齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

6月のことば「夢(ゆめ)」

2015年06月14日 | 今月の言葉
梅雨ですね
いかがお過ごしでしょうか?
早く明けてほしいと思う反面、雨は雨で楽しみもあり・・・ムシムシジメジメさえなければ・・

さて今月のことばです。
めずらしく短く、かつ誰でも知っている字です。
でも少し解釈はむつかしいかもしれません。

今月のことばは、

「夢(ゆめ)」

「夢」はフロイトやユングの心理学、宗教学、神経生理学などの研究テーマでもあるようですが、それはここでは置いておきます。

私たちの周りでは多くの場合、将来実現させたい願望や希望を忘れないようにとか、初志貫徹を心するようにとかを示す言葉として、色紙に書かれたりします。

しかし、仏教では少し異なる意味合いを持ちます。

「いろは歌」に示されるように、すべての世の在(あ)り様(ざま)は無常であり、
それを指し示す言葉として「夢」という言葉が使われるのです。

禅の世界ではまた少し異なります。

有名なのは、安土桃山時代から江戸時代前期の禅僧で、紫衣事件でも知られる沢庵(たくあん)和尚の遺偈(ゆいげ:禅僧が末期(まつご)に残す境地を示した詩文)です。

「夢」一文字に次のような添え書きが施されています。

「百年三萬六千日 弥勒(みろく)観音(かんのん)、幾(いく)ばくの是非(ぜひ) 是(ぜ)もまた夢、非(ひ)もまた夢、弥勒(みろく)も夢、観音(かんのん)もまた夢、仏(ほとけ)云(いわ)く、応(まさ)に是(かく)のごとき観(かん)を作(な)すべし」

つまり、相対、二元の世界でなく、有無を超えて、天地宇宙と一つになりきったところを指し示し、言わんや儚(はかな)いなどと言うこともまた無し、とした境地なのです。

言葉遊びのようですが、「夢(む)」は「無(む)」に通じると見るべきなのかもしれません。

さぁ、あなたはまわりにある「夢」の字をどう受けとめますか

平成乙未水無月


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