て、二十数年というもの子育てと仕事の忙しさに自分の時間をもつということは考えてもみなかったことだ。
 そのためか、こうして年をとって暇ができても時間をもてあましていた。いまから思うと何ともったいないことをしていたのかと悔やまれる。
 声をかけられた近所の農家の奥さんが六、七人集まった。教室は冬の間は使うことのない養蚕ハウスの二階の一室である。日当たりがよく暖房がなくても汗ばむほどの中で、一針ごとに編みあがる喜びをかみしめながら話題に花がさく。
 家庭内の話題「嫁姑問題・老人ぼけ等」は手編み教室のおかげで、一挙に解決できそうである。
 編み物を習い始めた今の私には、一分一秒が貴重である。
 編み物は、頭の回転を良くする作業であり、新たな目標や楽しみを作ってくれる。私にとっても老後の生きがいとなっている。
 一生懸命、無報酬でご指導してくださる柏俣さんと教室を提供してくださる藤縄さんには感謝の気持ちでいっぱいである。
     『嵐山町報道』329号 1985年(昭和60)4月30日  婦人のページ


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